大阪・ミナミにある老舗の鯨肉料理店「徳家」。先月9日、店内は普段とちょっと変わった雰囲気に包まれた。イスラム圏の人々が鯨の竜田揚げ、ステーキなど初めての珍味に舌鼓を打ったのだ。 「徳家」ではこの日、イスラム教の戒律に則(のっと)った食物であることを意味する「ハラル」の認証を取得した鯨肉を使った料理の試食会を開いた。「徳家」では調理場の洗浄に通常用いるアルコール洗剤を使わず、油は植物性、しょうゆもみりんを含まないものにした。 イスラム教徒への配慮だった。イスラム教典は生活様式を示し、豚肉やアルコールなどを避ける。こうした戒律に則ったことをイスラム教団体がハラル認証する。 「大阪にもマレーシアやインドネシアなどからイスラム教徒の方々が多く観光に来られるようになりました。食い倒れの街といわれる大阪で安心して鯨料理を食べていただくための試みです。みなさん『おいしい』と喜んでくださいました」(「徳家