2001年に上梓された『トランスクリティーク――カントとマルクス』で、「資本、国家、ネーションを三つの基礎的な交換様式から見、さらに、それらを超える可能性を第四の交換様式(アソシエーション)に見いだす」(『世界共和国へ』あとがきより)考えを提示した柄谷行人が、60年安保闘争以降の政治経済の動向を振り返りつつ、21世紀世界の動向を予言する。 ウォーラーステイン(から着想した)「近代世界システムの歴史的段階」論と歴史反復の「120年周期論」など、前著『世界共和国へ』よりもさらにわかりやすい語り口で、アソシエーショニズムへの流れの必然性を解説している。 「ノルマリアンであるフーコーは、自分が官僚出身であることにまったく気づかない」(p.33)、「第一巻・第二巻しか読まないと、『資本論』が、資本主義経済が「信用の体系」だということを論じていることが分からない」(p.42)、「たぶんネグリは、第三巻