「幻のキノコ」とされるハナビラタケの生産体制作りに成功した大井川電機製作所だったが、販路開拓の戦略はほぼ全くの白紙だった(第1回)。そこに現れたのが、「営業力によって農家を幸せにする」という志を胸に、新たな事業を始めていた1人の青年だった。彼が道の駅でハナビラタケを偶然に目にしたことから、大井川電機製作所のキノコ事業はビジネス化に向けて大きな一歩を踏み出すことになる。キノコが呼んだ出会い―――。そのてん末はいかなるものだったのか。(フリーライター 二階堂 尚) 英国留学を経てたどり着いた「葉っぱビジネス」 大畑悠喜氏が徳島県上勝町で「葉っぱビジネス」を手掛ける会社「いろどり」に入社したのは、2010年のことである。刺し身などの和食の「つま」となる葉、花、山菜などを地元農家から仕入れて消費地に販売するのがいろどりの基本的なビジネスモデルで、地方の高齢者や女性に活躍の機会を提供しているとして全