ポートランドは、豊かな自然環境に恵まれた「暮らしやすい環境都市」として高い評価を得ていました。荒廃した無人地帯となっていた中心市街地の歴史的建造物に巧みに手を入れてリノベーションを施し、地上階にはショップやレストラン、その上にオフィスや住宅を配置したミックスユーズで賑わいを実現した手法とプロセスにも興味がありました。そして、ポートランドがスポーツやアート、食文化やライフスタイルの情報発信源として魅力を放っている背景も知りたいと考えました。 この時の滞在期間は短かったのですが、街づくりの現場を見て歩いて受けた感慨は、深いものがありました。撮影した写真と手元のメモとつきあわせて、備忘録のつもりでブログに書いたのが、『ポートランドという魅力、「暮らしやすさ」の都市戦略』(2015年12月21日) です。この記事は、私の予想をはるかに超える反響が広がり読まれたようです。その後、ポートランドに年に一
第二次安倍内閣の肝煎りとして進められている「クールジャパン戦略」。政権発足直後、2013年から本格化したこの国策は、実質的な国策ファンドであるCJ機構(株式会社海外需要開拓支援機構)を中心にして、積極的な国税の投入が行われている。 が、CJ機構発足(2013年)から早5年が経過し、その費用対効果が各種報道で疑問視されるに至っている。また、CJ機構幹部によるセクハラを巡り、元派遣社員が東京地裁に提訴に及ぶ等の報道もあり、CJ機構を巡る疑問符やスキャンダルは、私達の眼前に大きく報道されるに至っている。 ・クアラルンプールの一等地に約10億円の公費投入 さて筆者は、このCJ機構が東南アジアにおける日本文化の発信拠点として重視しているマレーシア連邦の首都・クアラルンプールの一等地にある、民間百貨店との共同出資物件「ISETAN The Japan Store(以下、The Japan Store)
クールジャパン投資事業で44億円の損失 大々的に喧伝されてきたクールジャパン政策が迷走している。 日本の文化を海外に紹介し、マンガ・アニメ、食、ファッションなどの輸出を支援すると官民ファンドの産業革新機構が投資した事業が成果ゼロのまま次々に打ち切られ、その株式が民間企業に極めて廉価で売却されている。 中には20億円以上の「全損」案件もあり、税金の無駄遣いがはなはだしい。特に、2013年11月に鳴り物入りで設立された「海外需要開拓支援機構」(クールジャパン機構、東京都港区)のいくつもの投資事業案件が苦戦続きとなっている。 会計検査院は4月13日、アベノミクスの推進役として相次いでつくられた官民ファンドの投資損益調査結果を発表した。それによると、2017年3月末時点で全14のファンドの4割強にあたる6つのファンドが損失状態になっていることが判明した。 言うまでもなく、官民ファンドの財源の大半が
近年、クールジャパン政策が叫ばれている。日本のコンテンツの海外展開分野においても、これまで数百億円の税金や財政投融資など公的資金が注がれている。コンテンツ政策におけるクールジャパンの目的は、単に日本コンテンツの輸出額を増やすだけでなく、ソフトパワーによる観光振興などのインバウンド獲得を狙う「クールジャパン効果」も重要な目的になっている。 しかし、巨額の公的資金支出にもかかわらず、公的資金拠出の意思決定や成果の評価は著しく客観性に乏しい。本来、クールジャパン効果とは客観的な外部評価が基準であるべきだが、税金を使う側である当事者の主観的な内部評価が基準となっている。この思い込みが、国民財産の毀損と無駄遣いの温床になっている。その顕著な例が2011年に「日本を元気にするコンテンツ総合戦略」のもと設立された株式会社All Nippon Entertainment Works(ANEW)である。 A
林立する地方アートフェスティバル ビエンナーレやトリエンナーレとしばしば呼ばれる数年ごとのアートフェスティバルが、地方や地方都市を舞台として、さかんになっている。 今秋にも、あいちトリエンナーレ、瀬戸内国際芸術祭や山形ビエンナーレ、岡山芸術交流、さいたまトリエンナーレなど数多くの開催が予定されている。 絵画や写真が美術館で展示されるだけではなく、野外インスタレーションや住民や観客の参加を求めるパフォーマンス的アートが国内外から地方や地方都市に観客を引き寄せているのである。 こうしたアートフェスティバルに対する筆者の立場をあらかじめ示しておけば、基本的には喜ばしいことと思う。 少子高齢化のなかで移動が減少し、経済の沈滞がみられ、モールを除けば新たな出店もまれな地方では、これまで以上にあたらしい出来事が少ない。そのなかでアートという「何でもあり」の余白をもった活動や表現は、地方に外部につながる
設立から4年、投資決定時の将来見通しは破綻 「日本を元気にするコンテンツ総合戦略」として経済産業省が企画し、2011年に産業革新機構が設立した株式会社ALL NIPPON ENTERTAINMENT WORKS(ANEW)には、4年以上が経つ今も映画は1本も存在していない。そして投資決定時にあった「設立3年で継続的な利益を生む」という将来見通しは乖離どころか、もはや破綻状態にある。 国民財産の投資を適切に行うための担保となる法律、第三者機関の公平性、独立性は形骸化し、関係者が利益相反で行っている公的資金運用のルールを無視した経営体制は、天下り監督官庁の経済産業省によって「適切な投資」と承認されている。これは起こるべくして起きている公的資金60億円の毀損であり、クールジャパン政策における国レベルの腐敗を映し出している。 ALL NIPPON ENTERTAINMENT WORKSの純損益 第
ヒロ・マスダ / Hiro Masuda @IchigoIchieFilm 「内閣総理大臣がロケ誘致を閣議決定しました」各省庁が無数の理事がいるわけのわからない傘下の法人作って年次行事の関連予算拠出の口実、政府に近い旅行代理店と世界各地を回る海外PR、おまけに「日本の撮影はクルーに残業代がかかりません」、広告代理店の数千万の公共事業、日本企画さえ日本敬遠 2015-05-04 14:47:41 ヒロ・マスダ / Hiro Masuda @IchigoIchieFilm 映画ビジネスの厳しさ「グローバルモデルのイノベーションで日本を再生」と公的資金60億円で映画会社設立。既に11億1000万円投入。企画4本(うち2本は5億円のインディ)これで日米オフィス、2年で渡り歩く産業革新機構役員、経産省の天下り職員の給与をどう回収するのか?全て国民へのつけ 2015-05-04 21:46:02 ヒロ
ホームレビュー/プレビュートピックスシンポジウム「来たるべきアート・アーカイブ 大学と美術館の役割」 レポート:どこへどのように向かうのか? 芸術作品の資料の行方 2014年11月24日、東京・六本木の国立新美術館で、京都市立芸術大学芸術資源研究センター主催のシンポジウム「来たるべきアート・アーカイブ 大学と美術館の役割」が開催された。芸術家を目指す学生の多い芸術大学が、「創造のためのアーカイブ」を育む調査・研究機関として、今年4月に芸術資源研究センターを発足。東京でのお披露目を兼ね、アーカイブの芸術教育への活用や社会への還元方法の確立に向けて、アート・アーカイブの意義と役割について考察した。大学と美術館が果たす役割とは何か、組織の年史をアーカイブする大学アーカイブズとの違いはあるのか、アート・アーカイブとは何かなど、関心をもって参加した。 何を集めて保存するのか アート・アーカイブとは何
http://www.momat.go.jp/art-library/JAL/JAL2014.html によると、JALとはJapanese -art librarianの略称です。2014年、東京国立近代美術館、国立新美術館、国立西洋美術館および東京文化財研究所の共催で「海外日本美術資料専門家(司書)の招へい・研修・交流事業 2014」(略称:JALプロジェクト)が行われました。 このプロジェクトを説明を見て、日本研究情報専門家研修 http://www.i-house.or.jp/programs/jsis_trainingworkshop/ や、日本専門家ワークショップ http://current.ndl.go.jp/e1408 を思い出す方もいらっしゃるかもしれません。 今回のプロジェクトは、さらに主題を日本美術(写真・映像・マンガ・デザイン・建築等の視覚芸術全般を含む)としたプ
.憲法上の議論としては、「文化権」概念を確立しようというのがありますね。不当な行政的介入から逃れる(自由権的文化権)一方で、もっと積極的に公的支援を求め、文化を享受する権利としても位置付けようとするような(社会権的文化権)*1。根拠としては13条の幸福追求権で考えたり、あるいは25条の生存権(健康で文化的な最低限度の生活を営む権利)の「文化的」に着目するものなど。他にもいろいろアプローチがあって、たとえば政治哲学でいう多文化主義を実定憲法上の話に接続するにはどうしたらいいか、といった観点からの議論もあります*2。 .といっても文化権とか多文化主義といった大きな話とはまた別に、このへんの分野はもっと地道な政策論の積み重ねが進んでいる感じです。たとえば、文化芸術振興基本法が2001年に制定されて、その後、各自治体での現場レベルでの取り組みがいろいろ進んでいます。このへんは文化政策論とか文化資源
関西ペイントのしっくい塗料「アレスシックイ」が福島県にある諸橋近代美術館の展示室に採用された。消臭、吸放湿性を持つ同品の特長が絵画の品質維持に寄与するとの評価を受けた。しっくい塗料が美術館に採用されたのは世界でも例がなく、絵画の管理手法として普及するか。継続的な評価を含め、今後の動向が注目される。 美術館内の空気環境管理は、絵画の色褪せ、劣化につながるため常に細心の注意が求められる。この日美術館に置かれた温湿計は気温20℃、湿度50%に維持され、作品ごとに除湿剤を配備するなど、保存管理専門の学芸員が徹底した管理を行っている。美術館の中には、作品を傷つけないよう来館者に対し万年筆やボールペンの持ち込みを禁止している美術館もあるなど、一般では知り得ない保全対策が随所に施されている。 こうした徹底管理を施す背景には、美術品自体の維持管理もさることながら、展示イベントごとに貸借し合う美術館同士の信
まずは基本のデータから。全国の博物館の数は、登録博物館、博物館相当施設、博物館類似施設を合わせて、増加傾向にあります。増えているはずなのに、意外なデータがありました。次のページを見てください。
前回「美術館とクラウド・ファンディング」というテーマが出たので、今回はそこから派生して。 アメリカでは、アート関連では断然に個人がプラットフォームを通じてクラウド・ファンディングを利用するケースがまだまだ多いですが、ヨーロッパでは少し事情が違う国もある模様。その目立った例として、今回はルーヴル美術館とフランスを中心とした事例を紹介しつつ、個人利用ともまた違う「パブリックな組織とクラウド・ファンディング」の特徴や、なぜ利用されているかについて触れてみたいと思います。 ※今回、実際にルーヴルの担当者にインタビューを実施した佐々木周作さん(大阪大学超域イノベーション博士課程プログラムでオンライン寄付を研究されています)から多くの情報を共有していただいています。ありがとうございます! ■目次 毎年クラウド・ファンディングを実施しているルーヴル美術館 ルーヴル美術館が「Tous mécènes !」
日時:2014年1月18日(土)13:00~19:00 場所:千里朝日阪急ビル第1会議室(大阪府豊中市新千里東町1-5-3, 06-6873-2608) アクセスについてはこちら(千里朝日阪急ビルホームページ) 一般公開(参加無料/申込不要[先着順]/定員45名) お問い合わせ:国立民族学博物館 竹沢尚一郎研究室 E-mail:takezawa★idc.minpaku.ac.jp ※★を@に置き換えて送信ください。 負の文化遺産と呼ぶものは、戦災の遺構や震災の遺構など、カタストロフが生じたあとに残され、多くの人びとに負の記憶を残している遺産を指す。ユネスコに登録されている世界遺産のうちにも、アウシュヴィッツ=ビルケナウ強制収容所や広島の原爆ドームなど、負の遺産がかなりの数存在する。これらの保存をめぐっては、反対運動が生じることもしばしばあり、多くの議論を呼んできた。 今回の公開フォーラムで
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