ブックマーク / www.rieti.go.jp (51)

  • RIETI - 東京一極集中と地方への移住促進

    研究は、移住支援金政策を事前評価するための簡易的な分析枠組みを提案する。2014年度より議論が始まった地方創生では、東京一極集中の是正に向けて地方への移住促進を政策的に進めている。2019年度から移住支援金事業が実施されているが、移住支援金の金額をどのように決めたらいいのか、現在の金額でどれほどの政策効果があるのかについてまだ十分議論できていないのが現状である。研究で提案する事前評価の枠組みでは、移住投資行動として捉え、投資回収に必要な居住期間の観点から政策議論を深める。移住後に毎期発生する便益の累積和が移住費用を超える時点が投資回収に必要な居住期間となり、それ以降から居住から移住の純便益が正となる。移住支援金は、この投資回収に必要な居住期間を短くすることで、地方移住へのインセンティブを高めることにつながると解釈する。政策の事前評価の具体例として、新型コロナウイルス感染症以降、「転職

  • RIETI - 都市の空間パターンと人口規模分布

    このノンテクニカルサマリーは、分析結果を踏まえつつ、政策的含意を中心に大胆に記述したもので、DP・PDPの一部分ではありません。分析内容の詳細はDP・PDP文をお読みください。また、ここに述べられている見解は執筆者個人の責任で発表するものであり、所属する組織および(独)経済産業研究所としての見解を示すものではありません。 地域経済プログラム(第四期:2016〜2019年度) 「経済集積の空間パターンと要因分析のための実証枠組の構築」プロジェクト 国内地域経済の構造は、都市集積の視点で捉えれば概ね一定の秩序を保っており、その背景にあるメカニズムの特定は、地域政策の有効性や国レベルの産業・インフラ政策の各地への波及効果を評価する上で不可欠となる。論では、地域間変動と密接に連関する都市集積の規模・位置に関する事実、及び、対応する経済集積モデルの理論枠組を紹介している。 図1:日の都市規模分

  • コラム「東京オリンピック・パラリンピックの消費拡大効果-消費支出を純増させるのは誰か?-」

    2020年東京オリンピック・パラリンピックまで3年となった。東京開催の決定以降、いくつかの機関がその経済効果に関する試算値を公表している。以下では、それらの試算ではあまり考慮されていない点について、若干の観察事実を提示する。具体的には、①オリパラ関連消費の増加によって他の消費支出が減少するという代替効果の程度、②どういう人がネットで消費支出を増やす可能性が高いのかの2点である。 東京オリパラのマクロ経済効果 東京オリンピック開催のマクロ経済効果について、たとえば、みずほ総合研究所(2014)、東京都オリンピック・パラリンピック事務局(2017)は、累計で30兆円を超える効果を持つという数字を公表している(注1)。これらの試算値には、大会開催前の建設投資拡大、大会開催中の消費支出増加、大会終了後のレガシー(遺産)効果、産業連関を通じた波及効果など幅広い要素が含まれている。 オリンピック主催の

    コラム「東京オリンピック・パラリンピックの消費拡大効果-消費支出を純増させるのは誰か?-」
  • RIETI - 大都市で働くことによる動学的便益: 日本における労働者・企業マッチデータからの証拠

    このノンテクニカルサマリーは、分析結果を踏まえつつ、政策的含意を中心に大胆に記述したもので、DP・PDPの一部分ではありません。分析内容の詳細はDP・PDP文をお読みください。また、ここに述べられている見解は執筆者個人の責任で発表するものであり、所属する組織および(独)経済産業研究所としての見解を示すものではありません。 その他特別な研究成果(所属プロジェクトなし) 労働者にとって大都市で働くことは非常に魅力的に感じられる。たとえば、大都市では、中小都市と比較してより高い賃金を得られることが理由としてよく挙げられる。都市経済学の分野において、このような大都市がもたらす賃金上昇のことを都市賃金プレミアムと呼んでおり、集積の経済による便益として知られている。近年の学術研究では、どのような要因が都市賃金プレミアムをもたらすのかという点を解明するために実証研究が進められている (Combes a

    SasakiTakahiro
    SasakiTakahiro 2017/04/11
    もともとスキルの高い人ほど大都市で働くことの学習効果がより大きい。
  • RIETI - 日本の都市の人口規模と産業構造の変遷(1980-2010年): 恒常的な撹乱と頑健な秩序の存在

    このノンテクニカルサマリーは、分析結果を踏まえつつ、政策的含意を中心に大胆に記述したもので、DP・PDPの一部分ではありません。分析内容の詳細はDP・PDP文をお読みください。また、ここに述べられている見解は執筆者個人の責任で発表するものであり、所属する組織および(独)経済産業研究所としての見解を示すものではありません。 地域経済プログラム (第四期:2016〜2019年度) 「経済集積の空間パターンと要因分析のための実証枠組の構築」プロジェクトにおける都市化は1970年代までに一段落し、以降は、近隣都市圏群の合併吸収により都市が巨大化する次の段階に移行した。1980・2010年の両時点において存在する都市圏については、人口の平均成長率が24%で、全国人口の成長率9%と比べて大幅に増加している。図1に示すように、都市圏間の人口成長率のばらつきは大きく、それは新幹線・高速道路網などの

  • RIETI - 地方創生の本質

    ところが、表2の卸売販売額と銀行の預貸額をみると、それらの指標はいずれも30〜40%というより大きなシェアとなっていることがわかる。卸売販売額で約4割、銀行の貸出額で4割強、預金額でも3割超、また表には示していないが大企業と呼ばれる事業所の割合も41.2%と集中度4割を上回っている(注2)。これらはどういったことを意味しているのであろうか。 人口や生産額というのは財・サービスのフローに対価が伴う実物経済の指標であるのに対して、預貸額というのは金融(マネーストック)経済の指標である。実物経済以上に、マネー経済(資金フロー)における東京集中が進んでいることを意味している。卸売販売額での東京都のシェアの大きさは、大手総合商社の社の存在である。そして、同じ商業という産業分類に属するとはいっても、卸売業の場合は消費者を対象とする小売業とは異なり、ほとんどが企業間取引の仲介である。したがって、この販

    SasakiTakahiro
    SasakiTakahiro 2016/07/22
    簡単には取り替えが効かないものを生み出すということ。
  • RIETI - 地方を元気にする地方創生のあり方

    人口減少と空間的偏在 今日盛んに言われている「地方創生」は、元をたどれば「人口問題」に端を発していることは想像に難くない。高度経済成長時代に問題となった「過密・過疎の問題」という国内の空間的な人口アンバランスの問題、それに加えて日全体の少子化が止まらず高齢化が進行して、人口ピラミッドが歪になっていくことの「人口問題」である。つまり、空間的な人口分布とわが国全体の人口動態のことである。6〜7年前の「地方再生」が叫ばれたときに比べて、状況は逼迫してきている感がある。 人口の空間的アンバランスを住民基台帳調べの人口統計でみると、日全体の人口は2009年をピークにして減少傾向にあるのだが、これを都道府県別にみると直近の5年間「2010年3月末〜2015年3月末」で、5万人以上人口が減少した地域が6つ、4万人台の減少を示した地域が8つ、3万人台の減少が5つ、2万人台の減少が13地域と最も多く、

    SasakiTakahiro
    SasakiTakahiro 2016/04/21
    「都市を庭にたとえれば、企業は樹木」。
  • コラム・寄稿「幸福の最大化は厚生水準の最大化ではない」

    現在、各国政府は幸福度や主観的幸福感を測定しており、一部では幸福度を最大化しようという動きが始まっている。稿は、幸福 (happiness)と効用 (utility)は同じではないことを示す最新の研究について論じる。人々が行う選択を見ると、彼らは幸福以外の望みや目標をもっていることがわかる。このため、人々の主観的幸福感 (wellbeing)が向上しても、以前より生活水準が悪化してしまう可能性もある。 昨今、幸福の心理学と経済学への関心が高まり、公共政策にも大きな影響を与えている。注目を集めたスティグリッツらによる報告書 (Stiglitz et al. 2009)はその典型例であり、幸福を主要な社会目標とし、その調査測定の拡大を明示的に進める政策を奨励している。ブータンなどの国から米国マサチューセッツ州サマービルの町まで、多くの場所で幸福度や主観的幸福感を明示的に測定し、その尺度を徐々

    コラム・寄稿「幸福の最大化は厚生水準の最大化ではない」
    SasakiTakahiro
    SasakiTakahiro 2014/12/02
    衰退中の都市では予想外に高い実質所得が得られるようになり、低い幸福感はある程度相殺される。
  • コラム・寄稿「知識創造時代における地域統合と文化 ―バベルの塔の物語再考―」

    第53回ヨーロッパ地域学会基調講演 空間経済学の分野における第1人者である藤田昌久RIETI所長は、2013年8月にイタリアのパレルモで開催された第53回ヨーロッパ地域学会 (ERSA)で、標題を"RegionalIntegration and Cultures in the Age of Knowledge Creation―The Story of the Tower of Babel Revisited―"(「知識創造時代における地域統合と文化―バベルの塔の物語再考―」)とする基調講演を行った。ERSAは、欧州全域の各地域の空間経済学や地方・地域の発展などに関心を持つ大学関係者、政策担当者、研究者からなる超国家的な学会で、今回のテーマは"RegionalIntegration: Europe, the Mediterranean and the World Economy"(「地域統

    コラム・寄稿「知識創造時代における地域統合と文化 ―バベルの塔の物語再考―」
    SasakiTakahiro
    SasakiTakahiro 2014/02/06
    「あらゆるものが同時に起きるところに発展はなく、あらゆるものが1カ所に存在したら独自性は生まれない――。」
  • RIETI - 製造業復活への課題 「現地化」で日本企業は後れ

    米国企業で中国など海外での生産活動を米国内に回帰させる動きが進んでいる。ゼネラル・エレクトリック(GE)は、ケンタッキー工場で国内向けの新たな家電製品の生産を開始した。フォード・モーターはやはり国外の生産を縮小し、テキサス州の生産拠点の拡充を計画している。米国内で生産活動が活況を呈しているのは、ドル安によって製造コストが低下していることの影響が大きい。中国においては人件費が高騰しており、米中の相対的な賃金格差が縮小傾向にある。 海外生産に伴う人件費以外のコストも大きくなっている。米ハーバード大学のマイケル・ポーター教授らは、生産プロセスの高度化によってコストに占める人件費割合が縮小し、海外生産に伴う品質管理の問題や離職率の高さ、知的財産問題などの「隠れたコスト」の影響が大きくなっていると分析している。シェールガス革命の影響も大きい。天然ガス価格の低下に伴い、ダウ・ケミカルはテキサス州に世界

    SasakiTakahiro
    SasakiTakahiro 2014/01/24
    モノづくりの現地化を進めるために必要なのは、現地法人への権限の委譲と現地人材の登用。
  • RIETI - 地域間人口移動に対する地域別政策プライオリティの影響-テキストマイニングによる政策プライオリティの定量的計測-

    このノンテクニカルサマリーは、分析結果を踏まえつつ、政策的含意を中心に大胆に記述したもので、DP・PDPの一部分ではありません。分析内容の詳細はDP・PDP文をお読みください。また、ここに述べられている見解は執筆者個人の責任で発表するものであり、所属する組織および(独)経済産業研究所としての見解を示すものではありません。 地域経済プログラム (第三期:2011~2015年度) 「地域活性化システムの研究」プロジェクト 地域間人口移動による人口変動は、域内の消費、投資および財政支出などの需要要因に影響を与えると共に、労働力を増減させることによって供給能力をも規定するため、一般的には人口増となる地域は経済の成長余力を高め、逆に人口減となる地域は低下させることとなる。特に、人口自然動態の地域差が少なくかつ人口減少局面にあるわが国では、人口の地域分布の変化は全体のパイが縮小するゼロサムゲーム的状

    SasakiTakahiro
    SasakiTakahiro 2013/11/17
    日本経済の成長ポテンシャル低下とともに、地域経済活性化の必要性はいよいよ高まっている。
  • RIETI - 地域化 vs. グローバル化

    このノンテクニカルサマリーは、分析結果を踏まえつつ、政策的含意を中心に大胆に記述したもので、DP・PDPの一部分ではありません。分析内容の詳細はDP・PDP文をお読みください。また、ここに述べられている見解は執筆者個人の責任で発表するものであり、所属する組織および(独)経済産業研究所としての見解を示すものではありません。 社会保障・税財政プログラム (第三期:2011~2015年度) 「経済成長を損なわない財政再建策の検討」プロジェクト 過去の四半世紀において、経済的な相互依存関係の強まり(いわゆる経済のグローバル化と地域化の深化)は世界経済の全体像を大きく変えてきている。国際的な貿易や資移動は飛躍的に拡大している。また、貿易協定や域内共通通貨利用などに伴い、地域内での貿易取引も大きく拡大する傾向がみられる。 経済のグローバル化や地域化は、連動性を高めるのであろうか。波及経路がより太く

    SasakiTakahiro
    SasakiTakahiro 2013/01/27
    日本はより地域ファクターから強い影響を受け、グローバルファクターからの影響は弱い。
  • RIETI - ビッグデータ活用による未来社会第一部 -AIST、IPA、RIETI連携企画- (議事概要)

    開催案内・配付資料 議事録 イベント概要 日時:2012年10月26日(金)10:30-12:00 会場:産総研つくばセンター 第2会場(ネットワーク会議室)(茨城県つくば市東1-1-1) 経済活動や日常生活を通じて日々生成されるデータは、従来のデータベース技術や情報処理技術では取り扱いが難しいほど、巨大なデータ群となりつつある。こうした「ビックデータ」を有効に活用し、新たな産業の創出やイノベーションに活用する取り組みが世界的に注目を集めている。このような状況を踏まえ、RIETI、産業総合研究所(AIST)および情報処理振興機構(IPA)の3法人が連携し、産総研オープンラボの講演会プログラム(http://www.aist-openlab.jp/program)において、講演会「ビックデータ活用による未来社会」を開催した。講演会では、ビッグデータに関する社会や研究の動向と公的研究機関への期

    SasakiTakahiro
    SasakiTakahiro 2012/12/06
    ビッグデータへの関心が広まるにつれ、それらを扱う「データサイエンティスト」への注目が高まってきている。
  • RIETI - あふれる情報 社会に生かすにはIT駆使し「埋没知」活用を

    21世紀に入り、電子化された情報が爆発的に増加している。ウェブサイトの数は1億件を超えるといわれる。学術研究から生まれる知についても、同様な傾向がみられる。例えば、DNA(デオキシリボ核酸)に関する主要な研究論文は、分子生物学の祖、J・ワトソン氏とF・クリック氏が二重らせん構造を発見した1953年当時、年間100程度出版されるにすぎなかった。しかし現在では10万を超え、かつその大半は電子的な形で公開されている。 今日、人類は地球環境の持続可能性の低下、社会の高齢化、予期しがたい災害の頻発による不安の高まりなど、多くの深刻な課題に直面している。一方で、われわれはそうした課題解決の武器となる知を、歴史上かつてなかったほど大量に手にしている。 そのため、最新の知識と課題を結びつけて知のフロンティアを開拓することにより、課題解決へのイノベーション(技術革新)を多数実現し、より豊かで、幸福で、安

    SasakiTakahiro
    SasakiTakahiro 2012/06/23
    高齢化社会を例に、いかにして暗黙知を有効活用するかについて。
  • RIETI - 東日本大震災で考えるこれからの地域振興

    今から15年ほど前に、[住みたいまち]と「働けるまち」、そして「訪れたいまち」の3つの要素を「まちづくり三原則」として、講演会で話をしたり、またに書いて唱えたことがある。都市政策的な言葉を用いると、これらはそれぞれ、住環境の整備、雇用機会の創出、観光振興・交流人口の増加ということに対応するであろう。 それでは、そういった条件を満たした「まち」というのは、どういった地域経済のシステムになっているのだろうか。7〜8年前から、それをマクロ経済学的に考えてきたのが「地域経済循環の理論」であり、その実証分析のツールが「地域経済構造分析」である。 これは地域が、その地域にある比較優位な資源を見出して、それを有効に活用した財・サービスを生み出し、それを域外に移出することで地域内に資金を呼び込むみ、その獲得したマネーを域内で循環させることによって域内での新たな需要と富の再分配が生まれるといった地域経済の

    SasakiTakahiro
    SasakiTakahiro 2011/12/12
    リスクに強い自立した地域経済となるには、複数の移出財を生み出せるような産業構造や職種構成における多様性が求められる。
  • RIETI - ワークライフバランス 実証と政策提言

    2003年に研究を始めた動機として、当時の我が国の深刻な少子化男女共同参画の遅れがありました。ワークライフバランスの欠如がその大きな一因であるとの仮定の下、それを実証した上で政策提言していくことを考えました。その根にあるのが、実証的な根拠に基づく「エビデンス・ベースド・ポリシー(evidence-based policy)」という考えです。 ワークライフバランスについては次の3点が重要と考えています。1つ目は、多様性の尊重。特に労働時間などライフスタイル選好に関する多様性の尊重が重要です。2つ目は、時間利用についての柔軟性。フレックスタイム導入などに関して、被雇用者側の選好を尊重すべきです。3つ目は、時間の質。経済的質(労働生産性など)だけでなく、社会的質――個人の社会的な時間の消費、人とのつながり・支え合いを作れる時間の使い方――を見ていく必要があります。ワークライフバランスとは、

    SasakiTakahiro
    SasakiTakahiro 2011/05/28
    ワークライフバランス政策は、究極的にいうと、どのような理念でもって社会作りをしていくかにかかっている。
  • RIETI - 地域創造に向けてのソーシャル・イノベーション (議事概要)

    藤田 昌久 (RIETI所長・CRO/甲南大学教授/京都大学経済研究所特任教授) 現在、グローバル化と同時に「知の時代」が到来している。空間経済学の視点から見ると、こうした時代に重要なのは、多様性と創造性だ。日が再び勢いを取り戻し、世界中の国々と一緒に成長していくためには、全員参加でソーシャル・イノベーション、いわゆる知のルネサンスを日中に巻き起こしていく形で、日をオープンで多様性の豊かな創造立国にしていくことが必要だ。 経済の地理的側面の分析の仕方には、従来、都市経済学、地域経済学、国と国の間では国際貿易理論というものがあった。しかし、今日のようなグローバル化した世界経済においては、このような分割された学問はあまり役に立たなくなってきている。そこで、経済活動が地域に集まるという集積形成の理論を中心として、これらの三つの学問を統一してさらに一般化したのが空間経済学だ。 たとえばIT

    SasakiTakahiro
    SasakiTakahiro 2011/05/24
    国の改革は地方から起こる。
  • RIETI - 非正規労働者の希望と現実―不本意型非正規雇用の実態―

    稿では、『慶應義塾家計パネル調査』(2004~10年)の個票データを用いて、正規雇用の職がないために仕方なく非正規雇用に就いている不意型の非正規雇用の実態を明らかにするとともに、就業形態毎に人々の主観的厚生水準がどのように異なるかを検証する。検証の結果、非正規雇用の大多数は自ら選択している意型であること、しかし不意型の非正規雇用者は失業者の約1.5倍と無視しえない人数であること、不意型の非正規雇用は独身、20歳代あるいは40~50歳代、契約社員や派遣社員、運輸・通信職や製造・建設・保守・運搬などの作業職などで多く、また、景気循環との関係では不況期に増える傾向があることなどが明らかになった。このほか、就業形態の選択行動や就業形態間の移行状況をみると、不意型の非正規雇用は、同じ非正規雇用であっても意型とはその特性が異なり、むしろ失業との類似性が高いことがわかった。次に、個々人の主

    SasakiTakahiro
    SasakiTakahiro 2011/04/20
    不本意型の非正規雇用については、失業と同程度に、他の就業形態よりもストレスが有意に大きくなっており、需要側の制約のために効用が低下し、健康被害という形でその影響が顕現化していると解釈できる。
  • RIETI - 非正規労働者はなぜ増えたか

    過去20年の間に、日の雇用を取り巻く状況は大きな変化を遂げている。非正規化の進展は最も顕著な現象の1つであり、1986年には17%程度であった非正規労働者の比率は、2008年には34%までにも増大している。稿ではこの非正規労働者の増加という長期的傾向の解明を試みる。まず同時期における非正規労働者の正規労働者に対する相対賃金は非常に安定的であり、このことは非正規労働者の相対的な需要のみならず供給も増大していることを示唆している。ただし、産業構造の変化や労働人口構成の変化は非正規労働者の増加の4分の1程度しか説明しておらず、残り部分については、女性労働者の非正規就業確率の上昇、あるいは卸売・小売業やサービス業における非正規雇用需要の増大などが大きな要因となっている。また、企業データを用いた分析からは、非正規労働者の増加の6割程度を、産業構造の変化と生産物需要の不確実性そして情報通信技術の導

    SasakiTakahiro
    SasakiTakahiro 2011/04/20
    産業構造の変化や労働人口構成の変化は非正規労働者の増加の4分の1程度。残りは、女性労働者の非正規就業確率の上昇、卸売・小売業やサービス業における非正規雇用需要の増大などが大きな要因。
  • RIETI - 「多様な正社員」と非正規雇用

    現在、「多様な正社員」施策の導入には大きな期待が寄せられている。正社員と非正社員間の格差問題への対応としての位置づけと、正社員雇用の強みを活かしながら、働く人のワーク・ライフバランスの達成をこれまでより可能にするための位置づけもある。稿では、こうした議論を前提として2つのテーマを扱った。 1つは、「多様な正社員」施策を取り入れている企業の特徴把握である。特に、雇用管理、評価・処遇、人材育成、非正社員の活用、ワーク・ライフバランスなど、企業が行うその他の人事管理のあり方に注目した。その結果、こうした企業は、「多様な正社員」施策を含んだ、正社員を対象とした堅固な内部労働市場の柔軟化を目指している可能性が示唆された。こうした企業は、ワーク・ライフバランスや女性人材活用に関しても積極的である。また、非正社員の活用に関しては、特に契約社員と派遣社員について、単なる人件費削減や雇用需要の変動への対応

    SasakiTakahiro
    SasakiTakahiro 2011/04/20
    契約社員や派遣社員が、企業の業務にとってより重要な社員だと位置づけられている企業では、正規―非正規間の非合理的な格差を是正するインセンティブも高いであろう。