今週の水曜(9日)の「ウォール・ストリート・ジャーナル」紙に、「大都市での数学の学力伸び悩み」というタイトルの記事が出ていました。タイトルだけ見ると「格差社会」で郊外に富裕層が逃げ出して、都市が空洞化する「ドーナッツ化」現象をイメージする内容です。アメリカでは、事実、都市部の学力低下が問題になっており、この記事もそうした文脈に沿っているのですが、それでは「伸び悩み」というのは「学力低下」とか「学力崩壊」が進んでいるのかというと、そうでもないのです。 まず背景にあるのは、ブッシュ前大統領が進めた「ノー・チャイルド・ビハインド(落ちこぼれゼロ計画)」という政策です。この政策に関しては、色々と批判があります。例えば、統一テストの結果で教師の勤務評定を行うのは「やり過ぎ」であるとか、補助金を出す学区には代わりに軍の募兵用に「生徒名簿を連邦政府に提出」するという義務があるのはおかしい、といった声です