名刺やチラシなどの印刷通販を手掛けるサービス「ラクスル」が絶好調だ。2013年から本格展開したサービスは、毎月の注文件数は前月比3割以上のペースで増え、今期の売り上げは10億円程度を見込む。市場規模は6兆円と大きいながらも、大手2社を除いた市場を3万もの中小企業が奪い合う印刷業界の構図にいびつさを感じたという代表取締役の松本恭攝氏。急成長の秘密は供給の「仮想化」だ。 ――「印刷通販サービス」という形でビジネスを始めた理由は 図書関連の印刷の需要は減っていますが、印刷業界全体の市場規模は6兆円と大きい。町を歩くとたくさんティッシュを配っているし、ポストを開けるとチラシが投函(とうかん)されています。新聞も部数は減っていますが、間に挟まれているチラシは多い。ネット化は進んでいても、ネット企業ですら名刺を作っているので、紙の需要は確実にあるんです。 でも、印刷のような装置産業は非常にお金がかかり