すかいらーく元社長の横川竟(よこかわ・きわむ)氏の「暮らしを変えた立役者」。第1回は過酷な労働環境を体験した、住み込みの営業担当者時代について語ります。 ◇ ◇ ◇ 50年間近く携わってきた外食ビジネスは今、壁にぶつかっていると思う。一言で言うと食堂は必需品だが、レストランは楽しくないとダメだ。自宅より良質な椅子、トイレもぴかぴかにして非日常的な体験を提供する努力が欠かせない。 現在、東京・国立などで高倉町珈琲というカフェを展開している。自分自身、創業したすかいらーくを含め、理想に到達できなかったという悔いがあるからだ。そんな酸いも甘いも味わってきた半生をこの場を借りて、振り返ってみたい。 昭和12年(1937年)11月、長野県境村(現富士見町)で5人兄弟の三男として誕生した。「横川中隊」と呼ぶ開拓団のリーダーとして父が中国・満州へ渡り、私も3歳の時から連れて行かれた。広大な土地で豚に
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