「知らないことで傷つける場合も」 「世界の拡張」を側面支援する 「一緒に楽しみたい」がかなう社会に 聴覚障害がある人々向けに開発された、音声を聞き取りやすくするための医療機器・人工内耳。今秋、この機器にまつわる体験談が、SNS上で話題を呼びました。中途失聴者が登場するドラマが人気を博すなど、様々な立場にある人々への関心が高まっている昨今。誰もが暮らしやすい社会をつくるため、必要なこととは何でしょうか? 当事者、非当事者の関係性という観点から考えます。(withnews編集部・神戸郁人)
![人工内耳〝バズ〟から見えた理想の社会像「聞こえない」人が望むこと](https://cdn-ak-scissors.b.st-hatena.com/image/square/6b061a130be557d4186ee6ada074b56e89c403e2/height=288;version=1;width=512/https%3A%2F%2Fs3-ap-northeast-1.amazonaws.com%2Fstorage.withnews.jp%2F2022%2F12%2F21%2F4%2F48%2F4481e373-l.jpg)
検索サービス最大手のGoogleは4月26日、医療分野の日本語の検索結果に「医療情報パネル」を表示することを発表しました。「喘息」「インフルエンザ」「貧血」などの一般的な疾患について検索すると、検索結果の上部に疾患の概要、症状、治療法が表示されます。 膨大な表示回数が見込まれ、「日本最大級の医療情報サイトが誕生することになる」と専門家。日本において「ネットの医療情報」は厳しい目が向く分野であり、新しい課題も指摘されました。(朝日新聞デジタル機動報道部・朽木誠一郎) 4月26日、検索サービスGoogleで「インフルエンザ」と検索した結果が、これまでと大きく変わりました。目立つ場所に整理された病気についての説明が表示されるようになったのです。 これは同サービスを運営するグーグル社が制作した「医療情報パネル」。他にも多数の病気の検索結果について、同様の情報が表示されます。 医療情報の優先表示の導
検索サービス最大手のGoogleは4月26日、医療分野の日本語の検索結果に「医療情報パネル」を表示することを発表しました。 「喘息」「インフルエンザ」「貧血」などの一般的な疾患について検索すると、検索結果の上部に疾患の概要、症状、治療法が表示されます。 これらの情報は、国内で医療メディア「Medical Note」などの医療・ヘルスケアサービスを運営するメディカルノート社から提供されるもので、Googleは「医師の監修を受けた信頼性の高い情報となります」としています。 また、表示される疾患の情報には、「より詳細な情報が確認できる医療情報サイト、Medical Note のリンクも含まれます」とします。 検索結果に対する医療情報の優先表示は、2015年2月から英語圏で先行していました。2016年にはインドで、2017年にはアフリカで開始。日本でも一時、「ジカ熱」という特定の病名について表示さ
男性が自分の配偶者の話をするとき、使われることがある「嫁」という言葉。逆に女性が「主人」という言葉を使うシーンも、世代によってはまだあります。「妻・夫」よりも堅苦しく聞こえないからか、フランクな会話で飛び交うことも。 でも、これらは過去に異なる意味で使われた言葉です。知らずに使うことでSNSで炎上した事例や、別の呼び方をする夫婦も。この時代に自分や他人のパートナーをどう呼ぶべきか、考えます。(朝日新聞デジタル機動報道部・朽木誠一郎) 【連載「#令和サバイブ」】この連載は、withnewsとYahoo!ニュースの共同連携企画です。 まず、自分のパートナーを指して言うときの呼び方について振り返ってみます。現時点でもっともフラットとされる表現は「妻・夫」です。 近年、有名俳優や企業の公式SNSアカウントが、女性のパートナーを「嫁」と呼び、炎上する事例が続きました。代表的な批判には「妻を指して嫁と
中2で知った未知の世界に胸躍らせた 著書につづられた、コミケ復活への渇望 かつてないほど強く感じた「不在の重み」 昨年末、二日間の日程で開かれた、同人誌即売会コミックマーケット(コミケ)。新型コロナウイルス流行による延期・中止を経て、約2年ぶりの実施となりました。学生時代から、いちファンとして参加する記者も、心待ちにしていた再開です。「好き」と思える物事に、惜しみなく愛情を注ぐ人々に、また会いたい。そんな気持ちを抱きつつ、会場に足を踏み入れました。(withnews編集部・神戸郁人) 中2で知った未知の世界に胸躍らせた 2021年12月30日、99回目(C99)を迎えるコミケ初日の早朝5時。筆者(33)は、会場の東京ビッグサイトへと向かう準備に追われていました。高鳴る胸の内に去来したのは、イベントに初参加した時の思い出です。 中学2年の頃、ギャグ漫画『あずまんが大王』に熱を傾けていました。
SNSで知り合いが「ぎっくり腰で動けない」なんて投稿をしていたら、ついつい「ムリしないでね、お大事に」と書き込みたくなります。でも最近の研究を調べていくと、それが実は「“誤ったアドバイス”かも!」ということに気がつきました。 何気ない一言ではありますが、そこには日進月歩の「医療の常識」といかに向き合うか、という大事な視点も隠れていそう。ちょっとフカボリして考えてみます(医療ジャーナリスト・市川衛) 【連載】わたしの中の #健康警察 新型コロナ禍のいま、「他人の健康行動」について、ついつい気になっちゃう人、増えているみたいです。「感染症をうつされないよう、身を守るのは当たり前だろ」という声も聞こえてきそうですが、「見ず知らずの他人」の行動にまでひとこと言いたくなってしまうというのは、不思議なことでもあります。医療ジャーナリストとして10年以上、取材/発信してきた私の中にもある、「他人の行動に
「諦めの感覚に支配されることが最大の敵」 「ポピュリズムは敵というより双子」 「民主主義を知るためにお薦めの3冊」 突然ですが、「それは民主主義の問題だ」と言われたらどう思いますか。少なくとも、私は少し戸惑います。「話がでかすぎる」と思ってしまうからです。政治がうまくいかないのも、格差が広がっているのも、フェイクニュースが広がるのも民主主義の問題……。何にでも当てはめられそうで、何も言ってない気がしてくる。でも民主主義という言葉は無意味だとまでは思いません。そもそも、民主主義とは何なのか。本当にうまくいっていないのか。その名もズバリ「民主主義とは何か」(講談社現代新書)の著者・政治学者の宇野重規さんに聞きました。 「諦めの感覚に支配されることが最大の敵」 ――書店に行くと、民主主義の危機を語る本がたくさん積まれています。最近、民主主義はあまり信頼されていないのでしょうか。 「民主主義が正し
「さすがに、必要ですよね」 そもそもベンチがない問題 「恐れていることが本当に起きるか」を知る まちなかで見かけるベンチに、仕切りや手すりのような突起がついていることは「当たり前」の風景になっています。そんな「排除ベンチ」の一つが、先日、ツイッターをきっかけに形を変えました。〝突起〟が動いたのです。当初から〝突起〟に抵抗していたというベンチの制作者。実は、ベンチにある仕掛けをしていました。「みんな排除に慣れてしまっている」。制作者の言葉から、公共空間の過ごし方について考えます。 可愛らしいデザインで〝排除〟 7月8日。東京都中央区の京橋に設置されたベンチに、作業員が集まりました。木製のベンチを1台1台裏返し、ベンチの座面を3つに区切っていた「突起」のボルトを外し、突起を動かしました。
まず生き延びなきゃいけない 女は変わった、変わらない男主導の組織 おっさんは利害でしか動かない SDGsの認知は高まったものの、具体的な行動まで起こせている人は、まだ少ないのが現状です。社会の第一線でSDGsに重なる活動をしてきた人は、今の状況をどう見ているのでしょうか? 社会学者として女性学を切り開いてきた上野千鶴子さんは、長時間労働の改善や女性の社会進出を進めなければ、国として現状維持すらできないと問題提起します。「ボトムアップじゃ変わらない」という上野さんに、社会の動かし方を聞きました。(FUKKO DESIGN 木村充慶) 上野千鶴子(うえの・ちづこ) 1948年、富山県生まれ。社会学者。「ナショナリズムとジェンダー」「おひとりさまの老後」など著書多数。認定NPO法人ウィメンズアクションネットワーク(WAN)理事長。 〈SDGs(Sustainable Development Go
廃刊するまで本は買わない 最大の犠牲者は「対話の契機」 「ただの燃料」となった出来事 問題発言や不祥事が起きると、相手の言論が発表された記事や媒体など発表の場所そのものを破壊する――現在では随所で見受けられるようになった〝過激な文化〟は、すでに平成の時代に胎動し始めていました。それを考える契機と言えるのが、2018年(平成30年)に休刊(事実上の廃刊)になった『新潮45』をめぐる騒動です。自分の視界から消すことだけにとらわれた時、本当に犠牲になるのは何か。スマホの世界で暴れまわる「キャンセル・カルチャー」について考えます。(評論家、著述家・真鍋厚)※敬称略 廃刊するまで本は買わない 発端は、自由民主党の衆議院議員である杉田水脈(みお)が、2018年8月号に寄稿した「『LGBT』支援の度が過ぎる」という論考でした。 「彼ら彼女らは子どもを作らない、つまり『生産性』がないのです」という箇所が物
花農家から失踪したベトナム人実習生が乗ったと思われる沖縄行きのフェリー。7時間で那覇に着く=鹿児島県和泊町の和泊港 出典: 前利潔さん撮影 「お母さん、あの子、おかしい」 「SIMカードを買ったらおしまい」 「逃げられる島」監視置かないワケ 鹿児島市から飛行機で南に1時間ほどの沖永良部島は、花の島だ。年間平均は気温22度。距離も風土も、沖縄に近い。私は今秋、別の取材でこの島を訪れたとき、主要産業の花栽培農家から外国人実習生にまつわる思いがけない話を聞いた。「SIMカードを買ったらおしまい」。実習生が次々と失踪するのに、空港や港には監視を置かない理由。そこには全国の過疎地に共通する苦悩が、くっきりと映し出されていた。(朝日新聞記者・堀内京子) 「島には戻らない」マスクの意味は 青い空にハイビスカスの赤が映える沖永良部島。サトウキビ畑の中にある何軒かの花農家を、私がレンタカーで訪ねたのは、9月
「世界一危ない」ヨハネスブルクで撮影 地元の人「毎日通るけど知らなかった」 ライオンの名前は「コロンブス」だった 2016年4月に起きた熊本地震で、「ライオンが放たれた」とのデマが、無関係なライオンの画像とともにネット上に広まりました。このライオンの写真、実は私が住んでいる南アフリカで撮られたものらしい――そんなうわさを聞きつけ、出元をたどってみました。あの写真を最初にSNSに投稿した人にも取材。語られたのは意外な事実でした。(朝日新聞ヨハネスブルク支局長・石原孝) 撮影地は「世界一危ない」 問題のツイートがあったのは2016年4月14日夜、熊本で震度7の地震が起きた約25分後。街中を歩くライオンの画像とともに「地震のせいでうちの近くの動物園からライオン放たれたんだが 熊本」と書かれていました。 これが拡散して大騒ぎに。翌15日までに熊本市動植物園の職員は100件を超える電話対応に追われた
1万2580ページを分析 王道の「ハイスペック王子様」 BLとの違いは? 女性向けの漫画雑誌における恋愛表現を、片っ端から調べまくった人がいます。2016年に発行された28誌356作品、1万2580ページ。しかもそれを、統計的手法で分析したというのです。恋愛漫画、それは女性のファンタジーが詰まった世界。女心の奥底を、数字からのぞいてみましょう。(朝日新聞東京社会部記者・原田朱美) 1万2580ページを分析 調べたのは、牧田翠さん(ペンネーム)。男性です。 ごく普通の、30代の会社員です。 分析対象は、4ジャンル。「りぼん」などの児童誌(3誌)、「花とゆめ」などの一般誌(8誌)、性的要素が濃くなるティーンズラブ誌(13誌)とレディースコミック誌(4誌)です。 2016年に発行された4ジャンルの28誌の356作品、ページにすると1万2580。もちろん自腹です。 うーん。「よくやりましたね」の一
学会で相手にされない陰謀論 そんなに資料はない本能寺の変 太平洋戦争での奇襲多用につながってしまった「歴史の物語化」 「本能寺の変」や「関ケ原の戦い」などを巡り、世にはびこる様々な陰謀論や俗説を、専門家の視点から“ガチ検証”した『陰謀の日本中世史』(角川新書)が11万部のベストセラーになっている。著者で日本史学者の呉座勇一さんは「歴史『を』ではなく、歴史『に』学ぶのは危険」と訴えます。「『物語』が欲しいなら、ワンピースやスラムダンクを読んで」とも。呉座さんが恐れる歴史の学び方とは?(朝日新聞文化くらし報道部記者・高久潤) 学会で相手にされない陰謀論 ――武士が政治の表舞台に出てくる保元の乱を皮切りに、織田信長が死去する本能寺の変、そして関ケ原の戦いと、誰もが聞いたことがある中世の歴史を「陰謀」という切り口で考えたのはなぜですか 「本能寺の変に黒幕がいた、坂本龍馬暗殺に黒幕がいた、といった『
女性にモテる理由は? もしも、破産して一文無しになったら? 一日を終えてわかったこと 大富豪ってどんな生活をしているのでしょう? 約123億円のバスキアの絵画をオークションで購入したことで注目を集めた「ZOZOTOWN」の前澤友作社長。自宅には教科書に載るような「あの画家の絵」が普通に飾られ、リムジンで通勤。と思いきや、朝食は大好物のインスタントラーメン。果たして、その実像は「成金」? 常識を打ち破る「パイオニア」? 前澤社長の1日に密着したライターのヨッピーさんにつづってもらいました。 こんにちは。ヨッピーです。 僕は普段からせっせと1回460円の銭湯に通ったり、「一軒目酒場」というコスパ最強の激安チェーン居酒屋で飲んだくれたりと、割とつつましい暮らしをしているのですが、 その一方で世の中にはとんでもない大金持ちが123億円もする絵をオークションで落札したり、60億円のプライベートジェッ
禁錮3年の有罪判決も 「アラブの春」の記憶 フォロワーの多い人は要注意? エジプト国会はこのほど、フォローしている人の数が5000を超えるツイッターやフェイスブックなどの個人アカウントを、「メディア」とみなす法案を可決しました。エジプトはメディアに対する規制が厳しく、さしたる説明もなく記者が長期間にわたって拘束される例が相次いでいます。その範囲を広げ、ソーシャルメディアを狙いうちにしたものと言えそうです。(朝日新聞国際報道部・神田大介) エジプトでとんでもない法案が可決。フォロワー5000件以上のツイッター、フェイスブック、ブログなどは個人アカウントでもメディアとみなし、政府がフェイクニュースを流したと判断すれば刑事罰を受ける。ロイター。 https://t.co/OO8Y3F7P4c — 神田大介 (@kanda_daisuke) 2018年7月19日 禁錮3年の有罪判決も 現地からの報
個性を大事にする世代 鉄板は王子や姫 次は「魚香肉糸」「麻婆豆腐」か? 自分の子どもに、一般的はない読み方の名前をつける、いわゆる「キラキラネーム」は、中国でも生まれています。最近では人気オンラインゲームのタイトルが、そのまま女の子の名前になりました。一方、個性的な名前を求めるあまり最高裁で却下されるものも。いったい、どんな進化を遂げているのでしょうか? 名字と合わせる 中国のキラキラネームの特徴は、名字と名前が合体することで、特定の意味を持たせるところにあります。 例えば「韋」という名字。親が「多利亜」という名前を付けると「韋多利亜=ビクトリア」になります。同じ「多利亜」ちゃんでも、「王」や「李」が名字だったら、その効果はありません。 「光燦爛」は、「さんさんと輝く」という意味で、名前自体、キラキラしていますが、これが「楊」という名字と合わさると「楊光燦爛=太陽がさんさん」となります。徐
貧困の定義って? 「貧困たたき」をするのは誰か 大人たちの「理想の子ども観」 「飢えて倒れるほどではないけれど、貧困状態」という子どもの暮らしって、想像できますか? 子どもの貧困問題は、極端に貧困な子どもに注目が集まりがちですが、生活保護を受けてはいないけれど、生活が苦しいという家庭も少なくありません。そういう家庭の家計簿をつけてみることで、どんな暮らしなのかを理解するワークショップを考えた人がいます。聞いてみました。(朝日新聞東京社会部記者・原田朱美) 両親と子ども1人、月収17万円 こどもソーシャルワークセンター(大津市)の代表で社会福祉士の幸重忠孝さんです。 家計簿体験は、37歳の両親、中学1年の子どもの3人家族、収入は月17万円という設定で行います。もちろん家庭によっていろんな違いがありますが、「極端ではない貧困」のひとつの事例です。 参加者は、17万円から住居費や食費、教育費など
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