レバノンの首都はベイルートです。経済は落ち込み、通貨は暴落、インフラを整備する人材を確保することすら困難で、一日の半分が停電し、信号機は消えたまま運転手は互いに譲り合いながら運転をしている状況でした。 ベイルートに到着したその日、シリアから連絡がありました。今回、僕のガイドをしてくれるアブドゥル(48、仮名)です。 現在、シリアは大雑把に分けると、支配地域は三つに色分けされます。アサド政権、反体制派、クルド人です。さらにアサド政権にはロシアとイラン、反体制派にはトルコ、クルド人にはアメリカが後ろ盾となって支援をしているという構図でした。 僕が今回訪れるのはアサド政権の支配地域でした。これまで僕は5度にわたり、シリアを取材してきました。一部を除けば、大半が反体制派の支配地域からです。ただ、2022年となると、反体制派はシリア北西部のイドリブ県に閉じ込められ、トルコから支援を受ける別の反体制派