稲葉陽八段(27)=加古川市在住 昨年10月22日、東京将棋会館。順位戦B級1組6回戦で松尾歩(あゆむ)八段(36)と対戦した稲葉陽(あきら)八段(27)=当時七段=は途中、負けを覚悟した。松尾の118手目、角を飛び出した手が[後]6八金の1手詰め=盤面図。稲葉は飛車で王手をした後、[先]6六銀と打ち、この銀を犠牲にきわどく王様を逃げて逆転勝ちした。午前10時に始まった対局が終わったのは、日付が変わった23日午前1時2分。総手数171手の熱戦だった。 この将棋を落としていれば、松尾と4勝2敗同士で並び、順位上位の松尾が事実上リードするところだった。稲葉は「逆転勝ちして波に乗れた」と振り返り、10勝2敗の成績で「鬼のすみか」と呼ばれるB級1組を1期で抜け、最高峰のA級に上り詰めた。 この記事は有料記事です。 残り1148文字(全文1492文字)