「睡眠の質が良い、悪い」「運動で睡眠の質を向上させる」などと言うが、では睡眠の質をどのように評価するか、何かの数値で示せるかというと、これがなかなか難しい。 幾つか具体例を挙げてみよう。 まず、同じような眠り方をしていても睡眠の質の感じ方に大きな違いがある。寝ている途中でたった1回目が覚めただけで「睡眠の質がとても悪い、苦しい」と感じて受診する患者がいる一方で、2、3回目を覚ましても「年を取ればこんなものだろ」と平然としている同年代の人もいる。同じことが、寝つきにかかる時間や総睡眠時間などについても言える。睡眠の質を評価する物差しが人の主観(自覚)にはそもそも存在しないのである。 では睡眠ポリグラフ検査などで睡眠の深さや長さを客観的に調べれば睡眠の質を正しく評価できるのか? 確かに健康な人で睡眠脳波を何度も測定すると、ぐっすり眠れた夜に比べて寝苦しかった夜では深い睡眠が減って中途覚醒が増え
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