カシオ計算機 時計事業部 モジュール開発部の牛山和人氏はそう語る。PRO TREKブランドが産声を上げたのは1995年のこと。ちなみにこれは、牛山氏の入社時期と重なる。 当時からカシオの時計事業部には、「現場で使われるものは現場を経験して開発するべき」というフィールドワークの考え方があった。しかし、登山となると専門家の領域。いくらアウトドアウオッチの開発者といえど、「じゃあ実際にやってみようか」と、気軽に決断はできなかった。 その代わり、登山経験を持つアドバイザーの意見を聞いて開発を行っていたのだ。そんな中で牛山氏は、当時NHK教育テレビ番組「中高年のための登山学」の講師を務めていた岩崎元郎氏と出会う。 牛山氏「岩崎さんが、山道具としての時計には、次の3つの要素が必要だとおっしゃったんです。(1)操作が簡単なこと、(2)文字が大きいこと、(3)表示が分かりやすいこと。 この3つの要素は、P