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文学に関するagatha03のブックマーク (2)

  • 午前四時 - nuba

    日記 | 22:03 |  眠りはいつも深いほうで、夢もそう覚えていないから睡眠はいつも僕を現世のあれやこれやから匿ってくれるようである。その朝もまた同様であった。つまり僕は夜暗くなって眠り、目覚まし時計の鳴る朝目覚める。それまでほとんど目の覚めることはなく、ただ異様の暗さだけが僕の知る七時間である。そのくらいは眠る。 暑苦しくて眠りの覚めかかる朝であった。 冷房を使うでもなく、扇風機のタイマーの切れたころである。 たとえば静聴の朝の空気感というのが僕は好きで、その風景というのは伊豆高原の叔母の別荘で過ごしたある夏休みの朝であったり、大阪から高知へ遊びにゆくフェリーで眠気の残る眼に焼き付けられた朝焼けの冷たさであったりする。そういう印象がある。そういう印象が僕に朝を好ませるし、じっさい僕は朝を、とりわけ健やかな朝を好んでいる。  ヒヨドリの鳴く声がした。 ヒヨドリの鳴く声は次第にはっきりと

  • 家なんて売ってしまえばいいと僕は言った。 - 2010-05-30 - Everything You’ve Ever Dreamed

    我が家は関東大震災の直後に建てられた。親父が亡くなって、すこし落ち着いたころだと思う。そんな古い家に我慢できずに、僕は母に言った。「こんな古い家なんて売りに出してさ。新しい町でやりなおそう。鎌倉って高く売れるらしいしさ」。母は、そんなうまくいかないでしょ、といって聞く耳を持たなかった。そのときは笑い話の枠を越えずに終わった。けれども僕は気だった。一家の大黒柱を失って不安でたまらなかったのだ。将来を考える余裕はなかった。古い家は、これくらいのことで情けないとでも言っているようだった。不甲斐ない僕に圧力をかけてくるように思えた。人生が川なら、僕は、その深さを恐れて、何もできず、いや、何もしなかったのだ。ただ、闇雲に、楽な方法を探していたのだ。重圧を、古い家を川底に沈めれば、足が届くようになると錯覚して。 ある晩、僕がアルバイトから帰ってくると、卓のうえに手紙が置いてあった。母はパートに行っ

    家なんて売ってしまえばいいと僕は言った。 - 2010-05-30 - Everything You’ve Ever Dreamed
    agatha03
    agatha03 2010/05/31
    手帳に挟んでおいて、ふとした瞬間に何度も読み直したい。
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