かつて、「娯楽の王様」であったハリウッド映画。それが今、観客動員数と製作本数の半減により、産業として終わりを迎えつつある。そのことを、16本の作品批評を通して詳らかにしたのが、『ハリウッド映画の終焉』(集英社新書)だ。 発売直後から話題を呼んでいる本書の刊行を記念し、著者の宇野維正氏と、『映画を早送りで観る人たち ファスト映画・ネタバレ―コンテンツ消費の現在形』(光文社新書)などで知られるライターの稲田豊史氏が対談。前編では映画について本を書くことの困難と、SNS時代における映画評論の立ち位置について語り合う。 左:宇野維正氏 稲田豊史氏 ◆「映画」で1冊の本を出すことの難しさ 宇野 稲田さんの『映画を早送りで観る人たち』は、その元となったネットメディアの記事が話題になった時に目を通していたので、内容をわかったつもりになっていて刊行当初は読んでなかったんですよ。でも、あまりにも売れてるから