ジェローム・パウエル氏は正しい。「現代金融理論(MMT)」について問われれば、ウォール街はそう答えるだろう。米政府はいくらでも自由に借り入れができるとの主張を裏付けるMMTは、とんでもない考えであり、実行に移せば米財政には悪夢のような将来が待ち受けるはずだと。 しかしながらMMTを実践した結果も同然の財政赤字に対し、15兆6000億ドル規模の米国債市場は今のところ、慌てていないように見受けられる。 米国の財政赤字が一段と拡大し、国債発行額は過去最高に急増したにもかかわらず、米国債市場では10年債利回りが3%未満と、歴史的な低水準を続けている。MMT学派にとってこれは、ほぼ想定内のことであり、驚きに値しない。米国の借り入れは自国通貨建てであるため、そのためにいくらドルを印刷しようが破綻はあり得ないというのがその理論だ。現在のようにインフレ率が低い状況では、もっと支出を増やす余地があるという。

