タグ

ブックマーク / www.newsweekjapan.jp/fujisaki (45)

  • 小西議員の言う通り、参議院の憲法審査会は毎週開く価値がない

    <「サルがやること」という言い方に問題はあったとしても、毎週開くことの妥当性は実際の議論の内容から改めて検証されるべきだ> 立憲民主党の小西裕之参議院議員が、憲法審査会の毎週開催は「サルがやること」と述べたことで波紋を呼んでいる。言葉の妥当性に関心が向くばかりで、肝心の参議院の憲法審査会の毎週開催についてはほとんど議論がなされていない。そこで筆者は、参議院の憲法審査会に関して、昨年行われた第208回国会~第210国会までの議事録を全て読んでみた。結論としては、参議院の憲法審査会は毎週開催する必要がない、全く内容がない会議だった。 憲法審査会の議論 憲法審査会は、「(1)日国憲法及び日国憲法に密接に関連する基法制についての広範かつ総合的な調査、(2)憲法改正原案、日国憲法に係る改正の発議又は国民投票に関する法律案等の審査を行う機関」と位置づけられている。しかし、議事録からみられるのは

    小西議員の言う通り、参議院の憲法審査会は毎週開く価値がない
  • 女性支援団体Colaboの会計に不正はなし

    無防備に街に出てきてしまった少女を救う活動がバッシング対象に(写真はイメージです) MADSOLAR-shutterstock <女性支援団体Colaboに対するバッシングやハラスメントは社会が止めなくてはならない> 昨年末から、女性支援団体Colaboへの悪意ある攻撃が続いている。Colaboは主に性暴力やDV等で悩みを抱えているティーンエイジャーの女性たちに対して、「相談事提供、シェルターでの宿泊支援、シェアハウスの運営、10代の女性たちによる活動、講演・啓発活動」などを行っているが、そのColaboが「公金」を不正に着服している「貧困ビジネス」であるなどといった根拠のないデマを公然と流され、アウトリーチ活動も妨害されているのだ。 東京都の監査結果によれば、Colaboが公金を着服しているという主張は退けられた。しかし、Colaboの会計に不正があると考えている人は未だに多く、マス

    女性支援団体Colaboの会計に不正はなし
  • NYタイムズも過激と評した「集団自決」論を説き続ける成田氏は何がしたいのか

    <子どもたちにまで「老人が自動的にいなくなるシステム」が必要だと思わせる非道> 先月のコラムで、イエール大学アシスタントプロフェッサーである成田悠輔の「集団自決」発言の問題性について取り扱った。今月12日に『ニューヨーク・タイムズ』が同発言を記事にしたことによって、この発言は再び注目されるようになった。同記事では成田氏は自分の発言は世代交代を表すメタファーだったと弁明している。彼とともにYouTubeチャンネル「日経テレ東大学」の番組『Re:Hack』でパーソナリティをつとめているひろゆき氏もTwitterで、記事では成田氏のメタファーが恣意的に切り取られていると擁護している。彼のように、『ニューヨーク・タイムズ』の記事が出て以降も成田氏を擁護するメディア関係者やファンは多い。 しかし先月のコラムでも指摘したように、「集団自決」発言はそれ自体が扇動的なメッセージとなりうるのであり、メタファ

    NYタイムズも過激と評した「集団自決」論を説き続ける成田氏は何がしたいのか
  • 岸田政権の少子化対策はいまだに「家族主義」を引きずったまま

    <所得制限の撤廃で「異次元」を装うが、仔細を見れば、「子育ての社会化」を嫌い責任を家族に押し付ける体質は変わっていない> 少子化対策を進める岸田政権が、児童手当の所得制限を撤廃し、対象年齢も18歳へと拡充しようとしている。これは民主党政権の政策だった「子ども手当て」のコンセプトに立ち戻るものだが、当時の自民党はこの政策を口汚く罵り、参議院で多数派を形成していたことを背景として民主党に所得制限等を呑ませたという経緯がある。 岸田首相は「反省すべきところは反省し」と述べているが、自民党は徹底的な反省を行わなければならない。そうでなければ、子育て政策を自民党に任せることはできない。 「スターリンの」子ども手当て 日の少子高齢化は人口動態をみれば容易に予測可能であり、古くから問題が指摘され続けてきた。政治の対応は1989年に合計特殊出生率が1.57を切った時でさえ鈍かったが、90年代後半から自治

    岸田政権の少子化対策はいまだに「家族主義」を引きずったまま
  • 「高齢者は集団自決」で爆笑するな

    <日人と日のメディアは、憎悪扇動がどんな恐ろしい効果をもたらすか、理解しているのか> 2023年1月11日ごろから、イェール大学アシスタント・プロフェッサーの成田悠輔氏が高齢化社会の解決のため「高齢者は集団自決すれば良い」という発言をしていたことが動画等で拡散され、SNS等で議論になっている。主に拡散されているのは2021年12月の『ABEMA Prime』の動画だが、その他YouTube番組や講演会でも複数回にわたって同様の発言をしていたことが分かっている。 「メタファー」では済まされない 「集団自決」という言葉を使ってはいるが、とりあえず多くの場合、成田氏は「世代交代」の文脈で、この言葉を過激な「メタファー」として用いている。一方、「自決」という言葉のイメージ通り社会福祉カットの文脈でも彼はこの言葉を用いることもあり、その境界は未分化だ。何年にもわたって高齢者の「集団自決」あるいは

    「高齢者は集団自決」で爆笑するな
  • 『鎌倉殿の13人』は「法の支配」への壮大な前振り

    <権力闘争の犠牲となる13人を描いたこの物語のなかで、源義経や和田義盛らにはいったん悲劇を回避しうる可能性が示されるが、結局歴史は改変されることなく身を滅ぼしていく。脚の三谷幸喜がそこに込めた警告とは> 2022年のNHK大河ドラマ『鎌倉殿の13人』が12月18日をもって大団円を迎えた北条義時を主人公とし、大河ドラマではマイナーな時代といえる鎌倉時代が舞台ということもあって視聴率はそこまで振るわなかったが、最新の歴史研究を踏まえつつ大胆な解釈を加える三谷幸喜脚の完成度の高さもあって、熱狂的なファン層を生み出した。 義時、時政、実衣......「業」の連鎖 この大河はある意味では異色の作品といえる。なぜなら、主人公が悪人として死んでいくからだ。物語当初は生真面目な好青年だった北条義時は、鎌倉幕府勃興期の権力闘争を経験する中で次第に変貌していき、政敵をあらゆる手段で滅ぼしていく冷酷な権力者

    『鎌倉殿の13人』は「法の支配」への壮大な前振り
  • ミサイルが飛んできても「反撃しない」ことこそが日本の抑止力だ

    「日を守るために防衛力を強化する」と力説した岸田文雄首相(12月16日、首相官邸) David Mareuil/REUTERS <日ウクライナ以上に単独で戦争を遂行する力がない国だ。反撃という名の予防攻撃や越境攻撃をしてしまえば、ウクライナのような世界世論の支持さえ得られなくなる> 既に防衛予算の大幅増を決めている自民党と公明党は12月2日、日の領域の外にある他国の基地などを自衛目的で攻撃することを可能にする「敵基地攻撃能力(反撃能力)の保有」について合意した。この決定は、専守防衛に徹するこれまでの安全保障政策を大きく転換するものであり、日国憲法を反故にして、日が積極的に戦争を行う国家となる道を開くことになるかもしれない。 「反撃能力」とは先制攻撃能力のこと 「反撃能力」という言葉を聞くと、日が攻撃されたのちに反撃する対象に他国の基地も含めるかどうかという問題だと思ってしまう

    ミサイルが飛んできても「反撃しない」ことこそが日本の抑止力だ
  • 「ツイッター終了」の未来

    社員の大量解雇・流出、企業の広告引き揚げで危機のツイッター社 Carlos Barria-REUTERS <イーロン・マスクによる買収以降、大混乱に陥ったツイッター。一部の噂通りもしなくなったら、我々のメディア環境は劇的に変わる> 10月末、アメリカの実業家であるイーロン・マスクTwitter 社の買収を完了したことに伴う大量解雇及び大量退職で、Twitter 社に混乱が起きている。関係者によれば、遠くはない将来にTwitter がなくなる可能性も出てきているという。しかしTwitterは既に、我々のメディア受容の中であるのが当然のものとして認識されている。我々はTwitter なき未来を想像できるのだろうか。 大量解雇退職に伴う「Twitter 終了」の可能性 11月18日、日Twitterでは「Twitter 終了」というキーワードがトレンドに上がった。もちろん実際にTwit

    「ツイッター終了」の未来
  • 『仮面ライダー BLACK SUN』──「非暴力という欺瞞」を暴く問題作

    『仮面ライダー BLACK SUN』の仮面ライダーSHADOWMOON(左)、BLACK SUN(右) (C)石森プロ・東映 (C)「仮面ライダーBLACK SUN」PROJECT(マグミクス) <怪人たちは差別と闘うために物理的な暴力を選択する。レイシストには一片の優しさもないこの作品が問いかけるもの> *ネタバレを含みます 1989年の特撮番組『仮面ライダー BLACK』のリメイクドラマ『仮面ライダー BLACK SUN』が「Amazon Prime」で配信されている。前作はいわゆる「子供向け」のヒーロー番組だったが、作は逆にテーマ設定やグロテスクな表現も含め、全くの大人向け作品として仕上げられている。 虐げられた者たちの反乱 筆者は旧作『仮面ライダー BLACK』の直撃世代だ。次作の『仮面ライダー BLACK RX』も含め、ちょうど仮面ライダーが現在のように1年ごとのTVシリーズと

    『仮面ライダー BLACK SUN』──「非暴力という欺瞞」を暴く問題作
  • 悪意を撒き散らすひろゆき発言への危機感

    ひろゆき発言は、沖縄の基地反対運動も「座り込みか否か」の問題に矮小化した Issei Kato-REUTERS <世の中には、マイノリティからの告発や、人権問題は社会全体の責任で解決すべきであるという「正論」から自由になりたい者が存在する> 10月17日、ネット掲示板2ちゃんねる(現在は5ちゃんねる)」創設者で、実業家かつコメンテーターのひろゆきが、日の医療費が逼迫していることを理由に「『寝たきり老人の胃ろうに保険適用しません。飯がえない老人は自費で生き残るか諦めてください』と言える政治家が必要になります。」とTwitterで述べ、物議を醸した。ひろゆき氏は近年、若年層にも人気があるというが、このような反人権的な発言が「正論」として世の中に受け入れられていく状況には危機感を持っている。 胃ろうの是非は経済問題ではない 口で事をすることが難しくなってしまった人に、胃に管を通して栄養

    悪意を撒き散らすひろゆき発言への危機感
  • 高市大臣の「8割大陸」発言、曖昧決着は許されない

    <「国葬反対のSNS発信の8割が隣の大陸からだった」とツイートし、高市氏の講演で聞いたと述べた三重県議は発言を撤回、当の高市氏も曖昧な否定で収めようとしているようだが、その真意はフェイクニュースによる世論操作だったかもしれず見逃せない> 10月2日、三重県議で自民党に所属している小林貴虎議員が、自身のTwitterに「国葬反対のSNS発信の8割が隣の大陸からだったという分析が(政府の調査で)出ているという」と投稿し、その根拠は高市早苗経済安全保障担当大臣の発言だと述べたことで、大きな衝撃が走った。高市大臣はその発言はしていないと述べるが、他に聞いた人物の証言もあり、疑惑は全く解消されていない。 「国葬反対のSNS発信の8割が隣の大陸からだったという分析が出ているという」という、荒唐無稽な陰謀論かつ排外主義を扇動する発言が現職大臣の口から出たとすれば大きな問題だ。 小林貴虎議員のツイートによ

    高市大臣の「8割大陸」発言、曖昧決着は許されない
  • 麻生発言のように「戦争になる」ことから逆算する「手口」

    <「国民には敵が攻めてくると言い、平和主義者のことは非国民と非難すれば、指導者の思い通りに動かすことができる」と、ゲーリングは言った> 8月31日、麻生太郎自民党副総裁は、横浜で開かれた「外交・安全保障」をテーマとした麻生派の研修会で講演し、「沖縄、与那国島にしても与論島にしても台湾でドンパチが始まることになれば戦闘区域外とは言い切れないほどの状況になり、戦争が起きる可能性は十分に考えられる」と、日国内で戦争が起きる可能性について述べた。ウクライナ戦争以後、日では戦争の可能性を煽ることで軍拡を進めようとする言説が優勢になりつつある。 沖縄知事選を睨んだ発言 麻生氏の発言の背景には、おそらく9月11日に投開票を控えた沖縄知事選での与党候補苦戦があるのだろう。各種世論調査では現職の玉城デニー候補が優勢であり、自民党が推す佐喜真淳候補は苦戦しているという。保守系候補の分裂に加え、旧統一協会問

    麻生発言のように「戦争になる」ことから逆算する「手口」
  • 岸田政権は潔く国葬を撤回せよ

    岸田首相も、国葬の判断を早まったと感じているかもしれない  Eugene Hoshiko/REUTERS <さまざまな計算違いでここまで大ごとになってしまった国葬問題で試されているのは、岸田首相の「撤退力」だ> 7月8日に銃撃事件で亡くなった安倍晋三元首相の「国葬儀」が9月27日に行われる予定だ。しかし法的根拠の曖昧さや旧統一協会問題への関心への高まりにより、世論調査では国葬に反対する声が多数派となった。当初目論まれていた海外の大物政治家の弔問もほとんどない。反対する声を押し切って国葬を強行する意味はあるのだろうか。招待状の発送など国葬の既成事実化が進んでいるが、今からでも止めたほうが岸田政権のためでもあるのではないか。 銃撃当初のムードが一変 筆者は7月に「安倍元首相の国葬に反対する」という記事を出した。安倍晋三元首相の功績には論争の余地があり他の首相経験者に対して特別扱いする根拠はない

    岸田政権は潔く国葬を撤回せよ
  • 「目の前の試合をやることしかできない」?──アスリートも例外ではない「現場プロフェッショナルロマン主義」の罪

    コロナ下の五輪開催について「選手が何を言おうと世界は変わらない」と内村は語ったが(写真は、リオ五輪で体操の個人総合で優勝したとき) Alessandro Bianchi-REUTERS <コロナ感染爆発のただ中で、感染対策もザルだらけのまま、オリンピックを開催することになったのは選手の責任でもある> 7月6日、体操の内村航平選手が、オリンピック壮行会に出席し、オリンピック開催の是非を問われ、「一つひとつの目の前の試合をやることしか僕にはできることがない」「選手が何を言おうか世界は変わらない。選手はそれぞれができることを一人ひとりがやり、感動を届けることしかできないのかなと思いますね」と述べた。 5月に書いた記事の通り、オリンピック開催をめぐる利害は、もはや実存的な政治対立に帰着している。しかも首都圏での感染者数の急増、穴だらけだということが分かった「バブル方式」のコロナ対策、そしてワクチン

    「目の前の試合をやることしかできない」?──アスリートも例外ではない「現場プロフェッショナルロマン主義」の罪
  • 安倍元首相の死は民主主義の危機か

    当の「民主主義」の危機は、安倍元首相が撃たれる前から始まっていた> 7月8日、安倍晋三元首相が奈良県での選挙遊説中に銃で撃たれ死亡した。事件が起きた当初は政治事件だと直感的に考えられており、「民主主義を守れ」「言論を暴力で封じるべきではない」といった内容のスローガンが政治的党派を超えて主張されていた。 しかし事件の背景が徐々に明らかになるにつれて、この殺害事件は安倍元首相が関係していた新宗教の分派問題に由来する可能性が高まってきた。そうだとするならば、これは民主主義と暴力という一般論では語り尽くせないテーマだ。「民主主義を守る」とは、一体どのようなことなのだろうか。 動機は政治的信条とは無関係 殺害実行犯の供述に関する第一報では、彼は「政治信条に対する恨みではない」と述べ、狙ったのは、「(特定の)宗教団体のメンバー」であったが「難しいと思い、安倍元総理を狙った」ということだった。安倍

    安倍元首相の死は民主主義の危機か
  • ドイツ大統領の訪問を拒絶したウクライナの恨み

    ウクライナにとってシュタインマイアー大統領は、かつてプーチンを信用してパイプライン計画などを推進したドイツの壊滅的親ロ政策の象徴だ> 4月12日、ドイツのシュタインマイアー大統領がポーランド及びバルト三国の大統領とともにウクライナの首都キーウを訪問しようとしたところ、シュタインマイアーのみウクライナ側に訪問を拒否されていたことが報じられ、ドイツ国内外で話題となっている。 4月上旬にキーウ方面のロシア軍が撤退したのち、ボリス・ジョンソン英首相などの欧州首脳が相次いでキーウを訪問しており、ドイツ大統領に対する訪問拒否は極めて異例だ。いったいどのような背景があるのか。 ドイツの「親ロシア」政策の旗振り役 シュタインマイアーは2017年に大統領に就任した。ドイツの大統領は政治的な実権をほとんど持たず、一種の名誉職なので、彼の政治キャリアでは、SPD(ドイツ社会民主党)の指導者の一人としてメルケル

    ドイツ大統領の訪問を拒絶したウクライナの恨み
  • ウルトラマンがウクライナ侵攻の時代に甦ることになった意味

    <3.11を踏まえて原作を震災ナショナリズムの物語に書き換えた『シン・ゴジラ』と違い、『シン・ウルトラマン』はあくまで原作の哲学を踏襲し、さらにコロナで公開が延期になるという偶然が重なって、啓示的な作品になった> 2022年5月13日、SF特撮映画シン・ウルトラマン』(企画・脚:庵野秀明、監督、樋口真嗣)が公開された。2015年公開の映画『シン・ゴジラ』のスタッフがつくる『シン・〇〇』シリーズの第二弾ということで期待が集まり、観客動員数は8日間で100万人を超えた。映画の内容については賛否両論がある。ウルトラシリーズのファンからは概ね高い評価を得ているが、「シナリオがダイジェスト的である」「演出面におけるジェンダー描写が古い」といった声も耳にしつつ、筆者も遅ればせながら鑑賞してきた。 ジェンダー問題について まず公開当初から大きな議論となっていた、演出やカメラアングルがヒロインの長澤ま

    ウルトラマンがウクライナ侵攻の時代に甦ることになった意味
  • 「資産所得倍増」を打ち出した岸田首相「新しい資本主義」の欺瞞

    <5月初旬に訪英した岸田首相は、ロンドンの金融街で「貯蓄から投資」への移行を約束した。自民党総裁選で強調した「成長と分配の好循環」はどこへ行ったのか> 5月5日、岸田首相は外遊先のロンドンで、自身が訴える政治方針である「新しい資主義」について、貯蓄から投資への移行を促すことだと述べ、日の個人金融資産2000兆円を利用し、「資産所得倍増を実現する」と表明した。しかしこの説明は、昨年の総裁選で訴えていた「成長と分配の好循環」という説明と大きく矛盾している。 菅前政権は、社会政策について、「公助」「共助」「自助」のうち「自助」を重視していた。2019年には、老後資金として一人当たり2000万の貯蓄が必要だと国が考えていることが明らかになっている。。これに対して岸田首相は総裁選で分配の重要性を訴え、金融所得課税の強化にすら言及していた。 筆者は昨年10月の記事で、岸田政権は結局「古い自民党」に

    「資産所得倍増」を打ち出した岸田首相「新しい資本主義」の欺瞞
  • アイヌ文化をカッコよく描いた人気漫画「ゴールデンカムイ」の功罪|ニューズウィーク日本版 オフィシャルサイト

    <北の大地で繰り広げられる壮大なアドベンチャーを通じて「アイヌ文化への関心を高めた」と政府も評価する漫画や回顧展に潜むプロパガンダ> 『週刊ヤングジャンプ』で連載されていた野田サトルの人気漫画ゴールデンカムイ」が4月28日に完結した。漫画の完結に先駆けて、実写映画化が発表され、また雑誌発売直後から6月末まで、「ゴールデンカムイ展」が東京ドームシティで開かれている。 漫画の舞台は日露戦争後の日。アイヌが隠したという金塊を求めて、元日軍人の青年とアイヌの少女が様々なキャラクターと協力あるいは敵対しながら、北海道やサハリンを旅するというもの。登場する個性豊かなキャラクターの人間ドラマや、作中で紹介されるアイヌの文化なども人気となり、ベストセラー作品となった。 しかしSNSでは『ゴールデンカムイ』の実写化や展覧会などのイベントや漫画の最終回に対して、アイヌの歴史についての無理解さが露呈して

    アイヌ文化をカッコよく描いた人気漫画「ゴールデンカムイ」の功罪|ニューズウィーク日本版 オフィシャルサイト
  • ヒトラーにたとえるのは「国際的にご法度」か|ニューズウィーク日本版 オフィシャルサイト

    国際ホロコーストデー(1月27日)に、ベルリンのホロコースト記念碑に献花するイスラエルとドイツの政府首脳。世界でナチスがどのように語られてきたのか、日人も知るべきだ REUTERS-John Macdougall <菅元首相が橋下元維新の会代表の「弁舌の巧みさ」をヒトラーになぞらえたことに対し、橋下は「国際的にご法度」と反発。世間からははとくに異議も出ず、元首相の失言であるかのように事態は収束したが、それでいいのか> 1月21日、立憲民主党の菅直人元首相が、Twitterで元維新の会代表の橋下徹弁護士を「弁舌の巧みさでは......ヒットラーを思い起こす」と評した。これに対して橋下徹氏は「ヒトラーへ重ね合わす批判は国際的にはご法度」と述べ、また吉村洋文大阪府知事は「国際法上ありえない」と反発した。維新の会は、26日、立憲民主党に抗議文を送っている。 ヒトラーにたとえて批判することが「国際

    ヒトラーにたとえるのは「国際的にご法度」か|ニューズウィーク日本版 オフィシャルサイト