シカやイノシシに里山の田畑が荒らされる被害が深刻化している。山間地の耕作放棄地に草が伸び放題となり、山と里の境界があいまいになってしまったのが一因とされる。そこで注目されているのが、“悪食”のヤギだ。 牛が牧草などの柔らかい草しか食べないのに対し、ヤギは食べる草を選ばず、枯れ木さえ食べてしまう。1日に5〜8キロも食べる“大食い”でもある。体重60キロ程度と扱いやすいのも特長だ。 そんなヤギに目をつけ、耕作放棄地へのヤギの放牧を研究、推奨しているのは、独立行政法人「家畜改良センター」長野牧場(佐久市)。耕作放棄地の草を食べさせ、山と里の間に緩衝帯を作ろうというのだ。2006年から、ヤギを農家に貸し出している。 4月中旬に、草がひざ丈くらいまで茂る土地に2頭のヤギを放せば、10月上旬には約1ヘクタールが数センチに刈りそろえたようになる。県内だけでなく、奈良、富山、山梨県などの農家にも貸し出して