■ 「北方領土」と「拉致被害者」は、ともに、日本が他国に返還を要求している案件である。 だが、この二つの案件は、決定的な違いがある。 「北方領土」案件は、解決が長引いたところで困る人々は、実質的には誰もいないであろう。 故に、日本政府は、「四島一括返還」原則を押し通すことができる。敢えて「中途半端な妥協」に踏み切る必然性はない。自分の手柄にしようという「下心のある政治家」がいれば、話は別だが…。 だが、「拉致邦人」案件は、明らかに様相を異にする。 それは、「急がなければならない」案件なのである。 たとえば、半世紀後、「拉致被害者」が世を去ったような事態になれば、何を「解決」といえるのか。 横田めぐみさんならば、雪斎と同世代なので、半世紀後も存命であることは考えられるけれども、それでは、両親との再会は無理であろう。それは、他の「拉致邦人」に関しても、同様である。 故に、これは、解決に向けた「