食品衛生法の改正で、漬物の製造が届け出制から営業許可の対象に変わり、衛生基準を満たす施設が必要になった。改正法は2021年6月の施行で、猶予期間は今年5月末で終わる。日本一の梅産地である和歌山県紀南地方では、梅干しづくりをやめると決めたり、続けるか悩んだりしている農家もいる。 「年齢も年齢だし、ちょうどいい機会だから」。田辺市内の70代男性は法改正を受けて、妻と続けてきた梅干しづくりをやめると昨年春に決めた。 しそ梅を自宅近くの倉庫で手作りして産直店へ出すようになって約20年。客から「ようやく探していた梅干しを見つけた」という声をもらったこともある。ただ、設備投資には費用がかかる。「若かったら続けるんだろうけど」。倉庫に残る分を出し切れば、梅干しづくりを終える。 ■産直店にも影響か 梅干しなど手作りの漬物が並ぶ産直店にも、影響が及ぶ可能性はある。 田辺市上秋津の産直店「きてら」を運営する農