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ブックマーク / jbpress.ismedia.jp (699)

  • 製造業:安い中国の終焉

    (英エコノミスト誌 2012年3月10日号) 急上昇する中国人の賃金は、世界の製造業にとってどんな意味があるのか? 香港からフェリーに乗り、中国を世界の工場たらしめている地域にある深センへ渡ると、「時間就是金銭、効率就是生命(時は金なり、効率は命なり)」と書かれた巨大な看板が迎えてくれる。 中国は世界最大の製造大国だ。テレビ、スマートフォン、鋼管その他、足の上に落とせるような諸々の財で、中国の生産高は2010年に米国のそれを抜いた。現在、世界の製造業の2割を中国が占めている。中国の工場は極めて大量かつ安価にモノを生産したため、多くの貿易相手国のインフレを抑制してきた。しかし、安い中国の時代は終わりに近付いているのかもしれない。 歴史的に工場が集積してきた沿岸部の省を皮切りに、コストが急騰している。地価の上昇や環境と安全性の規制強化、税率引き上げも原因の一端を担ってきた。しかし、最大の要因は

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    Schuld 2012/03/14
  • 小国ギリシャを巡る大騒ぎ

    (2012年2月15日付 英フィナンシャル・タイムズ紙) 国内総生産(GDP)がユーロ圏全体の2%程度でしかないギリシャが、なぜこれほどの頭痛の種になるのだろうか? 北京やワシントンのように遠く離れた都市に住む人々までが、守られない約束や満たされない条件に関する記事を日々読むようになっている。 こうした人々は、大部分はギリシャが自ら招いた窮状にこれだけの注意を払い続けたりせず、ギリシャをデフォルト(債務不履行)させ、ユーロ圏から離脱させた方がいいのではないかと思っているに違いない。 現実味が増してきたギリシャのユーロ圏離脱 ここに来て、ギリシャの離脱は決して考えられない話ではなくなっている。 シティグループのチーフエコノミストで、ユーロプロジェクトの熱心な支持者でもあるウィレム・ブイター氏は先週発表した共同執筆リポートの中で、ギリシャが向こう1年半以内にユーロ圏から離脱する可能性は50%に

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    Schuld 2012/02/16
  • 金利不正操作スキャンダルの波紋

    (2012年2月10日付 英フィナンシャル・タイムズ紙) 金融ジャーナリストであることは、浴槽の中で石けんを追いかけるのに似ていると感じることがよくある。時に我々は興味をそそる噂を耳にし、何かおかしなことが起きていると思いながら金融の暗部をのぞき込んでみる。 だが、大抵の場合、確かな証拠や引用できる情報源がないため、あるいは金融業界の強力な広報担当者が我々の面前で名誉棄損法を振りかざすために、「ニュース記事」という獲物を逃してしまう。 5年前から疑惑が持たれていたLIBORの設定方法 ロンドン銀行間取引金利(LIBOR)のような銀行間の貸出金利は、典型例だ。筆者は5年前、LIBORや東京銀行間取引金利(TIBOR)、欧州銀行間取引金利(EURIBOR)の世界でおかしなことが起きているという話を初めて耳にした。 そこで筆者は然るべく、LIBORの正確性について一般的な懸念を表明するコラムを書

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    Schuld 2012/02/15
  • ギリシャとポルトガルは破産させるべきだ

    今から2年前、欧州の政策立案者の大半はまだ、ギリシャが何とか切り抜けるだろうと思っていた。彼らには、金融危機に対処した経験がなかった。 過去に危機に対処した経験を持つほかの国々や地域の政策立案者に相談することすらしなかった。知識のなさと不遜な姿勢が相まって、彼らは誰もが犯した過ちを繰り返す羽目になった。 彼らは実際、景気刺激的な財政再建なる概念を思いついた自分たちは頭がいいと考えていたし、民間部門の自発的な関与(PSI)も問題解決に当に貢献し得ると思っていたのだ。 完全な失敗だったギリシャ救済策 他人のミスから学ぶことに失敗した後、一部の国は自分の失敗から教訓を学び始めている。欧州北部の国々の政策当局者たちは、ギリシャ救済プログラムが完全な失敗だったことを理解し始めている。彼らはまた、ギリシャの政治に対する信頼を失ってしまった。 不況が5年目に突入し、ギリシャの国内総生産(GDP)が緊縮

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    Schuld 2012/02/14
  • ギリシャとユーロ:崩れゆく経済

    (英エコノミスト誌 2012年1月28日号) ギリシャがユーロ圏にとどまるか否かという不確性が、同国の将来展望を損ねている。 アテネにあるギリシャ銀行博物館の入り口に掲げられた横断幕は「ギリシャ経済・貨幣の近代史を巡る魅力的な旅」を約束している。通りがかりの人で、この誘惑に勝てる人などいるだろうか? 博物館の中に入ると、ずらりと並ぶガラスケースに数々の硬貨や古い紙幣が展示され、それらの貨幣を製造した機械と一緒に収められている。 紙幣は5ドラクマ札から1億ドラクマ札まであり、かつてギリシャがインフレ問題に苦しんでいたことを思い出させてくれる。 2001年に終わったはずのドラクマの歴史 歴史の終わりは、少なくともこの展示においては、ギリシャがユーロを導入した2001年だ。だが、同国の今の問題は、ギリシャの通貨の物語には、まだこの先綴られる重要な章があることを示唆している。一部の人は、ドラクマ紙

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    Schuld 2012/02/06
  • 透明性を増すFRBは退屈になる

    米連邦準備理事会(FRB)の動きを観察する「Fedウォッチャー」の黄金期が終わろうとしている。 FRBの行動に対する強い関心は1970年代に始まった。ブレトンウッズ通貨体制の終焉が経済が大きく変動する時代をもたらし、金利動向が急激にグローバル化する金融市場を刺激するニュースになったからだ。 そうした中で、米国の中央銀行の神秘性が生まれた。魔法使いの命令のように、FRBの高官は謎めいた話し方をし、自分たちの行動を公表せず、金融市場で生じる結果から世界がFRBの行動を推測するに任せた。 Fedウォッチャーの存在意義 FRBは、畏怖の念を抱かせる2人の議長が支配する領土だった。1979年から1987年まで議長を務めたポール・ボルカー氏と、1987年から2006年まで議長を務めたアラン・グリーンスパン氏だ。FRBの観察と分析に対する需要はどんどん大きくなり、何百人ものエコノミスト、アナリスト、ジャ

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    Schuld 2012/01/30
  • 2012年の景気回復、壊れ物につき取り扱い注意

    (2012年1月4日付 英フィナンシャル・タイムズ紙) 2012年の世界経済には果たしてどんな展開が待ち受けているのだろうか? まずは、厳しい状況に置かれている高所得国から見ていこう。 高所得国には、健全な景気回復を予想できるだけの妥当な理由があるだろうか? いや、あまり見当たらない。ユーロ圏の状況は、下手をすれば世界中に影響が及ぶ災厄になりかねない。米国ですら、景気回復は脆弱なものになりそうだ。2007年以前の出来事が投げかける影はなかなか消え去らない。 悲観論が増す景気見通し 昨年12月に集計された各国・地域の成長率予想のコンセンサスは悲観的だ。2012年の経済成長率の最新の予想値は、1年前のそれを大幅に下回っている。その傾向が特に顕著なのはユーロ圏で、最新の予想では景気後退入りが見込まれている。 イタリアとスペインはマイナス成長に陥り、フランスとドイツの成長率も無視できるほど低いレベ

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    Schuld 2012/01/06
  • 「大停滞」に陥る米国経済

    (2011年12月21日付 英フィナンシャル・タイムズ紙) 未来はこれまでとは違ったものになる。現在も従来とは異なっている――。これが米ジョージ・メイソン大学のタイラー・コーエン教授の著書『The Great Stagnation(邦題:大停滞)』のテーマだ。それほど厚くはなく、憂な内容ながらも影響力のあるで、当初はインターネット上で出版されていた*1。 「米国はたやすく手に入る現代史の果実をいかにべ尽くし、いかに身体を壊したか、そして(最終的に)いかに回復するのか」という副題に、上述のテーマが集約されている。簡潔で分かりやすく、挑発的な書は売れる書籍のモデルの1つだ。 しかし、そこで展開されている議論は正しいのだろうか? もし正しいとしたら、書からは何を読み取ることができるのだろうか? もぎ取りやすい果実はとうにべ尽くしてしまった 「米国は混乱している。そして、米国経済は我々

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    Schuld 2011/12/22
  • 日本企業の海外買収攻勢:武器は強い円

    (英エコノミスト誌 2011年12月17/24日号) 日株式会社が相次ぎ海外企業を買収している理由。 コチョコチョ君とドジドジ君がハローキティと一緒にベッドに飛び込もうとしている。蝶結びのリボンを付けたの飼い主であるサンリオは12月6日、英コリオンから「ミスターメン」のキャラクター事業を買収したと発表した。 デザインと版権事業を展開する日企業サンリオは、総額30億円と推定されている買収により、世界30カ国の幼児に親しまれ、累計1億冊の絵を売った86種類のキャラクターを手に入れる。 日株式会社は海外で盛大に買い物をしている。 過去最多の海外企業買収 M&A(企業の合併・買収)などの調査を手掛けるディールロジックによると、日企業は2011年に約620社の海外企業の買収に総額800億ドルをつぎ込み、それまで最多だった2008年の466件、総額750億ドルを上回った(図参照)。 198

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    Schuld 2011/12/21
  • 英国のEU離脱というシナリオ

    (英エコノミスト誌 2011年12月17/24日号) 英国が欧州連合(EU)に苛立つのは見慣れた光景かもしれない。しかし実際には、見慣れぬ大きな危険が潜んでいる。 英国政府は欧州連合(EU)を離れるつもりはない。それでも、英国が結果的にEUを去る可能性がある。不穏な空気が漂った先のブリュッセルでのサミットでは、将来の金融規制に対する拒否権を手に入れられなかったデビッド・キャメロン英首相がEU条約改正を阻止した。これは、英国のEU離脱という事態が起こり得ることを示す出来事だった。 当コラムの筆者が感じている憂慮の念を、誰もが抱えているわけではないことは、認めざるを得ない。 英国議会周辺では、条約改正を拒んだキャメロン首相の決断はそれほど大した問題ではないと、したり顔に語る向きもある。こうした主張は以下のような巧みな論拠に支えられている。 ユーロ救済のためにまたしても作られた中途半端な計画に2

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    Schuld 2011/12/20
  • 格付け巡る英仏間の論争は英国優位 フランスの格下げが妥当な理由

    フランスのバロワン経済相(写真)と中銀のノワイエ総裁が相次ぎ英国と比較する発言をし、英国の反発を買っている〔AFPBB News〕 「現時点では経済的には英国人であるよりもフランス人である方が望ましい」(フランスのフランソワ・バロワン経済相) 「彼ら(格付け機関)は、我々よりも赤字が大きく、同等の債務を抱え、インフレ率が高く、成長率が低く、信用が収縮している英国の格下げから始めるべきだ」(フランス銀行のクリスチャン・ノワイエ総裁) フランスの状況を英国と比較した先週の一連の発言は、明らかに組織的なものだった*1。これらの発言で筆者の興味をそそったのは、とにかく死に物狂いな様子だ。 フランスの経済政策を担うエリート層はもはや、世界を理解していない。彼らは気で、英国よりフランスの方がうまくやっていると思っている。 フランスの民間部門は英国よりずっと健全だ。フランスは財政緊縮という正道をしっか

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    Schuld 2011/12/20
  • 1930年代の教訓:行く手に潜む落とし穴

    (英エコノミスト誌 2011年12月10日号) 2008年に世界は最初の大恐慌を招いた失敗を回避することで、2度目の大恐慌に陥るのを免れた。しかし欧州と米国の双方にとって、当時から学ぶべき教訓はまだ残されている。 「あなたの言う通り、我々の責任だった」。2002年、ベン・バーナンキ氏はノーベル賞受賞者ミルトン・フリードマン氏の90歳の誕生日を祝うスピーチでこう述べた。 これは1930年代の世界大恐慌時の苦難の大部分は中央銀行に責任があったとするフリードマン氏の結論に対する発言だった。 「しかし、あなたには感謝したい」と、後に米連邦準備理事会(FRB)の議長に就任するバーナンキ氏は続けた。「我々は二度と同じことを繰り返さない」 あれから9年、バーナンキ氏の仲間の中央銀行総裁たちは、この誓いを守ったと自画自賛している。イングランド銀行のマーヴィン・キング総裁は今年3月、「我々は大恐慌が起きるの

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    Schuld 2011/12/15
  • ユーロ危機が露にした独仏関係の変化 欧州は新たな均衡を見いだせるか?

    ドイツはリーダーシップを身につけねばならず、フランスは後に従うことを学ばねばならない。両国にとって、これは辛い経験になるだろう。 欧州におけるゲームのルールは、ドイツ再統一で永遠に変わってしまった。ユーロ危機が生じてようやく、この変化がもたらす甚大な影響がはっきりしたのだ。 ドイツのアンゲラ・メルケル首相には一定の同情を覚えずにはいられない。首相はリーダーシップのなさを批判されたかと思えば、今度は抑圧的なリーダーシップを批判されてきた。ユーロが燃えているのに傍観していると言われたかと思えば、ユーロ存続の条件についてゲルマン的な命令を出すと言われた。 我々は、欧州にとってドイツは常に大き過ぎる国だったことを思い出させられた。 大ドイツ主義を巡る新たな議論が問いかけているのは、ドイツがこれほど明白に圧倒的な強国となった今、欧州連合(EU)であれ、より統合が進んだユーロ圏であれ、欧州が新たな均衡

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    Schuld 2011/12/12
  • 消えゆくトリプルA、「安全資産」て何? ユーロ圏の国債が一斉に格下げされたら・・・

    格付け機関のスタンダード・アンド・プアーズ(S&P)は12月5日、ユーロ圏15カ国の国債格付けを格下げ方向で見直すと発表した〔AFPBB News〕 大きな声で人に言わないでほしいのだが、公式に「安全」とされる資産の供給が急速に縮小している。 格付け機関のスタンダード・アンド・プアーズ(S&P)は12月5日、トリプルA格付けを持つ6カ国を含め、ユーロ圏15カ国の格下げを検討すると発表した。これで安全な資産の供給縮小はさらに加速するだろう。 S&Pは既に、トリプルA国債の大きな供給源だった米国から、最高級のトリプルA格付けを取り上げている。 トリプルA格付けの担保証券の新規供給量は2008年にかけて増加し、2009年以降は減少に転じた。エボリューション・セキュリティーズによれば、もしS&Pがユーロ圏のトリプルA国債をすべて格下げすれば、「安全」な有価証券の発行残高は少なくとも3兆ユーロ減ると

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    Schuld 2011/12/08
  • 次回EUサミット:迫り来る終末

    (英エコノミスト誌 2011年12月3日号) 欧州の首脳はまだ終末を回避できるが、それは彼らが大胆かつ迅速な行動に出た場合に限られる。 終わりが近づいている。欧州委員会のオリ・レーン経済担当委員は、ユーロ圏が自らを救うには、あと10日しかないと語った(12月12日になったら一体何が起きるのか?)。 ポーランドのラデク・シコルスキ外相は、ドイツの力(もしくはロシアのミサイル)よりドイツの麻痺状態の方が怖いと語った。 バラク・オバマ大統領は、ユーロ圏が米国の健全性にとって最大のリスクをもたらしていると述べた。いったんは国際通貨基金(IMF)を拒絶したユーロ圏の指導者たちは今、IMFに支援を請うている。 欧州の省庁では、誰が選ばれし者になるべきかという話題が持ち上がっている。欧州連合(EU)の加盟国27カ国なのか、もしくはユーロ圏に属する17カ国だけなのか? 17カ国さえも不可能なら、トリプルA

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    Schuld 2011/12/07
  • 債務危機に関する中南米からの教訓

    (2011年12月5日付 英フィナンシャル・タイムズ紙) 誰かが自分を特別、あるいは「他とは違う」と思い込むのは、ひとえに虚栄心のなせる技だ。アジアは1997年当時、金融危機が続いた中南米の長い歴史から多くの有益な教訓が得られるとは考えなかった。実際には多くの教訓があった。 同じことは欧州にも当てはまる。欧州は現在、これと同じ虚栄心の犠牲になる恐れがある。 虚栄心の犠牲になりかねない欧州 大いに宣伝されたデビッド・キャメロン英首相の「巨大バズーカ砲」を例に取ろう。1980年代の中南米では、こうした包括策は単に「エル・パケテ」(スペイン語でパッケージの意)と呼ばれていた。もとより「エル・パケテ」は危機の終わりの始まりにすぎない。真の課題はその実施にある。これにはリーダーシップが不可欠だ。 (イタリアとギリシャには失礼な言い方かもしれないが)実務型内閣がうまくいくこともある。例えば、ブラジルの

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    Schuld 2011/12/07
  • 西側の夢とエジプトの現実

    多くの欧米人にとって、エジプトの民衆蜂起は無上の喜びだった(写真は今年2月、エジプト・カイロのタハリール広場で、ホスニ・ムバラク大統領の辞任を喜ぶ人々)〔AFPBB News〕 いまにして思えば、すべてがあまりにもナイーブだった。 フェイスブック革命を取り巻いていた、あの興奮を覚えているだろうか? ソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)を通じて団結し、軍事独裁者を倒す今風の若いエジプト人たちの姿は、多くの欧米人にとって、抗いがたいほど魅力的なものだった。 我々はタハリール広場の若者たちとともにあった。彼らは我々の観念と我々のガジェットを用い、老いて柔軟性を失った独裁者を倒した。その姿を、あの夜明けにCNNで観たことは、無上の喜びだった。 イスラム系政党が選挙で躍進 しかし、エジプトの人民議会選挙の第1回目の結果が明らかになった今、状況はもう少し複雑だということが分かってきた。3分

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    Schuld 2011/12/07
  • 英国が直面する「失われた10年」

    それは外国人のせいだ――。ジョージ・オズボーン財務相は11月29日、英国の経済と財政が軌道から大きく逸れてしまったことについて、こう弁明した。 もちろんこれは、2007年と2008年に英国経済を襲った災厄について、労働党のゴードン・ブラウン前首相・元財務相が口にした弁解と同じものだ。 オズボーン氏はこの時、ブラウン氏の弁解を馬鹿げていると切り捨てたが、オズボーン氏によるこの弁解もそうすべきなのだろうか? 自縄自縛に陥ったオズボーン財務相 ブラウン氏と同様にオズボーン氏も、世界的な出来事――特にコモディティー(商品)の価格上昇とユーロ圏の危機――を指摘した点では正しい。しかし、自らの失策を無視するのは間違っている。オズボーン氏は、自ら設定した財政の厳格な枠組みによって身動きが取れなくなっているのだ。 確かに、オズボーン氏がもっと柔軟だったら、信頼感を一層損ねることになっているかもしれないが、

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    Schuld 2011/12/01
  • ユーロ圏、崩壊回避なるか? 残された時間はせいぜい10日

    筆者がこれまでに参加したユーロ圏についての議論ではほとんど例外なく、事態が相当悪化しないと政治家は行動しないという指摘がなされてきた。 ユーロ共通債にしても、債務のマネタイゼーション(貨幣化)にしても、量的緩和にしてもそうだというわけだが、当にそうだろうかと筆者は思う。この指摘は、深刻な集団行動問題があることを無視しているからだ。 欧州の危機は先週、質的に見て新たな段階に突入した。ドイツ国債の入札が大失敗したほか、スペインとイタリアの短期金利が憂慮すべきレベルに上昇し、ユーロ圏全土で国債市場が機能しなくなってしまったのだ。 銀行セクターも壊れてしまい、ユーロ圏経済の重要な部分が信用供与を受けられなくなっている。グローバルな投資家がユーロ圏から資金を引き揚げたり、一般市民の間で静かな銀行取り付けが進んだりする可能性も出てきている。 このように信頼が大きく損なわれたことにより、救済戦略の要の

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    Schuld 2011/11/29
  • ユーロ崩壊の足音:落下物に要注意

    (英エコノミスト誌 2011年11月26日号) ユーロ圏の危機はパニックの状態に至り、ユーロ圏経済を景気後退に引きずり込もうとしている。今後数週間のうちに単一通貨が崩壊するリスクは憂慮すべきほど高い。 最初はギリシャ、次はアイルランドとポルトガル、そしてイタリアとスペイン――。月を追うごとに、ユーロ圏の危機は脆弱な周縁国から通貨圏の中核へと忍び寄っている。ユーロ圏の政策立案者による危機の否認や誤診や先延ばしが、それを助長した。 最近では、ベルギーとフランスの国債が金融市場に敬遠されるようになった。投資家はドイツ国債に対してさえ評価を下げている。11月23日に行われたドイツ10年債の入札では、60億ユーロ相当が募集されたにもかかわらず、36億ユーロしか応札がなかった。 さらに悪いことに、ユーロ圏の経済が景気後退に向かっている兆候もある。それも、既に景気後退局面に入っていないとしての話だ。9月

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    Schuld 2011/11/29