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ブックマーク / dain.cocolog-nifty.com (87)

  • 「ミスを罰する」より効果的にミスを減らす『失敗ゼロからの脱却』

    ミスや失敗をなくすため、ヒューマンエラーに厳罰を下すとどうなるか? 一つの事例が、2001年に起きた旅客機のニアミス事故だ。羽田発のJAL907便と、韓国発のJAL958便が駿河湾上空でニアミスを起こしたもの。幸いにも死者は無かったものの、多数の重軽傷者が出ており、一歩間違えれば航空史上最悪の結果を招いた可能性もあった。 事故の原因は航空管制官による「便名の言い間違い」にあるとし、指示をした管制官と訓練生の2名が刑事事件に問われることになる。裁判は最高裁まで行われ、最終的には2名とも有罪となり、失職する。判決文にこうある。 そもそも、被告人両名が航空管制官として緊張感をもって、意識を集中して仕事をしていれば、起こり得なかった事態である [Wikipedia:日航空機駿河湾上空ニアミス事故] より 芳賀繁『失敗ゼロからの脱却』は、これに異を唱える。 事故は単一の人間のミスにより発生するので

    「ミスを罰する」より効果的にミスを減らす『失敗ゼロからの脱却』
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    REV 2024/06/16
    冤罪判決を出した裁判官や不当な逮捕令状を出したは『業務上過失監禁罪』でムショ送りにはならないのにね。
  • 科学研究はどこまで信用できるか『あなたの知らない研究グレーの世界』『サイエンス・フィクションズ』

    研究不正について、私の認識が間違っているのかもしれない。もし誤っているのであれば、指摘してほしい。 まず、2つのケースを紹介する。次に、私の判断を述べる。 ケース1 薬剤Xがタンパク質の血中濃度を上昇させるという仮説検証のため、動物実験を行った。薬剤Xの投与で濃度の平均値は増加することが判明したが、統計学的検定ではp=0.06と、有意水準の0.05にわずかに届かなかった。教授に相談したところ、追加実験を行うこと、さらに実験のたびに検定をして、p<0.05を得た時点で実験を終了するよう指示を受けた。 ケース2 疾患Yの重症化因子を調べるため、診療録から収集した疾患Y患者のデータを元に、臨床検査値と生活習慣の関連性を分析したところ、生活習慣Zを有している患者の予後が不良となる結果を得た。そこで「生活習慣Zを有する疾患Y患者は予後不良である」と学会発表した。 私の考えはこうだ。 ケース1は、 「

    科学研究はどこまで信用できるか『あなたの知らない研究グレーの世界』『サイエンス・フィクションズ』
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    REV 2024/04/14
    どうせ懐疑するなら、『論文は全て捏造ではないか。CNSは俺に見せる分だけ印刷された創作ではないのか。Open ScienceはAIが提示する物語ではないか。自分は試験管に浮かぶ脳ではないか…』まで思索を深めて欲しい。
  • ミスを責めるとミスが増え、自己正当化がミスを再発する『失敗の科学』

    人はミスをする。これは当たり前のことだ。 だからミスしないように準備をするし、仮にミスしたとしても、トラブルにならないように防護策を立てておく。人命に関わるような重大なトラブルになるのであれば、対策は何重にもなるだろう。 個人的なミスが、ただ一つの「原因→結果」として重大な事故に直結したなら分かりやすいが、現実としてありえない。ミスを事故に至らしめた連鎖や、それを生み出した背景を無視して、「個人」を糾弾することは公正なのか? 例えば、米国における医療ミスによる死亡者数は、年間40万人以上と推計されている(※1)。イギリスでは年間3万4千人もの患者がヒューマンエラーによって死亡している(※2)。 回避できたにもかかわらず死亡させた原因として、誤診や投薬ミス、手術中の外傷、手術部位の取り違え、輸血ミス、術後合併症など多岐にわたる。数字だけで見るならば、米国の三大死因は、「心疾患」「がん」そして

    ミスを責めるとミスが増え、自己正当化がミスを再発する『失敗の科学』
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    REV 2024/01/06
    踏み間違いは運転手のミスではなくて2ペダル車の欠陥。システム改善のため4月から2ペダル車運行を禁止しよう。 ←こういう結論でいいですか?
  • 2024年1月1日からAmazonアフィリンクの画像が表示できなくなりそうなので、対応をまとめた

    以下、私のやり方であって「正解」ではないかもしれないのでご承知おきを。 11/30 Amazonより以下のメールが届いた。 お知らせ欄で告知しております通り、2023年11月30日(木)をもってアソシエイトツールバーの「画像リンク」及び「テキストと画像」リンクを廃止させていただきます。 画像リンク作成機能を使用して作成されたリンクは、2023年12月31日(日)以降表示されなくなります ので、画像リンクを掲載されている場合は、お早めに別のリンクへの差し替えのご対応をお願いいたします。 強調表示の内容は、Amazonアソシエイトの「お知らせ」には載っていない。そのため、twitter で騒ぎになっていないので、このメールが「ガセ」という可能性もある。 だが、もし当なら、私にとって、わりとヤバい話になる。というのも、ブログに書影を表示させるため、この機能を使っているから。 そして、画像を表示

    2024年1月1日からAmazonアフィリンクの画像が表示できなくなりそうなので、対応をまとめた
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    REV 2023/12/03
    未来永劫に続くと思って、商品写真なんかはasin表示を多用していたんだけど… アレだけどアレを落として使うのが正解だったか。
  • なぜ、あの人は、あやまちを認めないのか?

    「謝ったら死ぬ病」をご存知だろうか? どんなに証拠を突き付けても、絶対に非を認めない人だ。 プライドの高さや負けず嫌いといった性格的なものよりもむしろ、過ちを認めることが、自分の命にかかわるものだと頑なに信じている。すなわち、「謝ったら死ぬ」という病(やまい)に取り憑かれている―――そんな人がいる。 もちろん、想像力が衰えて視野が狭く、無知な自分を認めたがらないような頑固者なら、可哀そうに思えども理解はできる。 だが、第一線で活躍する知識人や学者で、ものごとを客観視できるはずなのに、この病気に罹っている人がいる。それどころか、その優れた知性を用いてコジツケを考えだし、論理を捻じ曲げ、のらりくらりと言い逃れる。 なぜ、あの人は、あやまちを認めないのか? ずばりこのタイトルの書を読んだら、疑問が氷解した。 それと同時に、「謝ったら死ぬ病」は私も罹患していることが分かった。「あの人」ほどは酷く

    なぜ、あの人は、あやまちを認めないのか?
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    REV 2023/11/19
    “MISTAKES WERE MADE (but not by me)” ある種の人は大戦中の過ちを『by 大国の東方政策』のせいにするし、また別の種類の人は内ゲバも警官殺害もテロも『by 日本帝国主義』のせいにしている。
  • むりやり天国つくるなら、たいてい地獄ができあがる、完全無欠のユートピア『われら』

    完全な社会秩序が実現された理想的な国家のことを、ユートピアと呼ぶ。 「ユートピア」は多義性がある。 まず、eutopia、つまり eu-(良い)場所という意味でなら、プラトンの『国家』やガリヴァーの 『フウイヌム国」、今なら『ハーモニー』の「生府」になる。富や格差は存在せず、「みんな」が平等で公平な社会であり、何よりも教育と健康が優先される。 一方、utopia、つまり u- (否定辞)になると、「どこにも無い場所」になる。来はこちらが正しく、eutopia は誤用らしいが、二つを掛け合わせて、「どこにもない理想社会」と解釈する向きもある。 この解釈にはヒヤリとさせられる。なぜなら、造語したトマス・モアによると、utopia は格差がない代わりに人間の個性を否定した管理社会の色彩が強く、全体主義の文脈で語られるものだからだ。 「ユートピア」の極限=ディストピア では、この「どこにもない理

    むりやり天国つくるなら、たいてい地獄ができあがる、完全無欠のユートピア『われら』
    REV
    REV 2023/09/10
    1984を読んだ頃は、過去だけではなくさまざまな統計も党の都合で改竄を続け過去との比較を不可能にする真理省なんて荒唐無稽なSFガジェットに思えたもんだけど。
  • なぜ空からの大量虐殺が許されるのか『空爆の歴史』

    無抵抗な人に向けて、殺傷力の高い武器で、一方的に攻撃する。される側は、男女・子ども関係なく、住んでいる場所を焼かれ、家族を殺され、命が奪われる。 空爆がそれだ。無防備の市民を、空から皆殺しにする。これほど残虐で、非人道的な行為はないだろう。 しかし、なぜか、空爆は「普通に」まかり通って来たように見える。市街地一帯、ひいては都市全体を火の海にするために実行されてきた。 非難や反対の声は挙がるものの、それにより空爆が制限されたり抑止されるかというと、そうはならない。 なぜ、空爆による大量虐殺が正当化されるのか? この疑問に応えたのが、『空爆の歴史』だ。 空からの植民地支配を振り出しに、ゲルニカ、重慶、ドレスデン、東京、広島、ラオス、コソヴォと続く空爆の歴史を辿りながら、空爆する側のロジックと、黙殺された抗議の両方を知ることができる。 空爆は戦争犯罪 もちろん、空爆による大量虐殺は、戦争犯罪だ。

    なぜ空からの大量虐殺が許されるのか『空爆の歴史』
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    REV 2022/05/21
    勝てば官軍
  • 世界史をやり直したら、自分の時代錯誤に気づいた

    まず、自分の歴史認識が古いこと。 学校で習った「歴史」は、石油危機と東西冷戦のあたりで終わっている。そして当然、私が生きているあいだも歴史は書かれていく。 しかし、私はそれらを「ニュース」として知る。 メディアやネットを通じた出来事として接する。大きな事件や紛争の報道には、そこに至る経緯も解説されるが、それだけだ。私は少し心を痛め、赤十字に募金し、次のニュースを見る。ニュースは上書きされ、私の関心や、日との関わりが遠いほど速やかに流されてゆく。 糧問題は解決した? 例えば、飢餓人口について。 どこかで「飢えに苦しむ人は大幅に減少している」と耳にしたことがあった。糧問題や貧困は大きく解消に向かっているという主張だったと記憶している。 しかし、サハラ以南ではここ半世紀一貫して増加していることを知った(下図参照)。また、世界全体から見ても、2014年を境に増加に転じていることが分かった(※

    世界史をやり直したら、自分の時代錯誤に気づいた
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    REV 2021/08/29
    冷戦が終わって「これでゴルゴ13もネタ切れだな」と思われたが、さいとうたかおは「多極化してネタが増える」と喜んだ、という都市伝説がある。
  • 中学のとき国語でやった『最後の授業』は、中年になって世界史を学んだら解釈が変わった

    中学のとき、国語の授業で、アルフォンス・ドーデ『最後の授業』をやった。 フランス領アルザス地方に住む少年の目を通して、ドイツに占領される悲哀を描いた短編だ。明日からフランス語は禁止され、ドイツ語で教わることになる。だから今日は、フランス語の最後の授業なのだ、という話だ。 先生はフランス語の素晴らしさを伝えながら、国語を守ることの大切さを説く。ずっと勉強をさぼっていた少年は恥じ入るが、やがて授業の終わりを告げる鐘が鳴る。先生は蒼白になりながらも、黒板に大きく、「フランスばんざい」と書く…… 少年と同じくらいの年頃だったわたしは、いたく感動したことを覚えている。特に、先生の語る「ある民族が奴隷となっても、国語を守っている限り、牢獄のカギを握っているようなものだ」という一節は、長く記憶に残っている。 ところが、『詳説世界史研究』を読んだら、印象が変わった。 物語の舞台となったアルザス地方は、もと

    中学のとき国語でやった『最後の授業』は、中年になって世界史を学んだら解釈が変わった
    REV
    REV 2021/07/11
    そんな昔の話ではなく、いま現在進行形で『最後の授業』をウイグル語教師がやっていそうだなとユニクロのズボンと無印の靴下を履きながら。
  • 人はなぜ遊ぶのか『遊びと人間』

    じゃんけんからサッカー、コスプレからワルツまで、古今東西、老いも若きも、人は様々な遊びを楽しんできた。「遊ぶこと」それ自体を目的とする行為を、なぜ人はするのか。 この疑問に対し、ロジェ・カイヨワが、神話や文化人類学、歴史学や社会学から解きあかしたのが『遊びと人間』だ。 「遊び」といってもその範囲は膨大だ。一人でするもの、複数でするもの、人数が決まっているものや、道具の有無、時間や場所が指定されているもの、厳密にルール化されているものから、自由度の高いものまで、つかみどころがない。 これを捌いていく手際が鮮やかだ。 まず、遊びを定義することで、外堀を埋める。つまり遊びとはこういうものなのだ。 強制されず、自由な活動 生活から隔絶され、予め決められた時空間に制限される 展開が決まっておらず、創意の工夫が残されている 富を生み出さない、非生産的な活動 ルールがあり、そのルールだけがその場で通用す

    人はなぜ遊ぶのか『遊びと人間』
    REV
    REV 2021/05/09
    「人は、競争、幸運の追求、模倣、眩暈を求める本能があり、それに衝き動かされて遊ぶ」 前世紀、眩暈を求め若者はクルマを走らせ、スキーで滑走したものだが、今はスマホがあればガチャ死で眩暈
  • きれいは汚い、汚いはきれい『不潔の歴史』

    歴史上、いちばん不潔な信徒は、次のうちのどれか。 キリスト教徒 イスラム教徒 ユダヤ教徒 『不潔の歴史』によると、史上最も不潔なのは、キリスト教徒だという。ホント!? 入信の際の洗礼のイメージから、きれい好きと思っていたが、違うらしい。 たとえば、イエスを事に招いたファリサイ派の人は、イエスが前に身体を清めなかったことに慄いたとある(ルカ11:37-54)。さらに、「あなたたち(ファリサイ派)は、杯や皿の外側はきれいにするが、その内側は強欲と悪意に満ちている(ルカ11:39)」と非難されている。 外見よりも内面を重視するエピソードだろうと思っていたが、これを真に受けて、わざと汚れたままでいることが、4~5世紀のキリスト教徒に流行したとある。手記や小説などで、キリスト教徒の汚さは相当なものだと紹介されている。 一方、ユダヤ教徒やイスラム教徒は、清潔でいることが宗教上の要求としてルール化さ

    きれいは汚い、汚いはきれい『不潔の歴史』
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    REV 2020/08/17
  • 辺境と文明が逆転する『遊牧民から見た世界史』

    中国がなぜ中国かというと、世界の中心を意味するから。 中国皇帝が世界の真ん中にあり、朝廷の文化と思想が最高の価値を持ち、周辺に行くにつれ程度が低くなり、辺境より先は蛮族として卑しむ華夷思想が根底にある[Wikipedia:中華思想]。 しかし、蛮族とされている遊牧民から見ると、舞台はユーラシア全体となる。遊牧生活によって培われた軍事力で圧倒し、スキタイ、匈奴の時代から、鮮卑、突厥、モンゴル帝国を経て、大陸全域の歴史に関わる。中心と周辺が反転し、中華は一地域になる。 視点を反転することで、いままで「常識」だと考えてきたことが揺らぎ、再考せざるを得なくなる。歴史を複眼的に眺めるダイナミズムが面白い。『遊牧民から見た世界史』は、その手がかりを与えてくれる。 「モンゴル残酷論」の誤り たとえば、「モンゴル残酷論」これは誤りだとする。 モンゴル帝国といえば、暴力、破壊、殺戮というイメージが付きまとう

    辺境と文明が逆転する『遊牧民から見た世界史』
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    REV 2020/08/09
  • ミスが全くない仕事を目標にすると、ミスが報告されなくなる『測りすぎ』

    たとえば天下りマネージャーがやってきて、今度のプロジェクトでバグを撲滅すると言い出す。 そのため、バグを出したプログラマやベンダーはペナルティを課すと宣言する。そして、バグ管理簿を毎週チェックし始める。 すると、期待通りバグは出てこなくなる。代わりに「インシデント管理簿」が作成され、そこで不具合の解析や改修調整をするようになる。「バグ管理簿」に記載されるのは、ドキュメントの誤字脱字など無害なものになる。天下りの馬鹿マネージャーに出て行ってもらうまで。 天下りマネージャーが馬鹿なのは、なぜバグを管理するかを理解していないからだ。 なぜバグを管理するかというと、テストが想定通り進んでいて、品質を担保されているか測るためだ。沢山テストされてるならバグは出やすいし、熟知しているプログラマならバグは出にくい(反対に、テスト項目は消化しているのに、バグが出ないと、テストの品質を疑ってみる)。バグの出具

    ミスが全くない仕事を目標にすると、ミスが報告されなくなる『測りすぎ』
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    REV 2019/09/25
    戦力不保持を目標にしたら、戦車や攻撃機が報告されなくなった国があたかもしれない (※特車や支援戦闘機の目撃例あり)
  • 「古典は本当に必要なのか」討論会へ行ってきた

    古典不要派と必要派がガチで議論するシンポジウム「古典は当に必要なのか」を見てきた。パネリストの紹介は[「古典は当に必要なのか」シンポジウム]で、youtube や twitterまとめ([第一部]、[第二部])で見ることができる。 3行でまとめる+問題の質 長いので3行でまとめる。「高校の古典(古文・漢文)は必要か?」という議題に対し、 不要派:古典は選択科目にして論理国語に注力すべき。あと現代語訳でおk 必要派:幸せに生きるための古典は原文も一緒でないと 会場の声:必要派が優勢だが、現場では現代語で教えてるのが実情 そして、この問題の質は次の通り。「古典は必要か?」と問われれば、必要に決まっている。問題なのは、どれくらい必要なのか? と問われていることに気づいていないことである。 そして、もっと厄介なのは、「これくらい必要」の「これくらい」は何を根拠にそう言えるのかを、示せていな

    「古典は本当に必要なのか」討論会へ行ってきた
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    REV 2019/01/20
    74単位のステ振り問題。
  • 人間が「どうなっているか」と、人間が「どうあるべきか」の間で問いつづける哲学『人間の解剖はサルの解剖のための鍵である』

    人間が「どうなっているか」と、人間が「どうあるべきか」の間で問いつづける哲学『人間の解剖はサルの解剖のための鍵である』 わたしの人間観を更新する一冊。 もっと正確に言うと、進化心理学・行動経済学・認知科学の研究を通じ、わたしが抱いている「人間とはコレコレである」人間観がアップデートされつつあることを教えてくれる。 書は、吉川浩満氏の論文・インタビュー集である。発表媒体によりモチーフは異なれど、テーマは「人間とは何か?」になる。「人間とは何か?」という問いかけを、「人間がどのように”見える”か?」という人間観にした上で、その変遷を、人工知能、認知バイアス、利己的遺伝子、人新世という様々な斬り口から掘ってゆく。 よくあるサイエンス・ノンフィクションと異なるのは、「(人が)どうなっているか」の科学的解説に、道徳哲学の「(人が)どうあるべきか」議論をぶつけているところ。おかげで、認知科学の進展を

    人間が「どうなっているか」と、人間が「どうあるべきか」の間で問いつづける哲学『人間の解剖はサルの解剖のための鍵である』
    REV
    REV 2018/09/05
    日本で哲学者が「臓器くじ」「トロッコ問題」で頭を悩ましている間に、海外では臓器移植が普遍的になり、自動運転車が続々と実用化されている印象。
  • なぜ「面白い物語」は面白いか?『物語論 基礎と応用』: わたしが知らないスゴ本は、きっとあなたが読んでいる

    なぜ「面白い物語」は面白いか? トートロジーみたいだが、小説を読んでて、そんな疑問を抱いたことはないだろうか。ひたすら浸っているときは気付かないが、読了後、どうしてあんなに夢中になっていたのか不思議に思ったことはないだろうか。 わたしはある。一般に面白い小説に共通する特徴を洗い出したり、特定の人が面白がる「面白がりかた」を考えることで、おぼろげながら、「面白い物語の法則」のようなものを見出していた。あるいは、脚術やストーリーメイキング、『マンガの創り方』といったネーム作りのハウツーから、創作のための実践的なノウハウをもらっていた。 だが、たいていはヒューリスティックで「売れた作品を分析するとこうなっている」という経験則が最初にあり、その理屈は後からとって付けたように書かれている。そうではなく、「人はなぜ物語を好むのか?」というそもそも論から始めたい。もちろんアリストテレス『詩学』のよう

    なぜ「面白い物語」は面白いか?『物語論 基礎と応用』: わたしが知らないスゴ本は、きっとあなたが読んでいる
    REV
    REV 2018/06/07
    「枠外から客観視していた物語が、実は身に詰まされるようなテーマだったり、反対に、極めて主観的に語られていた世界が普遍性を帯びていることに気付くと、視野が反転したり広がったりする。この反動が面白い」
  • 老人栄えて国滅ぶ『シルバー民主主義の政治経済学』

    この国は老人に滅ぼされる。そう思っていたが、問題はもっと根深いようだ。マスコミが偏向報道するように、わたしのタイムラインは偏っていることに自覚的にならないと。単に考えさせられるだけでなく、次に(わたしが)選ぶべき方向も見えてくる一冊。 全国から吸い上げられた税金は、高齢者に注ぎ込まれる。年金世代は現役世代の犠牲の上にあぐらをかき、既得権を貪り、財政改革の邪魔をする。「年金」という聖域に手をつけようものなら、マスコミが急先鋒となって蜂の巣をつついたように騒ぎ出す。「このままじゃやっていけない」「死ねというのか」と叫ぶ老人を巣鴨あたりでインタビューし、大々的にキャンペーンを張る。 いっぽう、コストカットのあおりを受け、手取りは目減りし、不安定な雇用に苦労する現役世代の声は捨てられる。なぜなら、逃げ切る気まんまんの高齢者の方が多数だから。民主主義は多数決。さまざまな意見を最終的に決めるのは、「声

    老人栄えて国滅ぶ『シルバー民主主義の政治経済学』
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    REV 2018/02/05
  • 嫁とKanon

    結論:結婚のおかげで、より深く自分を知ることができる。ただし、カミングアウトは離婚されない程度に留めておきたい。つまり、ヲタ趣味はほどほどにってこった。 自分の嗜好についてこれほどセキララに暴かれているのは、結婚という場においてのみ。自室どころか、居場所は座布団の上でしかないリーマンパパにとって、プライベートな空間なんて、あるはずがない。 二人暮らしのときは嫁さんが、子どもができると子どもが、いつもくっつきたがるので、うっかりエロなんて見てられない。やれやれ寝静まったとエロビデオを見てたら嫁に見つかった ―― なんて微笑ましい話では断じてない。深夜 25:00 、コソーリ点けて「おおっ」「うわっ」「さすが京アニ」と感嘆符をまき散らしながら鑑賞していると、いきなりドアが開いて、 「何やってんの?」 詰問口調の嫁(←てっきりエッチビデオだと思ったらしい) 精神的にはズボン半分おろしている状態

    嫁とKanon
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    REV 2017/09/19
    「♪足元に風~ 光が~舞った~ 「何コレ?」  日常にだけ~積もったぶんの奇跡が~♪」 こういうときこそ、「ボク(がこのアニメをみていたとき)のこと、忘れてください」と言うべき
  • 『土木と文明』はスゴ本

    土木から見た人類史。めちゃくちゃ面白い。 土木工学とその影響という切り口で世界史を概観する。テーマは、都市、道路、橋、堤防、上下水道、港湾、鉄道などに渡り、テーマごとに豊富な事例で紹介する。土木技術の発展なしには文明も発達せず、また文明の発展につれて土木技術も発達してきた。そうした土木工学と文明の関わりを歴史的に串刺しで見ることができる。 大きなものから小さなものまで、人が手がけてきた土木事業は、それこそ星の数ほどある。それをどうやって整理するか。書は、そのとき直面した問題(治水、防衛、流通、疫病対策等)と、利用できるリソース(人・技術・時間)、そして成し遂げられた結果(土木事業)という観点で整理しているのが素晴らしい。 面白いことに、問題と対策という視点で眺めると、時代や地域を超えた普遍性が現れてくる。異なる時代・地域の人々が、それぞれに知恵を絞り、そのときに手に入るリソースを駆使した

    『土木と文明』はスゴ本
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    REV 2017/09/01
    日本の古都って内陸にあるんだよね。「なんで不便なところに?」って不思議に思ってた。ブラタモリなんか見るまで実感しなかったけど、東京も大阪も福岡も、治水や土地造成が進むまでは湿地とか海底とかなんだよな
  • いつ高齢者から運転免許を取り上げるか『高齢ドライバーの安全心理学』

    明らかに運転できていないドライバーがいる。一時不停止、信号無視、蛇行運転(ハンドルをちゃんと握れてない? わき見?)。運転席を見ると100%高齢者だ。こうした光景は毎週見かける。なぜ毎週か? わたしがサンデードライバーだからだ。 いっぽう、 高齢者の交通事故テレビや新聞をにぎわしている。認知症の高齢者が、歩行者をなぎ倒し、コンビニに突っ込むニュースはよくあるが、認知症に限らず、ほぼテンプレのように「アクセルとブレーキの踏み間違い」「高速道路を逆走」「何が起きたかよく覚えていない」というお決まりのパターンとなっている。 自動車の運転に必要なスキルとして、「認知」「判断」「操作」が挙げられる。加齢に伴い、こうした能力が低下することは事実だ。認知能力が低下することで判断が遅れ、操作が間に合わなくなる。このとき、車は1トンの凶器と化す。何歳でどの程度の能力低下があるかはバラつきがあり、一概に何歳

    いつ高齢者から運転免許を取り上げるか『高齢ドライバーの安全心理学』
    REV
    REV 2017/07/12
    更新のとき、MT車で坂道の縦列駐車が出来たら免許証渡そう。