新型コロナウイルス感染症の拡大が、すでに鉄道事業者にも甚大な影響を及ぼしている。短期的に見れば、過去に類を見ない移動需要の減少により売り上げは大幅に減少している。一方で、長期の影響としても、移動需要の在り方の変化は鉄道事業者の事業構造に大きな影響を与える可能性がある。未来の移動需要の姿を描くことがより重要になっている。 緊急事態宣言が解除され、自粛で受けたダメージを回復すべく、それぞれの企業で新たな取り組みが検討されているだろう。目下、新型コロナウイルス禍において、企業は目先の出血を止め、業績回復に向けた施策を打つことが必須となっている。施策を打つにあたり、多くの企業においては、経済活動が停滞した現状をベースに「何が」「いつまでに」「どの程度」回復するかの検討がなされている。 しかしコロナ禍は、従来企業が前提としていた、中長期的な戦略策定としての「未来の社会像」を変える可能性をはらんでいる