【ブリュッセル=尾関航也】欧州連合(EU)の欧州司法裁判所が、「有給休暇中に病気やけがをした従業員にその分の代休取得の権利を認める」との判決を下して波紋を呼んでいる。 企業側は、仮病を使って休暇を引き延ばす「ずる休み社員」が続出しかねないと反発している。 裁判は、スペインの運送会社に勤める男性が2年前、約30日間の有給休暇直前になって仕事中に負傷し、治療に要した日数分の代休を認めるよう雇用主に求めて争っていたもの。 10日の欧州司法裁判決は、「有給休暇は、休養と同時にくつろぎと娯楽を楽しむためにある」とし、従業員には治療のための休暇と別に有給休暇を取得する権利があるとの判断を下した。 判決を受け、EU加盟国内の企業は今後、従業員から「休暇中に病気になった」と申告があれば長期の有給休暇をもう一度与えなければならず、欧州の経営者団体はそろって、「雇用主に新たな負担を強いるもので悪夢だ」(ジョン