ブックマーク / sangetuki.blog.fc2.com (13)

  • Ⅲ月紀・四六

    サバクオニガラコオロギAcanthoproctus sp.。ケニアにて。 アフリカの乾燥地帯に生息する、全身トゲだらけのすさまじい直翅。何種かいて、みな刺々しい姿をしている。虫マニアの聖書「珍虫と奇虫」によれば、ゴム草履で踏むと底に刺さるほどだという。ゴム草履がなかったので踏まなかった。外見とはうらはらに、意外と性格は温厚なほう。 この生物は、最近では別の和名があるらしいのだが、俺は根っからの「珍虫と奇虫」原理主義なので、これの中で使われている呼び名以外は使わない。

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    agrisearch 2017/12/18
    「サバクオニガラコオロギAcanthoproctus sp.。ケニアにて」「虫マニアの聖書「珍虫と奇虫」によれば、ゴム草履で踏むと靴底に刺さるほどだという。ゴム草履がなかったので踏まなかった」。。
  • Ⅲ月紀・四六

    サソリ。ケニアにて。 夜間、地面のいたる所に出現する。小型で可愛らしいのだが、こういう砂漠にいるハサミが細っこくて尾が太い種は、軒並み致死的な猛毒を持つので迂闊に手を出せない。 蛇でもクモでもサソリでも、砂漠にいる奴は体サイズに関わらず、すべて人間にとって生命に関わる猛毒があると思っていい。生物の少ない過酷な環境にいる毒モノは、滅多に獲物を捕らえる機会がない。出会った獲物は確実に殺してわねば、生きて行かれない。だから、理不尽なまでに猛毒を持ったものしか生き残っていない。 自分以外の生命がこの世に生きることを根底から許さず否定するような、その生きざまに惹かれる。

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    agrisearch 2017/11/17
    「蛇でもクモでもサソリでも、砂漠にいる奴は体サイズに関わらず、すべて人間にとって生命に関わる猛毒があると思っていい」
  • Ⅲ月紀・四六

    奄美、湯湾岳の麓で行われていた、大規模な採石工事。自然保護区になっている山のエリアのほんのすぐ真下で、これだけ大規模な森林破壊が行われている。半年前にも同じ場所に来ているが、その時に比べて大幅に伐採エリアが広がっていた。 この島の住人の多くは、開発業を生業としているそうだ。島という立地上、産業も限られる。雇用を生み出すため、森を切り開いて林道やダムを作る方向に走るのは必然であろう。生活のためにやらざるを得ないのだから、余所者がそれに対してどうこう言うのは筋が違う。 理屈としては分かっている。しかし他方、近年奄美大島では条例により、昆虫を含む小動物の採集者を締め出す動きが急速に進んでいる。自然を守れ、虫を捕るなと追い出された後、その虫の住む森が根こそぎズタズタにされ、重機でならされていく様を、追い出された側はどう思いながら見ていろというのだろうか。 ここに限った話でなく、最近こういうのが各地

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    agrisearch 2016/01/15
    「(環境省は)採集行為が、開発に次ぎ生き物を絶滅に追いやる第二の要因だとして大々的に報じている…ならばなぜ「開発は生き物を絶滅に追いやる第一の要因なのでやめよう」ポスターは作らないんだろうか」
  • Ⅲ月紀・四六

    サスライアリが攻め込んでくると、それまで地面の倒木や落ち葉下に隠れていた全ての生物が慌てて地上へ這い出して逃げ出し、辺りは阿鼻叫喚の様相を呈する。アリは逃げ遅れた生き物に片っ端から噛みついて取り押さえる。動けなくなったところに後続のアリがどんどん取り付いて獲物の肉体を切り裂き、引きちぎる。ケラが襲われているが、もはや外からは何が襲われているのか分からない。この程度の獲物なら、ほんの数分で原型がなくなる。 脊椎動物も、容赦なく殺す。レインボーアガマが八つ裂きにされた。切断された手足が運ばれていく。アリを比較的好んでべるトカゲだが、そのアリに億単位で攻め込まれたらなすすべがない。撮影者も容赦なく襲われる。しかし、この絨毯爆撃下でしか出現しない好蟻性生物がいるので、特攻するしかない。 肉だけでなく、油分を含む植物質も好む。腐って落ちたアボカドの実に集まる。こうして2-3時間の殺戮ののち、アリは

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    agrisearch 2015/11/18
    アフリカのサスライアリ、「撮影者も容赦なく襲われる。しかし、この絨毯爆撃下でしか出現しない好蟻性生物がいるので、特攻するしかない」。。
  • 悪魔のエキス

    奇怪なダンゴムシ。カメルーンにて。 ウィンクラーこじきの産物。土壌中に決して稀ではなかった。東南アジアでは、これに姿形の似た全身青白い種がいて、例外なくアリの巣内のゴミため部屋から得られる。今回のこいつらがそうした生態を持つかは分からない。 初代ファミコン版レッドアリーマーⅡに、これに似たダゴンという怪物が出てくるため、この手のゴツゴツしたダンゴムシはダゴンムシと呼んでいる。 ダゴンの鱗と、イマウスの山にあるアケロンの水を研究所のあいつに渡すと、秘密のアイテムを調合してくれる。魔界村シリーズを嗜んだ者にだけ通じるネタ。

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    agrisearch 2015/10/22
    「この手のゴツゴツしたダンゴムシはダゴンムシと呼んでいる」。。
  • Ⅲ月紀・四六

    エゾアカヤマアリFormica yessensisが護るミヤママルツノゼミGargara rhodendrona幼虫。長野にて。 北方系のツノのないツノゼミ。詳しい資料がないが、恐らく日では州中部以北に分布する。ハギ類に特異的に付き、集合性がとても強い。幼虫期を中心に必ずアリをまとう。北海道では割とどんなアリでも随伴するが、州では原則としてエゾアカヤマアリだけがパートナーとなる。例外を未だ見ない。ハギとエゾアカの大規模な巣が近接して存在する条件下でのみ、この虫は生息可能。 乗鞍方面のある道路沿いの法面に、ヤマハギが密生して生えている区画がわずかにある。そこには同所的にエゾアカがコロニーを構えていて、かつてはものすごい数のミヤママルツノがいた。その様は、「アリの巣の生きもの図鑑」にも掲載されている。 ところが、「アリの巣・・図鑑」の掲載写真を撮影した翌年、この道路法面で市の役人の命によ

    Ⅲ月紀・四六
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    agrisearch 2015/09/09
    ヤマハギに付くミヤママルツノゼミの小さな全滅、「草刈り作業はやり方ややる時期によっては、そこに生息する数多の生物にとって多大な益にも害にもなりうる。」
  • 出版のお知らせ Ⅲ月紀・修羅

    近日中に、を出版することになりました。タイトルは 「裏山の奇人 野にたゆたう博物学」となります。 【書 名】フィールドの生物学14 裏山の奇人 野にたゆたう博物学 【著 者】小松 貴(九州大学熱帯農学研究センター) 【体 裁】B6判 288頁 並製 【定 価】2160円(税込) 【著者割引】1728円(税込) ・尚、送料は400円 (5冊以上は送料小会負担です) 【発 行】東海大学出版部 http://www.press.tokai.ac.jp 【発売日】2013年7月30日・発送は7月30日以降になります 【ISBN】ISBN978-4-486-01994-7 書は、自身の専門である「アリの巣に共生する昆虫」に関して、これまで手がけた研究内容を解説したものです。しかしそれ以上に、長年住み着いた長野の山奥を舞台に、私が出会ったさまざまな生き物たちとの交流の話に大部分のページを割いていま

    出版のお知らせ Ⅲ月紀・修羅
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    agrisearch 2014/07/09
    「フィールドの生物学14 裏山の奇人 野にたゆたう博物学」、小松貴氏の単著、ついに!「アリの巣に共生する昆虫」に関して解説とのこと。
  • ゾンターク邪鬼王

    九州の洞窟で見た、とても恐ろしい姿の生物。目はない。今年に入って、この類を見るのはこれで3種類目。 口元の小ハサミが、何となくこいつとかこいつに比べて長いような気がするが、気のせいかも知れない。メクラチビゴミムシと同じで、これも地下水脈にそって国内各地で種が分かれているのだと思う。 乾燥した洞窟には絶対に生息せず、かといって地面がビチャビチャすぎる所もあまりよくない。しっとり湿った粘土の地面に、浅くはまった石があれば、それを起こすとたいてい見つかるように思う。

    ゾンターク邪鬼王
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    agrisearch 2014/04/15
    カニムシ、「九州の洞窟で見た、とても恐ろしい姿の生物。目はない。」
  • Ⅲ月紀・四六

    論文を一通した。裏山に住む幻の蜉蝣、ケカゲロウを卵から成虫まで育て上げることに成功した。先日、オープンになった論文。 Komatsu T (2014) Larvae of the Japanese termitophilous predator Isoscelipteron okamotonis (Neuroptera, Berothidae) use their mandibles and silk web to prey on termites. Insectes Sociaux 61:203-205 脈翅目昆虫であるケカゲロウIsoscelipteron okamotonisはケカゲロウ科Berothidae唯一の邦産種で、これまで成虫が夏に灯火にたまに来る以外の生態が何一つ分かっていない謎の羽虫だった。ところが、一昨年の夜に偶然裏山でこの謎の羽虫が樹幹で産卵しているのを見た。それ

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    agrisearch 2014/04/15
    「日本のケカゲロウもやはりシロアリを食った」
  • 裏山で毛虫が油虫のケツを舐めてるのを見た Ⅲ月紀

    、論文を通した。日の里山に分布するただの蛾の一種フタホシキコケガNudina artaxidiaが、実は好蟻性であることを突き止めた。オープンアクセスジャーナルなので、誰でも見られる。 Komatsu T, Itino T (2014)Moth caterpillar solicits for homopteran honeydew. Scientific Reports 4: Article number: 3922 doi:10.1038/srep03922 フタホシキコケガは日全国に広く分布する小型ヒトリガの一種だが、どこでもあまり多く得られず、生態がよく分かっていなかった。ところが、俺は10年ちょっと前から近所の裏山で、沢山生息しているクサアリ亜属の巣周辺に奇妙な毛虫が常にいるのがずっと気になっていて、それがこの蛾の幼虫であることが昨年ようやく分かったのだ。 毛虫は黄色と黒

    裏山で毛虫が油虫のケツを舐めてるのを見た Ⅲ月紀
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    agrisearch 2014/01/30
    「フタホシキコケガNudina artaxidiaが、実は好蟻性であることを突き止めた。」「アリが見ている目の前でカイガラムシから甘露を盗み取っていたのだ。」
  • Ⅲ月紀・四六

    海に住むハエときて、数年前に別な場所で変わり種を撮影していたのを思い出した。当時使っていた低画素オモチャデジカメの、ガチャガチャな画質ではあるが、ほとんど生態写真がネット上に存在しないものなので、出しておくことは一定の意義があると思う。 東北地方のどこかで見つけたフジツボベッコウバエ。北海道で見つかっている種類Oedoparena minorと同種であろう。北方の岩礁地帯に住むこのハエの仲間は、驚くべき事にフジツボの寄生蝿として知られている。 春先に成虫が羽化し、フジツボに産卵するらしい。孵ったウジはフジツボの中身をい尽くし、フジツボの死殻内で一度休眠後覚醒して蛹化するようである。潮間帯のフジツボに寄生するから、満潮時には海底に水没することになるが、ハエの幼虫は特に問題にしない。 フジツボベッコウバエは、日でははじめ北海道から発見され、記載された(Suwa 1981)。その後日のどこ

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    agrisearch 2014/01/29
    「フジツボベッコウバエ」「春先に成虫が羽化し、フジツボに産卵するらしい。孵ったウジはフジツボの中身を食い尽くし、フジツボの死殻内で一度休眠後覚醒して蛹化するようである。」
  • 源頼朝の落馬は昨日の夕飯の蟹の祟り

    マレーシア、クアラルンプール市内の大学。都市部ながら、未だに密林がパッチ状に残っており、意外なほど多くの生物が生息している。俺は数週間の現地滞在中、大半を山間部で過ごす。そして帰国する前日・当日にこの大学内の森でサンプリングするのがいつものパターン。 しかし、ここの森には信じられないほど大量の蚊が生息しており、油断できない。山間部よりも遙かに多く、森に入った途端に竜巻のような蚊の群れに取り巻かれる。クアラルンプールのように、元々森林だったところを急に開発してできた熱帯の都市は、概して蚊が異常発生しやすい。 この森での最大の敵、シマカ属Aedes sp.。デング熱を媒介する仲間で、疲労時に多数個体に刺されすぎると発症する。数年前、ここでアリの採集にかまけて刺されすぎ、そのまま帰国して二日目に発症した。日田舎、しかも輸入感染症に無知な病院にかかったせいで適切な処置が遅れ、まもなく劇症型のデ

    源頼朝の落馬は昨日の夕飯の蟹の祟り
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    agrisearch 2012/07/30
    「素人が蚊の同定をしてはならない。なぜなら蚊には肉眼で識別困難にも関わらず伝染病媒介能が全く異なる同胞種が多く存在し、それらの正確な分布情報は、その地域の公衆衛生を管理する上で極めて重要な情報となる」
  • Ⅲ月紀・四六

    マシラグモ一種。茨城にて。 森の中で倒木を裏返したらいた。来、湿った土壌中においてこの仲間のクモはこうして当たり前に見つかる、ごくありふれたものである。 洞窟内においても、この仲間はまず見かけないということが考えにくい生物だ。どれほど他の地下性生物相が貧弱でも、トビムシとこいつだけは必ず見つかるし、そうでなければならない。それだけに先日の某洞窟に入った際、広大な洞内を3時間近くかけて隅々を舐めるように探したにも関わらず、この仲間のクモ(しかもそこをタイプ産地とする種)がただの一匹すら発見できなかったのは、地味にトラウマになっている。

    Ⅲ月紀・四六
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    agrisearch 2012/06/28
    好蟻性生物写真家、「ツノゼミ ありえない虫」著者
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