職場でのパワーハラスメントを防ぐため、厚生労働省が初の指針案をまとめた。 企業に対し、従業員への啓発や相談窓口の設置を義務づけ、被害を相談した人に対する不利益な扱いを禁止している。5月に成立した改正労働施策総合推進法(パワハラ防止法)に基づくものだ。 パワハラの被害は深刻化している。2018年度に全国の労働局が受けた「いじめ・嫌がらせ」の相談は8万件を超え、過去最多を更新した。精神障害の労災認定で、「嫌がらせ・いじめ・暴行」によるものは69件で増加傾向にある。 対策は急務だ。セクハラやマタハラに続き、企業に防止策が義務づけられたことは一歩前進だ。 だが、パワハラをめぐる認識が、被害を受けた労働者側と企業で異なることは珍しくない。 今年9月、トヨタ自動車の男性社員の自殺が、上司からのパワハラが原因だったと労災認定された。トヨタは、自殺が上司の言動によるとは認められないと主張していた。 指針案