フォノトグラフによって作られた記録は機械的に読み取らせることはできず、専ら音の振幅具合を波形の強弱によって表すのみで、実際的な意味で記録された音声を再生させることを含む録音ではなかった。基本構造はトーマス・エジソンの発明した蓄音器(1877年)のそれに近いものではあるが、音の力で溝に振幅を彫り込むことを前提するエジソンの蓄音機とは違い、煤の上に図形を記録することだけができたのである。 しかし2008年3月にフランス科学アカデミーが発表したところでは、この煤の上に残されていた図形を画像としてコンピュータで解析した結果として、1860年4月9日に記録されたフランス民謡『月の光に』の再生に成功した[1]。なお、1860年当時の技術用語に関する誤解から、当初は本来の録音速度の倍速で再生したため、記録は女声もしくは子供の声と考えられていた。しかし翌2009年に正しい再生速度が判明し、実際にはゆっくり
