「新しい労働社会―雇用システムの再構築へ(濱口桂一郎)」(参照)の帯には「派遣切り、雇い止め、均等待遇 混迷する議論に一石を投じる」とあり、近年社会問題として問われる各種労働問題がテーマにされていることが伺える。こうした諸問題に私もそれなりに思案し戸惑っていたこともあり、何かヒントでも得られるとよいと思い、また岩波新書なら妥当なレベルの知的水準で書かれているだろうと読み始めみた。ところがヒントどころの本ではなく、ほとんど解法が書かれていた。 序章「問題の根源はどこにあるのか」からして目から鱗が落ちる思いがした。私は山本七平氏が指摘していたように戦後日本の会社は先祖返りをして江戸時代の幕藩体制の藩と同質になったと理解していたので、濱口氏が「日本型雇用システムにおける雇用とは、職務ではなくてメンバーシップなのです」と指摘しても、それはそうだろうくらいに納得した。だが重要なのはそこではなかった。
[読書] 濱口桂一郎『新しい労働社会』(岩波新書 '09.7.22) (その1) 優れた本だったので、主要論点をまとめてみたい。さまざまな論点のうち、「大学はアカデミズムに偏向しており、もっと職業学校化すべし」という著者の主張は、形而上学が専門の哲学教師である私には頭の痛い問題であるが、この点も最後に考えてみたい。 本書の大きな特徴は、「派遣切り」「名ばかり管理職」「ワーキングプア」「製造業への派遣」といった、今ホットな話題になっている雇用問題を、個別的・表層的に捉えるのではなく、国際比較と歴史的パースペクティブという大きな構図の中で捉え返していることである。雇用の問題は、現にある制度や慣行をそれだけ見ていても、本当の問題がどこにあるのかが見えてこない。たとえば、定年までの長期雇用、年齢によって賃金が上昇する年功賃金制、企業別組合などは、日本的慣行だとよく言われる。それに対して、転職の多さ
再生のパフォーマンスを向上させるには Flash Player 10 にアップグレードしてください。今すぐアップグレードするか、詳しい情報を表示します。
民主党は6日、衆院選政権公約(マニフェスト)に掲げている、一部の税金を例外的に増減税している租税特別措置見直しについて、継続年数、適用件数、政策効果の三つの尺度から判断していく方針を固めた。 政権を獲得した場合、現行の減税措置約300項目などを調べ、2011年度税制改正で少なくとも3割以上の廃止で1兆円超の財源を捻出(ねんしゅつ)したい考えだ。一方、優遇策を失いかねない業界団体などは民主党の動きに神経をとがらせている。 財務省試算では、08年度の租税特別措置は減税分が約7・5兆円、増税分が約2・3兆円で、差し引き約5・2兆円の減税となっている。民主党は「利益誘導的な措置が多い」と批判しており、〈1〉時限措置にもかかわらず長期間継続〈2〉適用件数が少ない〈3〉政策的効果が乏しい——の3原則に基づき、是非を判断する。 例えば、住宅ローン減税(8240億円)は「最高控除額が大きすぎる」、企業の研
リリース、障害情報などのサービスのお知らせ
最新の人気エントリーの配信
処理を実行中です
j次のブックマーク
k前のブックマーク
lあとで読む
eコメント一覧を開く
oページを開く