〇原田実『オカルト化する日本の教育:江戸しぐさと親学にひそむナショナリズム』(ちくま新書) 筑摩書房 2018.6 「江戸しぐさ」と「親学」という、あやしい教育論の噂は聞いていたので、表題から見て批判的な立場にあるらしい本書で、少し知識を仕入れてみようと思った。 「江戸しぐさ」とは、江戸時代、全国から江戸に集まってきた人たちが、おたがい仲良く平和に暮らしていけるように生み出した生活習慣のことで、具体的な動作として「肩引き」「こぶし浮かせ」「傘かしげ」などがあると言われている。著者の調査によれば、「江戸しぐさ」という語の初出は1981年で、企業の社員研修や経営指導を行っていた芝三光(1928-99)という人物が作り出したものだが、90年代からジャーナリストの越川禮子によって徐々に広まり、2014年には文部科学省が配布した『私たちの道徳 小学五・六年生用』に掲載されるに至った。 私は、かつて東