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「娘が薬を飲み始めたのは、小学5年生のとき。きっかけは、地区の学校が参加する音楽祭に参加したことです」 現在26歳の娘について、吉田京子さん(仮名)はこう振り返る。吉田さんの娘は発達障害の1つである自閉症と軽度の知的障害がある。小学生のときから現在まで、向精神薬を飲み続けている。 薬を飲むきっかけとなった音楽祭は、地域を挙げての行事のため、教員たちの指導にも熱が入る。音が合っていなかったり、やる気のない子どもがいたりすると、全員が連帯責任で怒られた。練習は半年の間、毎日続いた。 それまで家でも学校でも大きなトラブルがなかった娘だが、ストレスから練習中に泣いたり、パニックを起こしたりするようになった。こうした状況をかかりつけの精神科医に相談すると、「不安を取り除くリスパダールを出そう」と言われた。 リスパダールは、主に大人の統合失調症の治療に用いられる抗精神病薬だ。2016年からは小児の自閉
血色素量の異常を理由にワクチンは打てなかった 亀山鶴子さん(仮名・43歳)はコロナワクチンを1回も打っていない。 鶴子さんは近年、ある病気をきっかけに重度の貧血となったことがあった。血中の鉄が関係するヘモグロビンの数値「血色素量」では、健康な女性が「11.3~15.2」のところ、彼女はその範囲に収まらない値だった。病院で処方される鉄剤や注射の治療も体質的に合わず、拒否反応。自然治癒に任せるしか方法がなかった。 「身体が弱っている中で、コロナワクチンの副作用がこわいと思った。ワクチンに負ける気しかしない、と感じたんです」 そんな彼女が今回、コロナのオミクロン株に感染した。 「職場の人間関係が一変。私は迷惑をかけた者として、陰口のターゲットになりました」 ワクチンを接種していない鶴子さんの、感染の経緯や症状、周りの状況を詳しく聞いた。鶴子さんのプライバシーに配慮して、個人が特定される情報を伏せ
「すごく住みやすいです!」。フリーランスの作業療法士として働く中澤希紀さん(31歳)は、1年前に越してきた今の住まいが大のお気に入りだという。 確かに、聞けば非常に魅力的な物件だ。場所は渋谷区初台駅から徒歩5分で、周辺にはコンビニやスーパーもあり立地抜群。2階のその部屋は、日当たり良好で風通しもいい。しかも1DK(6畳DK+6畳居室)と1人暮らしにしてはゆとりある広さ。こうした好条件でなんと家賃は5万円というから驚きだ。 デメリットは、ただ1つ。風呂がない。 風呂掃除の必要なし! 畳ライフも魅力 ところが、中澤さんはここをデメリットと感じていない。「近所に銭湯があるので問題ないです。お風呂掃除の必要もないので本当に楽ですよ。あえて言うなら夜1時頃に閉まる銭湯が多いので、帰りの時間を気にしながら飲まねばならないことでしょうか」(中澤さん)。 築年数は約40年だが、「外観は確かに古いけど、中は
日本の財政赤字は「氷山に向かうタイタニック号」のようなものだという矢野康治財務事務次官の発言で唯一新鮮だったのは、選挙で選ばれた政府の政策を、水面下での会話ではなく、影響力のある『文藝春秋』誌上で厳しく批判したことだ。 約半世紀前、1978年から財務省は政府が抜本的な歳出削減と増税をしない限り「日本は崩壊ししかねない」と、首相を脅し続けて自分たちのいいなりにしようとしてきた。最近は国債市場の暴落を”ネタ”にしている。財務官僚たちは影で、首相を次々と「犠牲」にすることで消費増税を繰り返せると影でジョークを言っているほどだ。 かたくなに主張を改めようとしなかった 仮に財務省の警告が正しければ、それは国益のためだったと言えるだろう。しかし現実には、財務省は何度も間違ってきたし、かたくなに主張を改めようとしなかった。公平のために言うと、確かに財務省の見解は多くの高名なエコノミストの間でも共有されて
誰もが「お金のため」ならやる気になる。そう考えているリーダーが多いように思います。しかしこれは、すべて正解とはいえません。 1953年のこと、ハーバード大学の神経学者だったロバート・シュワブは、実験を行い、普通の人が棒にぶら下がって我慢できる時間は約50秒であることを割り出しました。 では、誰かに応援されたり、催眠術をかけられたりしたらどうなるのだろうか。実験してみると、その効果はてきめんで、平均で約75秒、被験者は手首の屈筋の痛みに耐えてみせました。 最後に、シュワブは究極の武器を使うことにしました。「お金」です。彼は5ドル札(今の約4000円に相当)を被験者に見せたうえで「これまでの成績を上回ったら、このお金をお渡しします」と伝えました。すると参加者は、なんと平均で約2分もの間、鉄棒にぶら下がり続けることができたのです。お金を受け取ることで態度が変わる人を「現金な奴」などと揶揄しますが
11月末に、2020年国勢調査の人口等基本集計の確定結果が発表されました。そちらの配偶関係別人口に基づき、2020年時点の50歳時未婚率を算出してみたいと思います。 50歳時未婚率とは、厳密には50歳の未婚率ではなく、45~49歳の未婚率と50~54歳の未婚率の平均値を指します。アラフィフの未婚率とお考えいただければよいかと思います。 男女とも生涯未婚率は過去最高に 実は、この50歳時未婚率は、かつて生涯未婚率と呼ばれていました。それは、50歳を超えてからの初婚が著しく少ないために、それを超えたら生涯未婚であると認定しても支障がないという判断だったからです。 とはいえ、晩婚化の進行もあり、50歳以降で初婚が決してないとはいえないという事実もふまえ、呼び方が、生涯未婚率から50歳時未婚率と変更になったようです。
ここ数十年、実質賃金が上がっていない富裕国は日本だけではない。しかし、豊かな国の中で賃金の上昇率だけではなく、賃金自体が下がっているのは日本だけである。 成熟国では、賃金は、100年以上GDPとほぼ同じ割合での成長をしていたが、その傾向も最近はなくなってきている。1995年から2017年の間に、生産性、すなわち労働時間あたりのGDPは豊かな11カ国で30%成長した。しかし、実質的な時間当たりの報酬(賃金+福利厚生)は、その半分の16%しか伸びていない。 日本の状況は「衝撃的」 日本の生産性の伸びは30%と、他国と同じだったが、労働者の賃金は1%減少している。日本の労働者の賃金が最近まで他国の労働者のそれよりも国民所得に占める割合が高かったことを考えると、この状況は特に衝撃的だと言える。 このような賃金上昇率の低迷は、歴史的にも経済理論的にも説明がつかない。何十年もの間、経済の教科書には、市
来年4月に予定されるフランスの大統領選に向け、極右旋風を巻き起こしているのがジャーナリスト出身のエリック・ゼムール氏(63)だ。 11月30日に大統領選への立候補を正式表明したゼムール氏は12月5日、パリ北東郊外で初めての約1万5000人の支持者を集めた大規模な政治集会を開催し、「フランスが帰ってきた!」と叫んだ。一方、極左活動家ら約2200人が反ゼムール抗議デモを行った。 政党を持たない独立候補で政治経験ゼロのゼムール氏は、大統領候補者としては異例だ。政治コメンテーターとしてのメディアへの露出度は少なくなかったが、政治家としての知名度は皆無だった。 この夏以降、いきなり注目されるようになったのは、本の出版と、それに合わせるようにメディアでイスラム移民排撃の過激発言を繰り返す相乗効果の戦略で成功したからだった。過激発言で訴えられて司法の場でも戦う同氏への注目度は高まるばかりだ。 変わりはて
世界的に著名な自然療法士でオステオパシストのフランク・ラポルト=アダムスキー氏。1992年に発表された「アダムスキー式腸活メソッド」は、Google.itの食事法(ダイエット)部門(2017年)で「最も検索されたキーワードのベスト3」に選出されるほど、本国イタリアのみならず、ドイツ、フランス、スペイン、ポルトガル、ベルギー、トルコなど、世界中で話題になっている。 日テレ系列「世界一受けたい授業」(5月22日放映)でも紹介され、「アダムスキー式腸活メソッド」をすべて解説した『腸がすべて:世界中で話題!アダムスキー式「最高の腸活」メソッド』は、日本でも9万部を超えるベストセラーになっており、大きな反響を呼んでいる。 訳者の森敦子氏が本書の翻訳を通して感じたのは、「食べ物は『何を食べるか』ではなく、『何と組み合わせて食べるか』が大事」ということ。 では、アダムスキー氏の提唱する「最高の腸を手に入
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20~30代を中心に、オートミールが大流行中だ。きっかけは2020年初め、「手軽に食べられる健康食」、とユーチューバーたちが配信したこと。SNSで情報が拡散して人気が高まり、今年になって、日本ケロッグや旭松食品なども市場に参入している。 以前からシリアルは一定の支持を得、最近はグラノーラが人気になっていたが、今なぜオートミールに注目が集まっているのだろうか。愛用する人たちの声を聞いたところ、単なる健康志向にとどまらず、食文化自体の変化をうかがわせる、3つの要因が浮かび上がってきた。 「米化」で人気に火がついた 「オートミールにハマっている人は、私の周りで多い」と話すのは、23歳の会社員、鈴木胡桃さんだ。 「一番多い食べ方が、水とスープの素やお茶漬けの素を加え、レンチンする方法で、わかめスープの素とごま油を組み合わせる人もいます。癖がある、と気にする友人はカレードリア風にする、キムチチャーハ
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東京・池袋で乗用車を暴走させ、母子2人が死亡、9人に重軽傷を負わせた自動車運転処罰法違反(過失運転致死傷)の罪に問われた旧通産省工業技術院の元院長、飯塚幸三元被告(90)の禁錮5年の実刑が確定した。 2019年4月の事故直後から「上級国民」のレッテルを貼られた飯塚元被告は、裁判で「ブレーキを踏んだが、利かなかった」などと車の不具合による無罪を主張していた。 だが、9月2日に言い渡された判決で東京地方裁判所は、車には異常がなく、事故原因をアクセルとブレーキの踏み間違いと認定。そのうえで裁判長が判決を読み上げたあとに、「判決に納得するなら、責任と過失を認め、遺族に真摯に謝っていただきたい」とまで呼び掛けていた。 控訴期限の16日を前に飯塚元被告は控訴しない意向を示し、そのまま確定した。今は在宅から収監による刑の執行の手続きがとられている段階だ。 同じく逮捕されなかった元東京地検特捜部長 飯塚元
新型コロナウイルス・デルタ株の流行で連日のように医療現場の窮状が伝えられている。医療提供体制の問題が指摘されながら拡大がなかなか進まない。 東京都は改正感染症法16条の2に基づき民間病院への協力を要請したが効果はあるのだろうか。何しろ、市井の多くの診療所やクリニックは1年半以上も「熱のある方は保健所へ連絡を」と張り紙したまま、頬かむりして新型コロナの診療に協力していない。勧告や名前の公表ぐらいでは効かないのではないか。 また、大規模病院や療養施設への応援、在宅療養者へのオンラインによる診療支援といった程度では不十分だ。一般の診療所の開業医がインフルエンザの場合と同様に外来診療や往診に応じる体制を作る必要がある。一方で、分科会の医師の一部や知事などが主張する国民へのより強力な活動制限、ロックダウンなどはすべきでない。以下、説明したい。 感染力が強くなる一方、致死率は低下 まず、新型コロナの被
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新型コロナウイルスのワクチンは特に重症化の予防に高い効果を示しているが、ワクチンを突破するブレークスルー感染がニュースになっていることから混乱や不安を感じている人も多い。では、デルタ株の感染が広がる中、接種済みの人たちは日ごろどのような点に気をつけるべきなのか。専門家に聞いた。 予防接種でつくられた抗体は「防波堤」 デルタ株にワクチンは効かない? 新たな研究では、接種を完了した人でも新型コロナに感染して高いウイルス量を持つ場合のあることが明らかになっている。しかし、そうしたケースは少ないという点は、ぜひ覚えておいていただきたい。ウイルスに感染し、周囲に感染を広げているのは主に未接種者なのだ。 「接種を受けた人は、自分、家族、友人の安全のために最も重要な対策は済ませていることになる」とイェール大学公衆衛生大学院のグレッグ・ゴンサルベス助教授は言う。 接種が済めば、デルタ株は怖くない? ワクチ
日本にキリスト教が伝わったのは、戦国乱世まっただ中の天文18年(1549年)に薩摩、今の鹿児島・祇園之洲に上陸したイエズス会宣教師フランシスコ・ザビエルによってであった。 このザビエルからバトンを受け継ぐように永禄6年(1563年)、ポルトガル人宣教師ルイス・フロイスが来日すると、ときの権力者の織田信長から布教活動を許されたこともあって、京都や西九州中心にキリシタンが急増した。信長が本能寺で斃れた天正10年(1582年)ごろには全国で約15万人の信者がいたと言われている。 この数字は当時の京都の全人口のほぼ半数に匹敵するものだった。その後、信長の後継者となった豊臣秀吉は最初こそ信長のキリシタン保護政策を踏襲したが、天正15年になり、突然手のひらを返すかのように「伴天連(ばてれん)追放令」を発する。伴天連とはポルトガル語で宣教師を意味するパードレが訛ったものだという。 秀吉にはこのとき、布教
新型コロナウイルス感染拡大を防ぐために、ワクチン接種をいかに拡大するかが目下の課題となっている。現在、多くの人々がワクチン接種を希望しており、政府もワクチンの確保、接種に向けた計画を立てており、より多くの人にワクチン接種の機会が訪れると予想される。 一方で、無視してはならないことがある。報道などでもワクチン接種が当然の前提で話が進んでいるが、国民の中にはワクチン接種を希望しない人もいるという点だ。 今後、職場や学校、施設などでの集団的なワクチン接種機会が増大する中、さまざまな事情によりワクチン接種を希望しない人に対して、非難をしたり、差別的な取り扱いなどの不利益が生じたりすることも考えられる。法的な観点からこの問題を検討してみたい。 予防接種法上は「努力義務」、接種しない自由もある 前提として、予防接種法上、新型コロナウイルスワクチンの接種は「努力義務」とされている。つまり接種が法律によっ
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