国民学校1年生の時に仁川で終戦を迎えた著者が、自らが見た外地での敗戦を記録したもの。国民学校は今の小学校に当たる。小学1年生にしては、大人の世界への理解力がずいぶん高いと思う部分もある。当然、記憶のままをつづったということではない。著者はジャーナリストなのだから、後に調査した内容に基づく記述も多いはず。したがって、幼き日の著者が見たままの現実が描かれているとはいえない。しかし、それにしても終戦当時の外地の様子というものは貴重な記録ではないか。また、仁川は移動の中継点であるため、終戦の前後にそこを通過した人々の模様にも描かれる。 たとえば、ソ連の侵攻の1か月前、日ソ不可侵条約があるから内地や南方より安全と聞かされて満州に向かった女(慰安婦)の一団。かと思えば、三々五々連れだって、いち早く内地へ引き上げる憲兵。親が死に必死に内地に向かって生きのびようとする同年代の姉弟のたくましさ。北へ向かう人
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