経済のグローバル化が進み、世界中のサプライチェーンがつながったことで、国家間の大規模な戦争が「不合理なものになった」と思われていたいま、なぜロシアは侵略を開始したのか。国際政治研究の第一人者の著書『「正しい戦争」は本当にあるのか』の一部を、抜粋してお届けします。 3つの戦争論 藤原 戦争のとらえ方は、大きくまとめると三つぐらい、考えられるんです。 ひとつは悪いやつが戦争を起こすんだ、戦争を起こそうとするような政府は取り除かなければ、そうでないと平和は訪れないっていう考え方ですね。武器が悪いんじゃなくて、武器を使うやつが悪者だから、それがダメなんだ、っていう。悪いやつを倒す正義の戦争ってわけです。ナチの話っていうのはまさにそれで、ナチを取り除くから平和になるんだっていう理屈です。〈ミュンヘンの教訓〉(*1)という言葉があります。イギリスのチェンバレン首相はナチとミュンヘンで交渉するわけですが
![それでも地球から戦争がなくならない理由(藤原 帰一)](https://cdn-ak-scissors.b.st-hatena.com/image/square/7612c42a0c3c4e3a3fbbd3e88c5d31855d9f9d37/height=288;version=1;width=512/https%3A%2F%2Fgendai-m.ismcdn.jp%2Fmwimgs%2F3%2F7%2F1200m%2Fimg_37c961c3c6d57fd83d6133c84168a36c152530.jpg)