時折、琥珀の中に閉じ込められたいろいろな生物が話題になります。そして先日、骨格ばかりでなく皮膚や羽まで、ほぼそのままの姿を残した恐竜時代の鳥のヒナを納めた琥珀を紹介するレポートが学術雑誌に掲載されました。 とても1億年前の生き物とは思えない化石標本の発見は何を伝えたのか。古生物学者の池尻武仁博士(米国アラバマ自然史博物館客員研究員・アラバマ大地質科学部講師)が報告します。 以前ミャンマーの山中にある白亜紀前期の化石発掘現場から琥珀(=化石化した樹液のかたまり)の中に閉じ込められた羽毛の化石を紹介した(「白亜紀からのタイム・カプセル 琥珀の中に閉じこめられた恐竜の羽の発見」)。 見事に保存されたおそらく小型の獣脚恐竜のものと考えられる、琥珀内に完全に保存された羽毛化石。約1億年前のものとはとても思えない、見事な保存状態。こうした奇跡的な化石記録の不思議さに魅了された私は、「タイム・カプセル」