石川忠 東京農業大学 農学部 生物資源開発学科 教授。20歳の頃にカメムシに出会い、その後20年以上に渡りカメムシの研究をしている。著書に「カメムシ博士入門(全国農村教育協会)や、「日本原色カメムシ図鑑第3巻(全国農村教育協会)」などがある。

光害と霧で霞んで見える夜のニューヨーク。光害は自然に混乱をもたらしており、人工の光が樹木に与える影響により、昆虫が好まない硬い葉が育つようになっているという。(PHOTOGRAPH BY JIM RICHARDSON, NAT GEO IMAGE COLLECTION) 人工の光によって夜空は過去10年ほどの間に毎年10%ずつ明るくなっており、過剰な人工の光がもたらす「光害(ひかりがい)」は、人類が環境にもたらした最も劇的な変化のひとつとなっている。そしてその変化には、世界中の昆虫たちも気がついている。(参考記事:「鳥がビルに衝突死も、野生生物を惑わす光害を減らそう」) 2024年8月5日付けで学術誌「Frontiers in Plant Science」に掲載された新たな論文によると、街灯のように夜通し点灯されている人工の光は、木々の葉を硬くし、昆虫にとってあまり食欲をそそらないものにし
プレスリリース (研究成果) トレハロース輸送体がネムリユスリカ由来培養細胞の乾燥からの生命活動再開の鍵であることを発見 - 役立つ物質であっても、不要になったらサッサと捨てる - 農研機構 茨城大学 東京大学大学院新領域創成科学研究科 東京医科歯科大学 ポイント 乾燥しても死なない昆虫ネムリユスリカから作られた培養細胞(Pv11細胞)は、増殖能を保持したまま長期間常温で乾燥保存できますが、その生命活動再開のメカニズムは明らかにされていませんでした。農研機構を中心とした共同研究チームは、Pv11細胞が乾燥状態から生命活動を再開する過程で、新しく発見したトレハロース輸送体によるトレハロースの細胞外への放出が重要であることを明らかにしました。本成果は、通常では乾燥保存できない動物細胞を常温で長期間保存した後に生命活動を再開させることが可能になる技術の開発につながることが期待されます。 概要 動
神戸大学大学院理学研究科の末次健司教授(兼 神戸大学高等学術研究院卓越教授)と東京大学大学院理学系研究科の塚谷裕一教授は、イワタバコ科の低木「ヤマビワソウ」の埃のように小さな種子(埃種子)がバッタやキリギリスの仲間であるカマドウマによって食べられ、その糞(ふん)とともに散布されることを明らかにしました。光合成で自活する植物において、昆虫が果実を食べ、中に含まれる種子が糞の形で散布される例はニュージーランド以外ではこれまで知られていませんでした。今回の研究は、こうした種子散布様式が今まで考えられていた以上に普遍的なものである可能性を示唆するものです。 また、これまで埃種子の進化については、種子に胚乳などの養分を蓄える必要がなくなる寄生能力の獲得が重要視されていましたが、今回の研究で、ヤマビワソウが独立栄養性であるにもかかわらず、埃種子をつけることが確認されました。昆虫を種子の運び手として利
一部の昆虫では、寄生した植物の遺伝子の発現を操作することで、葉や芽などに「虫こぶ」を作ることが知られています。山尾僚 生態学研究センター教授(研究当時:弘前大学准教授)、水木まゆ 弘前大学修士課程学生(研究当時)、笹部美知子 同准教授、池田紘士 同准教授(現:東京大学准教授)、金子洋平 福岡県保健環境研究所専門研究員、雪江祥貴 津黒いきものふれあいの里館長、陶山佳久 東北大学教授、廣田峻 大阪公立大学特任助教、澤進一郎 熊本大学教授、久保稔 奈良先端科学技術大学院大学特任准教授は、マンサクという植物と、この植物に虫こぶを作る近縁な4種のアブラムシが、マンサクの地理的な分布変遷に影響を強く受けながら種分化してきたことを明らかにしました。また、この種分化の過程で虫こぶの防御物質の量が増加し、形態が複雑化する方向に進化してきたことを、遺伝子発現のレベルと、防御物質や形態といった表現型レベルの双方
「イエロージャケット」は、世界中に生息する数種類のカリバチを指す。夏の間、この攻撃的な昆虫は人間の食料の周辺に群がる。ハチに刺されるとアレルギーを起こす人々にとっては特に危険な生物だ。(PHOTOGRAPH BY MICHAEL DURHAM/ NATURE PICTURE LIBRARY) 化学薬品や虫よけスプレー、シトロネラキャンドルやディート(DEET、虫よけ剤)が登場するずっと昔から、人間が厄介とみなすあらゆる生物には捕食者がいた。コウモリはチクチク刺すアブをドカドカ飲み込み、カエルは蚊をごちそうとし、ツバメはハチをススっと飲み込む。 実際、カエルは多くの蚊を捕食できる。2022年に報告されたある研究では、中米の一部で両生類の病気が発生したときに、マラリア患者が急増したことが突き止められた。他の研究では、1時間に1000匹もの蚊を食べるコウモリもいることが明らかにされている。(参考
捕食者から回避するために「死んだふり」をするアリモドキゾウムシのオスはメスの性フェロモンを感じると覚醒することを、琉球大学農学部の日室千尋協力研究員(昆虫生態学)らが明らかにした。サツマイモ害虫であるアリモドキゾウムシの駆除には人為的に不妊化して大量に放す不妊虫放飼法が使われているが、性フェロモンをうまく組み合わせることでより効率的な駆除が可能になると期待される。 アリモドキゾウムシは、体長6ミリメートルほどのゾウムシ。東南アジアやアフリカ、北米、中南米、オーストラリアなど亜熱帯地域のほか、国内でも奄美諸島、沖縄諸島、小笠原諸島に生息する。サツマイモの害虫として知られ、食い荒らされたイモは黒く変色して悪臭を放ち、苦くなって食べられなくなる。 天敵であるクモや鳥の口に挟まれるような刺激を受けると、触角を折りたたみ、脚を硬直させて動かなくなる「死んだふり」をすることを2001年に共同研究者の岡
ニュース メスの性フェロモンで死んだふりから覚醒、害虫のアリモドキゾウムシ 琉球大など 2024.07.09 捕食者から回避するために「死んだふり」をするアリモドキゾウムシのオスはメスの性フェロモンを感じると覚醒することを、琉球大学農学部の日室千尋協力研究員(昆虫生態学)らが明らかにした。サツマイモ害虫であるアリモドキゾウムシの駆除には人為的に不妊化して大量に放す不妊虫放飼法が使われているが、性フェロモンをうまく組み合わせることでより効率的な駆除が可能になると期待される。 アリモドキゾウムシは、体長6ミリメートルほどのゾウムシ。東南アジアやアフリカ、北米、中南米、オーストラリアなど亜熱帯地域のほか、国内でも奄美諸島、沖縄諸島、小笠原諸島に生息する。サツマイモの害虫として知られ、食い荒らされたイモは黒く変色して悪臭を放ち、苦くなって食べられなくなる。 天敵であるクモや鳥の口に挟まれるような刺
2024年の夏休み。東京でも子どもたちに人気のカブトムシなどを見ることができる公園は少なくありません。 ただ、都内の公園では近年、同じカブトムシの仲間でも厄介な虫が大量に発生。 それが原因で立ち入りが制限される公園まででています。いったいなぜなのでしょうか? (首都圏局/記者 多久和 佳) 「虫と無縁だった」私 初めての取材が… 私はこの4月(2024年)に記者になったばかりです。 横浜で生まれ育ち、虫とは無縁の生活を送ってきました。そんな私でしたが最初に手がけることになった企画の主人公が「虫」。先月(6月)、デスクからSNSで拡散されたこんな投稿を見せられたのがきっかけでした。 「木に巻かれた粘着シートにヤモリが貼り付いている」 なぜ木に粘着シートが巻かれているのか-。そこから取材が始まりました。 虫の正体は「カシナガ」 さっそく、木にこの粘着シートを巻いているという区に電話で取材しまし
蚊に覆われた足。米アラスカ州ノーススロープ郡で撮影。磁石のように蚊を引き寄せる人もいるが、専門家によれば、科学によって裏付けられた対策がいくつかあるという。(PHOTOGRAPH BY JOEL SARTORE, NAT GEO IMAGE COLLECTION) 本格的な夏が到来し、この季節のあらゆるものに勇敢に立ち向かうときが来た――おなかをすかせた蚊も例外ではない。 耳障りな羽音を立て、刺されるとかゆい蚊は、夏の最も恐ろしい脅威のひとつでもある。通常、蚊に刺されても不快なだけだが、この悪名高い昆虫はマラリアやジカ熱、デング熱など、命に関わる病気を媒介する可能性がある。炎症やじんましん、吐き気などの深刻な症状を引き起こす場合もある。(参考記事:「ナチス、マラリア蚊の兵器使用を計画?」) しかも、人の活動やそれに起因する気候変動の結果、新たな地域に進出している蚊もいる。このため、蚊との接
つくばちびっ子博士2024の企画を開催します 農研機構 農業環境インベントリー展示館では、つくばちびっ子博士2024の現地見学イベントとして、 [1] 地面の下をみてみよう (8月8日)(開催終了)、 [2] 昆虫採集教室 (7月25日)(開催終了)、 [3] インベントリー展示館見学 (8月1日)(開催終了) を開催します。 ちびっ子博士とは? つくば市とつくば市教育委員会が主催する科学体験イベントです。全国の小中学生が対象です。 ノートPCやスマートフォンを利用したつくばちびっ子博士2024 デジタルワールドを活用します。40の研究機関が参加する現地見学や動画視聴の確認クイズ、訪問日記の作成、デジタルバッジ集め、「つくばちびっ子博士」の認定等が行なえます。 つくばちびっ子博士2024(つくば市のお知らせにリンク) つくばちびっ子博士2024 デジタルワールド(つくば市のお知らせにリンク
竹林の整備活動をやっている地方を見つけますボランティア登録して竹林伐採に協力します伐採したらチッパーで竹を粉砕します。 粉砕した竹を軽トラ一杯もらってきます 庭に詰んでおきます勝手にいい感じに乳酸菌発酵して超優秀なカブトムシ・クワガタムシの寝床になります 1年から2年放置します勝手にカブトムシが生えてくるのでゲットします 後は毎年2番から繰り返すだけで一生カブトムシ・クワガタに困らない生活が送れます時間が無い場合には竹林整備してるおっちゃん(俺とか)にくれくれとか場所効いて待ち伏せとかしていただいても結構ですが できたら竹林整備にご協力をお願いいたします。 竹林整備した後みんなで食うバーベキューはかくべつです。
もしも世界中の女性が女の子しか産めなくなったらどうでしょうか? あまりに突飛なSF的アイデアにしか聞こえないかもしれませんが、実は自然界ではこれが現に起こっているのです。 石垣島に生息する「ミナミキチョウ」という蝶は、2015年頃までオスとメスの割合が1:1で均等に存在していました。 ところが福井大学らの調査で、同島のミナミキチョウはその後の4年間で93.1%がメスになっていたことが判明したのです。 これは別に島のオスたちが一斉に逃げ出したり、死んだわけではありません。 この不可思議なメス化現象は、蝶に寄生する細菌「ボルバキア」によって引き起こされたのです。 研究の詳細は2024年5月20日付で科学雑誌『Current Biology』に掲載されています。
プレスリリース (研究成果)島中がメスばかり -昆虫の細胞内に生息する細菌が宿主の野外性比を急速にメスに偏らせる過程を世界初観測-
外来生物のヒアリ。 7年前に国内で初確認されて以降、毎年、主要な港を中心に発見され、定着を防ぐための対策は待ったなしと言われる。 そんな中、ヒアリを撃退する“救世主”の効果を確かめるための実験が台湾で実施された。 使われたのは、日本人にとって馴染み深い「わさび」の成分。 台湾で導入が進む対策とともに、ヒアリ対策の最新研究を追った。 (科学文化部・島田尚朗) 「ヒアリ」は南米が原産の外来アリ。 赤茶色で、体長は2ー6ミリほど。 腹部の先端に毒針を持ち、刺されるとまるで火傷したような痛みを感じる。 最悪の場合、死にいたることもあるとされる。 日本では去年、「要緊急対処特定外来生物」に指定された。 蔓延した場合に、著しく重大な被害や支障が、生態系や私たちの生活に及ぶおそれがあり、発見した場合に検査や防除などの拡散を防止するための措置を緊急に行う必要がある。 彼らは海外で積み込まれた日本行きのコン
チャバネゴキブリ(Blattella germanica)は、約2100年前、現在のインドとミャンマーにあたる地域でオキナワチャバネゴキブリ(Blattella asahinai)から進化した可能性が高い。(PHOTOGRAPH BY OZGUR KEREM BULUR/SCIENCE PHOTO LIBRARY) 夜食でも食べようとベッドから起き上がり、キッチンの明かりをつけると、冷蔵庫の下にツヤツヤと光る茶色い昆虫の群れがうごめいているのを見つけた経験はないだろうか。その昆虫とはもちろん、チャバネゴキブリ(Blattella germanica)だ。 この嫌われ者の訪問客は、どのようにして世界に悪名をとどろかせる害虫となったのだろうか。5月20日付けで学術誌「米国科学アカデミー紀要(PNAS)」に発表された新たな研究によると、その答えはチャバネゴキブリのDNAに記されていた。 いつ、ど
プレスリリース (研究成果) 1回の天敵昆虫導入でクリの侵入害虫による被害防除効果が約40年持続していることを明らかに - 伝統的生物的防除の持続事例を解明 - ポイント 中国から導入し、1982年に放飼した天敵寄生蜂1)チュウゴクオナガコバチ2)が、クリの侵入害虫クリタマバチ3)による被害を導入から40年余りも抑制し続けていることが、農研機構による長期定点調査データの解析から明らかとなりました。化学農薬や耐虫性品種の育成では対応しきれなかった害虫被害に対して、天敵寄生蜂の1回の放飼が極めて効果的な防除法として機能していたことを科学的に明らかにしたことで、クリの安定的生産のための伝統的生物的防除4)の持続的な有効性を世界で初めて示しました。 概要 海外からの侵入害虫は、多くの場合、侵入先には自身の天敵がいないため、個体数が急速に増加しやすく、結果、餌となる作物に大きな被害を及ぼします。そこ
天皇陛下が皇居で田植えをされました。皇居では稲だけでなく、「蚕」を育てる養蚕も雅子さまが行われています。陛下や愛子さまも参加される「令和流」です。 ■長靴姿で水田へ 皇居で“田植え” 長靴を履き、皇居の水田に入られた天皇陛下。毎年恒例の田植えです。うるち米ともち米の2種類の苗、合わせて20株を植えられました。 苗は先月に陛下がまかれた種もみが育ったものです。陛下は春に種もみをまき、初夏に田植えをし、秋に稲を刈られます。 皇居での稲作は農家の苦労を感じるために昭和天皇が始められたものです。その後、上皇さま、陛下へと伝統として引き継がれています。歴代天皇により、稲作を通じて五穀豊穣(ほうじょう)が祈願されているのです。 ■歴代皇后は“養蚕”も 皇室で継承されている伝統といえば蚕の飼育です。明治時代以降から代々、皇后が取り組んでいます。雅子さまも美智子さまから引き継がれています。 雅子さまの飼育
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