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ブックマーク / www.newsweekjapan.jp/reizei (38)

  • ハーバードはどうしてホームレス高校生を何人も合格させるのか?

    この春、ノースカロライナ州のローンデールという小さな町に住む、ドーン・ロギンスさんという女子高校生のもとに、ハーバード大学から一通の封書が届きました。この春高校を卒業するロギンスさんは、何校かの大学に願書を出しており、既に分厚い入学案内を同封した合格通知も受け取っていたのです。ですが、ハーバードから来たのは薄い封筒でした。 これは不合格通知に違いないと思って開封したロギンスさんは、文面を見てビックリすることになります。そこには、いかにもハーバードらしい文面で「小職は合格者選考委員会の決定に従って、あなたを2016年卒業見込み生として入学を許可する旨、ここに通知することを喜びとする者であります」と書かれていました。ロギンスさんは、ハーバード大学に合格したのです。地元のバーンズ高校としては開校以来初めての快挙でした。 現在18歳のロギンスさんは、貧困とドラッグ中毒に囲まれて育ちました。父親は家

    ハーバードはどうしてホームレス高校生を何人も合格させるのか?
  • アメリカが拉致問題などで「日本の立場」を十分に理解できない理由

    北朝鮮による拉致被害者家族連絡会のメンバーが、米国務省でキャンベル国務次官補と面会した際、キャンベル氏が、北朝鮮の拉致の問題と同時に国際結婚の破綻に伴う「日人親による子の連れ去り」問題に言及、並行して親権の問題を考えて欲しいと発言したという報道があります。 その場にいた家族会メンバーは「親権の話は夫婦間の問題だが、拉致は国家的な犯罪。北朝鮮で命の危険にさらされている人間の問題を親権の問題と同一視するのは納得できない」(産経の電子版による)と反論したそうですし、米国国務省は後で「両者は別次元の問題」だという見解を出したようです。 この問題ですが、他でもないキャンベル次官補の口からポロッと出たというのは、ある種アメリカ国務省のホンネを表していると見るべきでしょう。そういう言い方をしますと、憤りを覚える方もあるかもしれませんが、何しろこれは外交であり、アメリカという相手がある話ですから、相手側

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    Nean 2012/05/14
  • 福島第1原発事故から1年を過ぎても解けない「2つ」の謎

    事故発生以来、精力的な取材を続けた東京新聞の取材班による記録『レベル7 福島原発事故、隠された真実』というが出版されています。取材の中心になっている加古陽治さんという方とは9・11の直後に同じようにNYで取材されている時に、お会いして意見交換をしたことがあるのですが、今回も冷静な視点が光っていると思いました。 この『レベル7』を読んで、改めて「全電源喪失」による1号機から3号機までの冷却不能という事態の推移を、時系列でたどることができました。勿論、測定器などに大きな支障があり、異常事態のために関係者の記憶も曖昧な中、誰も「当に起きた事実」を知ることはできないと思います。そうした前提の上に立ってではありますが、改めて「発表され、報道され」た事実の流れを確認することができたのは有意義でした。 しかし、丁寧に整理された記述を読むことで、改めて2つの疑問が浮かび上ったのも事実です。それは「2号

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    Nean 2012/03/29
    まだ東電には語るべきことがあるということなのかな?
  • あのアメリカですら自国国旗の焼却が禁じられていない理由

    たびたび、大阪の橋下市長がらみの話題で恐縮ですが、国体(国のかたち)を考える上での良いレッスンになるのではと思い取り上げます。今日は、国旗国歌への態度と「国際社会」の関係についてです。 今週の市長の発言の中に、「国歌斉唱の際に手を前に組んでいるのは失礼で、国際社会では許されない」という主旨のものがありました。この種のものとしては、スポーツ選手などが海外での試合に臨んだ際に国歌を歌っていないのは「国際社会での常識に欠ける」というような言い方があり、市長もそのような主旨での発言を以前にしていたと思います。 確かに1つの考え方です。スポーツの対外試合というのは一種の民間外交ですから、それなりの外交儀礼というものがあり、他国の国旗国歌への尊敬だけでなく、自国の国旗国歌に対しても儀式の格調を維持するためにも、国家を代表している敵味方相互をしっかり認めるという意味合いからも必要だと思います。 例えばサ

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    Nean 2012/03/25
  • 君が代「口元チェック」の何が問題なのか?

    さすがの大阪の橋下市長も「君が代不起立」問題への反応として、「君が代歌唱の口元チェック」などという行動が現実のものになるとは思っていなかったのではないでしょうか。いつもとは違って、レスポンスまでの時間には、躊躇や熟考があったというニュアンスが漂っています。 そうは言っても、政治家として国政を視野に入れている市長としては、「前進あるのみ」という判断になったのでしょう。ところで、私は従前から、橋下氏のスタイルは、シンガポールの「創業者」であるリー・クワンユー元首相に近いと申し上げてきましたが、今回のエピソードは正にそうしたイメージに重なってきます。 ですが「それでいいのか?」という答えは簡単に出ると思います。それは「ノー」です。 まず、どうしてリー・クワンユーはシンガポールで「チューインガムの禁止」などの強権政治を続けているのかというと、亡くなった金大中(元韓国大統領)との対談での発言ですが、

  • アメリカの外食産業に過労死がない理由とは?

    大前提として客も店も細かいことはゴチャゴチャ言わないし、とりわけ中堅以下の企業化されたファミレス系やファーストフード系に至っては、サービスの水準はかなり低いという問題があるわけです。その点では、日とは全く別世界で比較の対象にはならないのですが、個別の問題では参考になる点もあると考えて箇条書きにしてみました。 (1)役割分担がハッキリしています。例えば、注文を取るのは「サーバー」、最初に接客して客をテーブルに誘導するのは「ディスパッチャー」などという「専任」ですし、料理を運んだり皿を下げる専門の「アシスタント」など接客だけでも細かく分かれています。厨房の中も役割分担が明確です。 (2)職務内容は契約書で明確になっています。ですからコストカットのために、ある仕事を他の人間にカバーさせるなどということは不可能です。また契約に書いてあることは双方が履行しなくてはなりません。野球の井川慶選手がヤン

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    Nean 2012/03/06
  • センター試験の「中身」を辛口批評する

    私は、アメリカから日に帰国して帰国枠受験や高校編入後の通常の大学受験をする生徒も指導しているので、センター試験というのは他人事ではありません。基的には、こうした「答えのある」ペーパーテストで、しかも「一発勝負」というのには否定的なのですが、指導をする上ではそうも言っていられないのです。 そんなわけで、英語と国語の2科目を詳細に見てみたのですが、この2教科では出題の方針が全く違うことに今更のように気づかされました。 まず英語の方ですが、何かと話題になるリスニングだけでなく、ペーパーの方でも「コミュニカティブ」と言いますか、内容的には日常会話であるとか、ビジネスっぽい言い回しであるとか、留学生活の上で遭遇しそうなシチュエーションなど、往年の「英文解釈、和文英訳」式のスタイルとはだいぶ違ってきています。 中でも、ここ数年の特徴として自然科学を扱った英文にグラフやデータを混ぜたサイエンス的なテ

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    Nean 2012/01/17
    消去法神話は、いい加減消えてなくなるべき。
  • 「橋下イズム」と「ティーパーティー」その同時代性 | 冷泉彰彦 | コラム | ニューズウィーク日本版 オフィシャルサイト

    予想通りの圧勝でした。大阪市の橋下候補はともかく、大阪府の松井候補も大差での勝利、しかも歴史的な高投票率ということですから、この選挙結果は無視できません。それにしても、アメリカで見ていて思うのは、日米の政治風土が酷似しているということです。 非常に小さな例では、例えば私の住んでいる地区では、大学町のプリンストンでも似たような事件がありました。町の中心部にある自治区(プリンストン・ボロ)と、その周辺を取り囲むような町(プリンストン・タウンシップ)というのは、コスト配分を巡る争いから100年以上分裂した自治体を形成していたのです。ですが、今年行われた住民投票の結果で、最合併することになりました。その目的は単純で行政二重コストの削減です。試算によれば、合併後の全域で、固定資産税の減税が可能になるというのです。勿論、リストラの痛みは伴いますが、双方での住民投票の結果ですから仕方ありません。 このプ

  • 現代社会では直接民主制は機能しないという3つの理由とは?

    それにしても、ギリシャのパパンドレウ首相の声明には驚きました。一旦合意したはずの国家債務処理スキームに関して改めて国民投票にかけるというのです。欧米の株価はこれを受けて急落しました。「国民投票で救済パッケージが否決される可能性」「ギリシャ国債の更なる暴落」「ギリシャはユーロからの追放」「ユーロ圏維持の救済スキーム破綻は、イタリアやスペインへも波及」というように、恐怖の心理が一気に広がったのです。 折角ソフトランディングへ向けて欧州首脳が頑張ったのに、スロバキアなどの渋る参加国も何とか説得したのに、ということですが、一方で1日(火)の米国東部時間午後にはギリシャの野党筋から「所詮はパパンドレウの延命策、国民投票など不可能」というコメントが出ると、少し市場には安堵の色が出たりしています。いずれにしてもギリシャに振り回された一日となりました。 では、どうして欧米市場は「レファレンダム(国民投票)

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    Nean 2011/11/02
  • 「ウォール街占拠デモ」はどこまで本気なのか?

    ここ数週間、ニューヨークのダウンタウンで続いている「Occupy Wall Street(ウォール街占拠デモ)」は、先週末にはブルックリン・ブリッジでの無許可行進をめぐって大量の逮捕者を出すと共に、ニュース・メディアに話題を提供した形になっています。一部の芸能人や、経済界でも例えばジョージ・ソロスなどはある種の理解をしているようですが、ウォール街の関係者とも言うべき多くの経済評論家は、デモに対して非常に冷淡です。 いつもはアナーキーな「アブないオジサンのキャラ」で登場するジム・クレマー(CNBC)などは、今回のデモに関してはジョークを飛ばすどころか、3日の月曜には「奴らには何の主張もないんですよ。バカバカしいだけです。それにTVで取り上げると警察が悪玉で、逮捕された連中が善玉になっちゃうでしょ。報道で取り上げるのも問題ですよね」あるいは「強いて言えば、カイロの切羽詰まったデモというより、ア

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    Nean 2011/10/08
  • 「放射能いじめ」の原因はモラルよりも日本語の問題ではないのか?

    千葉県船橋市で、福島から避難してきた子供に対する一種の「いじめ」があったらしい、というニュースが大きく伝えられています。報道(例えば毎日の電子版)によれば、次のような経緯のようです。 (前略)兄弟は3月中旬、市内の公園で遊んでいると、方言を耳にした地元の子供たちから「どこから来たの?」と聞かれた。兄弟が「福島から」と答えると、みな「放射線がうつる」「わー」と叫び、逃げていった。兄弟は泣きながら親類宅に戻り、両親らは相談。「嫌がる子供を我慢させてまで千葉にいる必要はない」と考え、福島市へ再び避難した。(以下略) 私は方言の話も気になっており、被災地の人々が東京などの公の席で堂々とお国ことばを話せるようになることを今回の復興の目標設定に入れるべきと思っています。それはともかく、この「事件」に対して、船橋市の教育委員会は、3月28日に市立の小中学校に文書を出して、「(放射能への)大人の不安が子ど

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    Nean 2011/04/15
    それはさておき、頭の中では「チップス先生さようなら」の字幕が流れだした。
  • 原子力は「神の領域」なのか、「人間の領域」なのか?

    福島第一原子力発電所の事態は、アメリカでは刻一刻と報道される中、現地の14日の月曜日から翌15日にかけては危機感が高まっています。日の失態を責める論調は皆無ですが、逆に「何事も周到に準備する日」で事故が起きたのだから「アメリカの原発も危険では?」という印象論が拡大しています。 こうした原発への恐怖の奥には人間の自然な生存能、危険回避の能があるわけですが、恐怖をコントロールできないという背景には二つの問題があるように思います。それは原子核反応に関する理解と、その表現における「ことば」という問題です。 例えば我々は「火」を使います。火を使って暖を取り、調理をしたり、その他のエネルギーにも使います。火は照明にも使われ、五輪の聖火など精神のシンボルにもなります。ですが、人間はサルとは違い、「火」を恐れることはしません。「火」とは「神の領域」ではなく「人間の領域」にあるものと信じて疑わないか

  • アメリカのAO入試はどうして機能しているのか?

    京都大学の入試不正事件を契機に入試制度に関する議論が深まっているのは良いことだと思います。勿論、日でも「情報を遮断した密室での筆記テスト」の弊害はずいぶん以前から指摘されており、例えば「入試では拾えないユニークな人材」を入学させようとAO(アドミッション・オフィス)入試というのがかなり以前から導入されているようです。 ですが、現状は決して上手くいっていない、報道や教育関係者などから伝わって来るのはそんな感触です。最近では、AOで入った学生は就職試験で「要チェック」にして、一般入試に受かって入った学生とは区別するというような会社もあるようで、これまた大学入学後の教育内容をバカにした点で、「学歴ロンダリング」という言葉の持つイメージと同様の居心地の悪さを感じてしまう話です。 そうは言っても、多くの大学でAO入学者には大学の授業についていけるように「入学前教育」をするという現実がある以上、

  • 「京大入試ネット不正事件」に見る入試制度の限界

    京都大学の入学試験中に、こともあろうに配られた問題をネットの掲示板にアップロードして、幅広く正解を募集していた学生がいたそうです。さて、その「犯人」は特定できるのでしょうか? 寄せられた正答のパターンと答案を照合してみたり、同じハンドルネームで似たような行為を行ったと見られる他大学での答案と筆跡鑑定での一致を確認するとかすれば可能なように思います。 ですから、事件そのものは特に衝撃的ではないし、清朝以前の中国における「科挙試験」での不正行為の歴史などに比べればチャチな話です。不正受験者は早急に特定して厳しく断罪すれば良いのだと思います。ですが、今回の「事件」は1つの事実を暴露したように思います。それは、大学入試というものが「受験生に特有の個性や潜在能力」を測定するということは全くやっていないという事実であり、にも関わらずまるで前近代の中国の科挙試験のように「一発の入試が人生を決める」という

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    Nean 2011/03/01
  • 「永田洋子死刑囚の死」を契機として、改めて世代の問題を考える

    いわゆる連合赤軍の幹部として、リンチ殺害事件や「あさま山荘事件」などによって死刑判決を受けていた永田洋子氏が死亡したというニュースを聞きました。永田氏とそのグループの起こした事件、および永田氏の個人的な軌跡については、私はもう関心が薄れています。というのは整理するのは比較的簡単だからです。 自尊感情の強い人間よりも弱い人間のほうが権力欲や支配欲、あるいは「大胆な行動」への飛躍をしがちだという悲劇の典型であること、これは歴史上の独裁者から、現代のブラック企業の経営者に至るまで無数な例があり、永田氏もその一つと数えられるように思います。これに加えて家庭や職場あるいは学園などで個の尊厳を勝ち取る取引のできない人間に限って、自分とは無関係な「究極の不幸」を探す旅に出て、地の果てまで行ってその「不幸の原因」へ暴力を加えることで英雄になろうとする、これもロシア・アナキストの爆弾テロから現代のアルカイダ

    Nean
    Nean 2011/02/11
  • 年金破綻問題は交通整理可能か?

    入閣した与謝野経済財政相は、早速「高齢化に伴う年金支給開始年齢の引き上げ」を主張し始めています。この問題も自民党を含む野党からも、そして与党内からも批判が出ていますし、メディアの受けも悪いようです。では、消費税と同じように年金破綻問題も論点を交通整理できるのでしょうか? これがなかなか難しいのです。まず政治的なこの問題についての政治的な立場ですが、 (1)痛みを伴う変更は誰も喜ばないので先送り。 (2)問題を直視し、支給額低減と税方式導入などの対策が必要との警鐘を鳴らす。 (3)マニフェスト通り最低保障年金を推進。財源は消費税増税と言いつつ即時実施の度胸はない。 (4)厚生年金加入の勤め人への不利益変更を恐れて二階建て維持。 という具合で、まあ色々な立場があるわけです。例えば、前回2009年の参院選では、民主党は(3)で自民党は(4)でしたが、その後の景気低迷と更なる閉塞感の進行から、「こ

  • 「フライング」だった? 「戦勝キス」のタイミング

    第2次大戦終結の8月15日(アメリカでは時差の関係で14日)のことは、アメリカでは「VJデー」(日に勝った日)という呼び方をする人がいます。ただ、正式な「VJデー」というのは、東京湾内でUSSミズーリ艦上で、日の重光葵外務大臣が降伏文書に署名した9月2日ということになっています。当時のトルーマン大統領が「今日が正式な戦勝の日」だという発表をしたからそうです。一方の8月15日の方は戦争に勝った日ではなく、公式には「日の降伏の日」という言い方になるのですが、それよりも、もっとカジュアルな感覚で「勝って戦争が終わった解放感の日」というイメージで受け止められています。 そのカジュアルなイメージを象徴するのが、ニューヨークの街中に飛び交った紙吹雪であり、更にはタイムズスクエアでの「水兵と看護師のキス写真」という形で歴史に残っているのです。この「看護師と水兵のキス」については、最近そのタイムズス

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    Nean 2010/08/20
  • ホットドック早食い大会はどうしてトラブルに至ったのか?

    アメリカは契約社会と言われるだけあって、法律用語、特に契約書の文章には厳格です。例えば、日の契約書には最後の条文として「甲乙の間に契約書で定めた以外の係争事項が生じた場合は、甲乙誠実に協議するものとする」という意味不明な「誠実条項」があります。これは英訳不可能であり、英文契約書には入れないのが普通です。 では、英文契約書ではどうして「例外的な係争に関わる誠実調整義務」を入れないのかというと、契約書というのはそもそも利害が対立した場合の調整機能を持たせる「約束」であり、例外事項においても、利害が対立した場合は、双方がそれぞれの利害を主張するのが当然であって、誠実調整義務というのはナンセンスだからです。 それに加えて、例外が発生する可能性がないぐらいに「ありとあらゆる事態を想定して」徹底的に契約条項を詰めるのが「良い仕事」だということもあるでしょう。そのような徹底したロジック性の追及という

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    Nean 2010/07/07