電子取次業界第1位の出版デジタル機構を、第2位のメディアドゥが買収したことの意味について、出版ニュース2017年5月上旬号に寄稿しました。以下、掲載時のまま、常体文章です。 業界2位が1位を買収 メディアドゥは3月31日、出版デジタル機構を子会社化した。IR資料(※1)によると、メディアドゥの2017年2月期売上高は155億3200万円(実績)。出版デジタル機構の業績推移も公表されており、2017年3月期売上高は200億6900万円(見込)。電子取次市場でシェア2位の企業が1位の企業を買収した形であり、3位以下の企業にとっては脅威だろう。もしかしたら独占禁止法に違反するのでは? という声も散見されたが、公正取引委員会の審査は問題なく終了している。 なぜ独占禁止法に違反しないのか? それは、電子出版市場におけるこの2社のシェアが、実はそれほど高くないからだ。2社の売上高合計は約356億円(概
匿名氏の書いた“ちきりん氏の「実は面倒な電子書籍」がウソだらけな件”を、この個人ブログで公開する行為がちょっと軽率だったので、反省とちきりん氏への謝罪の意味も込めて検証記事を書いておきます。 私のダメだった点 先に、私のダメだった点について。いくら頼まれたから、代理だからといって、個人のブログで公開すれば「私の意見」とイコールで見られてしまいます。うかつながら、そのことに気づいたのは、記事がだいぶ拡散したあとのことでした。 もらった原稿にほとんど手を入れずに公開してしまったわけですが、怪文書は怪文書らしく「はてな匿名ダイアリー(増田)で」と投げてしまうのが正解だったのかもしれません。 もし今回のように個人ブログで代理公開するなら、もっと事実確認をすべきだし、言動の荒さを修正すべきだったでしょう。とくに、半ばちきりん氏への個人攻撃になっている部分をそのままにしてしまった点は、失態でした。申し
3月4日に「Chikirinの日記」で公開されたエントリー「実は面倒な電子書籍」について、「この言説をそのまま放置できない!」と匿名でのタレコミがありましたので代理公開します。 ちきりん氏の電子書籍論がウソだらけな件 ちきりんという評論家だかコンサルだか、匿名だか有名だかわからん人が、「実は面倒な電子書籍」(魚拓)というエントリーで、ウソ八百並べてる。 まあ、紙の媒体は言うにおよばず、ネットにおいてもいわゆる「評論家」のものする「電子書籍論」というのはデタラメ、というのは業界の常識なので、今回もスルーしようかと思ってたけど、今回はほっとくと実害が及びそうなのでここで釘を刺しとくことにしますね。 で、全体は3部構成になっているが、そのどの部分もおかしい。なんというか、実際に手を動かさないで(ってこの人、セルフで電子書籍出してるはずなんだけど? 誰かにやってもらったのか)、ものすごい遠いぶどう
8月3日、ついに日本でも「Kindle Unlimited」が始まったので、ラインアップについて調べてみました。普通に買える本と、読み放題とで、どの程度差があるでしょうか? [追記:8月3日から30日間経った時点での調査を行いました] まずサービス内容ですが、「月額¥980で、12万冊以上の本、コミック、雑誌および120万冊以上の洋書を読み放題でお楽しみいただけます」 とあるので、事前にリークされた5万5000点という情報より、相当多いです。10万点超えるようならインパクトがあるだろうと思っていたので、想像以上でした。 事前考察では5万5000点を前提に考えていました。「Kindle先行・限定タイトル」が7月19日時点で3万9000点なので、“アメリカ同様、日本も多くが「Kindleダイレクト・パブリッシング」の作品” と書いたのですが、全体で12万点あるなら前提がまったく異なります。 出
楽天マンガ 昨日、楽天は新サービス「楽天マンガ」をリリースしました。「楽天Kobo」とは完全に別系統の電子書店で、同じ楽天IDでログインしても本棚は共有できません。楽天はなぜこんなことをしたのでしょう? 理由を考えてみました。 楽天マンガはメディアドゥとの提携 私が驚いたのは、楽天マンガは電子取次メディアドゥとの提携だという点。勘違いして欲しくないのですが、メディアドゥが悪いと言っているわけではありません。東証一部上場で、売上利益ともに伸び続けている優良企業です。この提携によって、株価も急伸しています。 メディアドゥが急伸、「楽天マンガ」にコンテンツと基盤技術を提供-サーチナ https://web.archive.org/web/20160423085149/http://biz.searchina.net/id/1607852 メディアドゥは、「LINEマンガ」や「ポンパレeブックスト
Amazon「夏の読書推進お買い得キャンペーン」 Amazonが、期間限定で新刊書籍の値引き販売を始めました。当初の日経報道や、それに対する反応など、いろいろ事実誤認が散見されるので、ちょっと整理してみることにします。 再販違反じゃないの? これに関しては、公正取引委員会の「よくある質問コーナー」Q12.の解説が分かりやすいです。メーカーが小売店に定価販売を強制するのは「再販売価格維持行為」といい、独占禁止法(2条9項4号)によって原則禁止されている行為です。ただ、一部の著作物(書籍、雑誌、新聞、音楽用CD、音楽テープ及びレコード盤の6品目)については、例外的に独占禁止法の適用が除外されています。これを「著作物再販適用除外制度」といいます。 要するに、出版社が書店に定価販売を強制するのは、例外的に認められた行為であって、出版社が「希望小売価格」にするのは自由なのです。出版社が定価で販売する
5月7日にドットDNPで行われた、ゴールデンウィーク企画『五感で楽しむ本』スペシャルイベント第3弾「ウェブから学ぶ電子出版の可能性」へ行ってきました。レポートを兼ねて、感じたことを書き連ねておきます。 ボクがこのイベントに行ったのは、2016年4月1日に施行予定である「障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律(略称:障害者差別解消法)」が電子出版界隈にどのような影響を与えるのかを、アクセシビリティに関しては先行しているウェブの事例から学ぶことができるだろうと思ったからです。 登壇者は、株式会社ミツエーリンクス 取締役CTOの木達一仁さんと、株式会社Gaji-Labo 取締役CXOの山岸ひとみさんです。お二人とも使用したスライドを公開していただいているので、講演内容の詳細はスライドシェアをご覧ください。 木達さんは、ウェブアクセシビリティ基盤委員会(WAIC)副委員長でもあります。こちら
やっと出ました、Kindle for PC 日本語対応版。これで DRM フリー EPUB が読めるだろうか? と思い、試してみました。結論から先に言うと EPUB のままではダメですが、Kindle Previewer で mobi ファイルに変換すれば読めるようになります。以下、その方法についてまとめてみました。 1.Kindle for PC と Kindle Previewer をインストールする Kindle for PCはこちらから、Kindle Previewer(Kindle プレビュー ツール)はこちらからダウンロードできます。なお、Kindle for PC(日本語版)は、現時点ではWindows版だけで、Macは出ていません。Windows 7以降対応。 2.Kindle Previewer でDRMフリーEPUBをmobiに変換する DRMフリーのEPUBファイルを
新年あけましておめでとうございます。 本年も「見て歩く者」をどうぞ宜しくお願い致します。 2014年も、電子出版界隈ではさまざまなことがありました。昨年年初の予測を簡単にまとめると、こんな感じです。 電子図書館界隈に注目が集まる タブレットの大型化と高解像度化 PC向けビューワのリリースと電子雑誌の盛り上がり メジャーなマンガ誌が紙と電子を同時配信し始める セルフパブリッシングの作家やサービスが脚光を浴びる 12月5日のJEPAセミナーで検証していますが、厳しめに判定しても6割くらいは当たっていたと言っていいでしょう。ね? さて、では2015年はどんな年になるでしょうか? 昨年と同様、5つに絞ってみました。 今年こそタブレットの大型化と高解像度化が進む 電子図書館サービスが助走段階から離陸段階へ移る リアル書店やコンビニで電子書籍が入手可能な仕組みが普及する ソーシャルDRMで直接配信する
税金不払い批判は収まるか?アマゾン経済圏に消費税の網|inside Enterprise|ダイヤモンド・オンライン ダイヤモンド・オンラインで2014年12月16日に公開された「税金不払い批判は収まるか?アマゾン経済圏に消費税の網」という記事に、「国内の電子書籍ストアを見ると、アマゾンが49.4%の市場シェアを握って独走状態」という記述(2ページ目・魚拓)がありますが、これは誤りです。 該当する部分をそのまま引用します。 国内の電子書籍ストアを見ると、アマゾンが49.4%の市場シェアを握って独走状態。米アップルのiTunes(同15.8%)が続き、国内勢は紀伊國屋書店のKinoppy(同14.7%)が何とか3位に食い込んでいるというのが実情だ。 市場シェアとは、市場全体の売上額(または販売個数)に占める割合のことで、市場占有率とも言います。2013年における電子書籍市場は、インプレス総合研
一般社団法人電子出版制作・流通協議会(電流協)が5月28日に行った、新世代コンテンツメディア研究会の総括討論会「電子書籍の新しい方向性」のレポートです。同研究会では2013年9月から計6回、電子書籍の今後の可能性と市場拡大のための討議が行なわれており、その成果発表および討論という位置づけです。 コーディネーターは研究会の座長で国立情報学研究所の高野明彦氏、パネラーは「マガジン航」編集人 仲俣暁生氏、ブックウォーカー「ミニッツブック」編集長 松山加珠子氏、インプレスR&D代表取締役社長 井芹昌信氏、東京大学教授 影浦峡氏。このうち研究会のメンバーは、高野氏・井芹氏・影浦氏です。 パッケージ発想からの脱却は可能か? 研究会での討議まとめ(1) ── パッケージ発想からの脱却 雑誌の持っている「読む気のなかった記事を読ませて、関心を持たせる」機能は、電子でも果たせるか? 紙の場合は雑誌や出版社の
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