世界は熱くなっているというのに、イギリスは冷えている──保守党の党色である青に塗られたイギリスの地図を見てそう思わずにいられなかった。総選挙ショックから1週間後、ボリス・ジョンソン英首相は議会演説で自身の率いる政権を「イギリスの新たな黄金時代の始まり」とブチ上げた。 この選挙の保守党の主要スローガンは「Get Brexit done(ブレクジットを済ませよう/片をつけよう)」。その通り、保守党が圧倒的な過半数を占める新議会はイギリスが後戻りするルートを早々と断ち切った。泣いても笑っても2020年1月31日午後11時にブレクジットが起きる。2016年の国民投票から3年半以上、離脱賛成派は求めてきたものをやっと手に入れる。 クリスマス休暇や師走のあれこれに紛れ、複雑な交渉/外交のディテールはしばし厚いカーテンの向こうに追いやられている──「ブレクジットはややこしいから、もう国民の皆さんをわずら