「ドラフトで人生が決まる」と言われたのは昔の話。いまの時代、才能のある野球選手の名は中学時代から全国に響きわたり、有力高校が争奪戦を繰り広げるのだ。このセンバツのスターもそうだった。 中3で最速146km 今年の第89回選抜高校野球、戦前の話題はプロも注目するスラッガー、早稲田実業の主砲・清宮幸太郎、その好敵手・履正社の安田尚憲だった。が、のちの世には「スーパー中学生」と呼ばれた少年が、鮮烈なデビューを飾った大会として語られるようになるだろう。 中学時代から投手と野手で類い希な才能を発揮して日本代表に選ばれ、初めての甲子園でも「二刀流」で縦横無尽の活躍を見せた大阪桐蔭の新2年生、16歳の根尾昂である。 1回戦から5番・ショートで登場すると、即座に甲子園初打席で初安打初打点をマークした。2回戦は八回からリリーフ投手として初めてのマウンドを踏み、2回を1安打無失点に抑える好投を見せる。さらに、