人通りがほとんどない夜の浪江町中心部 古里で再び生活できるなんて夢のようだ。 東京電力福島第一原発事故に伴い浪江町に設定された居住制限、避難指示解除準備両区域が解除されて1カ月余り。町行政区長会長を務める佐藤秀三(72)は町内権現堂の自宅で過ごす日々に喜びを感じている。時折、知人が訪れ、茶飲み話に花が咲く。6年に及んだ避難生活を思うと、わが家での暮らしは快適だ。ただ、帰還して以来、夜への不安が心の片隅に張り付いて離れない。 町によると、避難指示解除後、町に戻ったのは約300人。近所には無人の家が多い。暗闇に車が止まっているのを見掛けるだけで気持ちがざわつく。 「安心と安全が約束されていなければ、家に戻る人は増えないよ」と住民の気持ちを代弁した。 防犯体制の強化を求める住民の要望を受け、原発事故の避難区域となった市町村は独自の対策を講じている。 住民によるパトロール隊を結成したり、町内に防犯