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ブックマーク / honz.jp (262)

  • 『エロ本黄金時代』Wikipediaではわからない歴史がある - HONZ

    表紙とタイトルから想像できないが、文体も内容も驚くほど硬派だ。エロを論じているのに全くエロくない。確かに小中学校のPTA会長のお母様が白目をむくような内容も含まれるが、XVIDEOSで毎日が絢爛豪華のエロのフルコース状態の21世紀の男女には時代を切り取った、ひとつの産業ノンフィクションとして楽しめるはずだ。 エロが存亡の危機に立たされて久しい。書を読んで驚いたが、『べっぴん』、『すっぴん』、『デラべっぴん』、『ビデオボーイ』の英知出版の四誌合計で毎月100万部以上発行していた。『投稿写真』は30万部、『ザ・ベストマガジン』はピーク時には100万部に迫ったとも言われる。出版不況とはいえ、かつて僕らを猿にさせたエロは部数減に歯止めがかからず、いずれも廃刊に追いこまれている。 90年代中頃には、書の言葉を借りれば「パソコンのモニターを見ながらオナニーできるわけがない」と業界関係者は楽観

    『エロ本黄金時代』Wikipediaではわからない歴史がある - HONZ
    akihiko810
    akihiko810 2017/09/10
    >英知出版や、AVメーカー宇宙企画のかつての経営者で村上龍も注目して取材に訪れた山崎紀雄は女優を引き立てるために徹底的に素材にこだわった。
  • 『狂うひと「死の棘」の妻・島尾ミホ』あの事件の真相が語られる?! - HONZ

    島尾敏雄『死の棘』を読んだのは、大学生のときだ。当時、虚実入り混じったスキャンダラスな私小説として評判になっており、興味位で手に取ったのだと思う。濃密な描写に引きずられるように読みふけり、この作品から「男女の愛」について一つの定見を得たように思ったのだ。 ただ、そのときは“私”とはいえ、小説だと思っていた。事実は事実のままに、かなりの創作が入った美化された物語。読者のほとんどがそう思っただろうし、この作品を論じた評論家たちも、それを念頭にいれて語っていたと思う。だが『狂うひと』という作品はそのすべての概念をひっくりかえしてしまった。 ノンフィクション作家の梯久美子が『死の棘』のヒロイン、島尾ミホに興味を持ったのは浜辺に立つ一人の老女、ミホの写真を見たことによる。彼女もまた作家であると知り『海辺の生と死』『祭り裏』の二作を読んで会いたいと思ったという。 インタビューをしたのは、平成17年か

    『狂うひと「死の棘」の妻・島尾ミホ』あの事件の真相が語られる?! - HONZ
    akihiko810
    akihiko810 2017/09/06
    島尾敏雄『死の棘』>4回目の取材の折、ミホは『死の棘』の冒頭部分、彼女が精神の均衡を失った事件の真相を語りはじめる。
  • ドキュメンタリ映画『おクジラさま~ふたつの正義の物語』を更に詳しく - HONZ

    2017年8月28日、反捕鯨団体のシー・シェパードは今年の捕鯨シーズンは日の南極調査捕鯨船の妨害を行わないと発表した。日の監視技術に太刀打ちできないのが中止の理由だという。まるで書の発売と映画の封切りを見計らったような時期の発表だ。だがこの問題は解決したわけではない。 書は9月9日から全国で順次公開されるドキュメンタリ映画『おクジラさま~ふたつの正義の物語』の完全書籍化である。 きっかけは2009年8月、『ザ・コーヴ(原題:The Cove)』というドキュメンタリー映画がニューヨークのソーホー地区の映画館で公開されたことだ。和歌山県太地町のイルカ漁を追った作品で、アメリカのインディペンデント映画の賞としては最大のサンダンス映画祭のドキュメンタリー部門で読者賞を受賞。2009年夏に全米で劇場公開が始まると大反響を呼び、その年のアカデミー賞を受賞した。 日の紀伊半島近くに位置する小さ

    ドキュメンタリ映画『おクジラさま~ふたつの正義の物語』を更に詳しく - HONZ
  • とてつもなく変態で、ありえないほど文章がうまい──『動物になって生きてみた』 - HONZ

    どうやったら、我々人間は動物の感覚にもっと近づくことができるのだろう。たとえばアナクマのように巣穴で眠り、森を徘徊して獲物を物色する。たとえばカワウソのように水辺に住んで魚やザリガニをべて生き、ツバメのように空を飛び、糞を撒き散らす。そうやって動物たちと同じように生きたら、彼らがみている世界を追体験できるのではないだろうか? そんな、言っていることはわからないでもないが自分でやろうとは思わないことをまともにやってしまった狂人が、書の著者であり、2016年のイグノーベル賞の生物学賞を受賞したチャールズ・フォスターである。狂人とは言い過ぎで、著者に対する敬意を欠いているのではないか? と思うかもしれないが、この記事を読み進めてもらえればその事実が把握いただけると思う。 人間とキツネなど他の動物たちとの間には境界があると著者はいう。それは当然だ。我々はキツネと子どもを作ることはできないし、カ

    とてつもなく変態で、ありえないほど文章がうまい──『動物になって生きてみた』 - HONZ
  • 『わたしと統合失調症 26人の当事者が語る発症のトリガー』リカバリーを生きるということ - HONZ

    私たち当事者は、人として破綻しているわけではなく、ただ「見えない病気になっているだけ」なのです。私は、当事者がこれほどまで無理解な状況におかれている現状に強い憤りを覚えます。 自分のことを言われているような気がして胸がチクチクする。いや、まさに自分のことだ。正直に書いておくが、統合失調症をもっと理解しようと思う自分 vs ちょっと遠慮したいと思う自分のせめぎ合いがいまだ脳内で継続中である。 書は26人の統合失調症当事者=「リカバリーを生きる人々」の体験談と、編者の精神科医・佐竹直子氏の解説により構成されている。 巻頭で編者は、 発症の頃のエピソードは、どんなことが統合失調症のトリガーになるのかだけでなく、発症当時の混沌とした状態と同じ感覚を今まさに抱えている人に、自らに起こっているかもしれない問題を気づかせてくれるかもしれません。また、その人にとってのトリガーとなる出来事は発症後の症状の

    『わたしと統合失調症 26人の当事者が語る発症のトリガー』リカバリーを生きるということ - HONZ
  • 『動物の賢さがわかるほど人間は賢いのか』 進化認知学、そして「唯一無二の人間」という見方からの脱却 - HONZ

    「動物の賢さがわかるほど人間は賢いのか」。ずいぶん挑戦的な問いかけであるが、書の内容もそれに負けず劣らず挑戦的である。 フランス・ドゥ・ヴァールは、ベストセラー『チンパンジーの政治学』といった著書もある、世界的に著名な霊長類学者である。そんな彼が書で試みていることはおもにふたつある。ひとつは、彼の提唱する「進化認知学」というアプローチを明らかにすること。そしてもうひとつは、「唯一無二の人間」という見方(ないし偏見)を克服することだ。 第一の点について、象徴的なエピソードから始めよう。テナガザルは樹上性の小型類人猿で、ヒトや大型類人猿とも近縁な存在である。だがそんなテナガザルが、かつて行われた認知テストで意外なほど成績がわるかった。そのテストとは、棒を拾い上げてべ物を引き寄せるという一見単純なものである。では、そんなテストでさえうまくパスできないのだから、テナガザルは「愚か」だというこ

    『動物の賢さがわかるほど人間は賢いのか』 進化認知学、そして「唯一無二の人間」という見方からの脱却 - HONZ
  • 渋谷の歴史と音楽と時間と『渋谷音楽図鑑』 - HONZ

    今年のフジロックで小沢健二とコーネリアスを観てきた。コーネリアスが今年発売したアルバム『Mellow Waves』が素晴らしくよい作品だったので、コーネリアスを最後まで観たかったのだけど、最後まで見ていると入場規制で小沢健二が観れないと思い、泣く泣く途中で切り上げ小沢健二をみにいった。その後、予想通り入場規制がかかったので、はやめに移動して正解だった。 ライブはコーネリアスも小沢健二も最高によかった。歌詞をスクリーンに映し出し、言葉をとても大事にする小沢健二と、音を突き詰め、洗練された楽曲が魅力的なコーネリアス。まったく別の2つの才能を生で見れたのはとても良い経験だった。 とのっけからとは関係のない話をしてしまったが、ちゃんと話はへとつながっている。フジロックに出演した小沢健二とコーネリアスの小山田圭吾。この二人は90年代にフリッパーズギターというバンドを組んでいた。そのバンドのプロデ

    渋谷の歴史と音楽と時間と『渋谷音楽図鑑』 - HONZ
  • 『科学が教える、子育て成功への道』21世紀の成績表 - HONZ

    もし、子育ての成功を定義できるのであれば、成功への道があるのならば、それを知りたいと思う人はたくさんいるはずだ。そして書は、子育てにおいて、科学でわかっていることは何か、何を成功として定義して、その成功のために何をすればいいのか、を学習科学・発達心理学の知見を見事に体系化したである。 「子育て」と「成功」という2つの言葉は相性が微妙で共鳴しづらいが、学習科学と発達心理学の第一人者である2人の著者は明確な意図を持って、この挑発的なタイトルを設定している。その意図とは、知識を詰め込めば成功できるという時代遅れの思考回路から教育現場を開放し、新しい考えを広く伝えようとする強い情熱だ。書籍以外にも、ディズニー、レゴ、子供博物館などのコンサルタントを努め、最新の考え方を浸透させる行動をしている。背景にあるのは、アメリカの惨憺たる教育事情である。 世界各地で叫ばれ続けている教育改革、ビジョンや政策

    『科学が教える、子育て成功への道』21世紀の成績表 - HONZ
  • あなたは他者からどう見られているのか──『なぜ心を読みすぎるのか: みきわめと対人関係の心理学』 - HONZ

    他人の心は、わからないものだ。 たとえ笑顔で話しかけてきても、こちらのことを殺したいほど憎んでいる可能性はいつだって存在する。自分以外のすべての人間に憎悪されている可能性について想像し始めるとめげてしまうが、実際のところそんなことはありえないわけで、だいたいの場合においてニコニコ顔は敵意のなさ、好意の証であるとみていいだろうと、普通はそう判断して会話をすることになる。 そうやって簡単に解釈できるシグナルがあればいいが、人生には対人関係の悩みがつきものである。あの人は自分のことが嫌いなのではないか? あの人は何を考えているのか? など、解釈が難しいケースは多々存在する。基的に人間は他者との関わりの中で生きていくしかないのだから「人間は対人関係を構築する時にどのように相手を見極め、評価しているのか」についての知識はあって悪いことはない。書『なぜ心を読みすぎるのか: みきわめと対人関係の心理

    あなたは他者からどう見られているのか──『なぜ心を読みすぎるのか: みきわめと対人関係の心理学』 - HONZ
  • 『子育ての大誤解 重要なのは親じゃない 』「言ってはいけない」真実が示す、親と子の幸福なあり方 - HONZ

    『子育ての大誤解 重要なのは親じゃない 』「言ってはいけない」真実が示す、親と子の幸福なあり方文庫解説 by 橘 玲 『子育ての大誤解』は掛け値なしに、これまででわたしがもっとも大きな影響を受けたのひとつだ。なぜなら長年の疑問を、快刀乱麻を断つように解き明かしてくれたのだから。 いまでいう「デキ婚」で24歳のときに長男が生まれたのだが、その子が中学に入るくらいからずっと不思議に思っていたことがあった。親のいうことをきかないのだ、ぜんぜん。13、4歳のガキと30代後半の大人では、経験も知識の量も圧倒的にちがう。どちらが正しいかは一目瞭然なのに、それを理解できないなんてバカなんじゃないのか、と思った。 しかしよく考えてみると、自分も親のいうことをまったくきかなかった。だとすればこれは因果応報なのだとあきらめたのだが、それでも謎

    『子育ての大誤解 重要なのは親じゃない 』「言ってはいけない」真実が示す、親と子の幸福なあり方 - HONZ
    akihiko810
    akihiko810 2017/08/23
    そりゃそうだ >子どもは、友だち関係を優先して親のいうことをきかないように「進化論的にプログラムされている」
  • 『芸術・無意識・脳』 科学と芸術の対話が人間の本質を明らかにする - HONZ

    1900年前後のウィーンにはあらゆる分野の才能を引き寄せる力があった。哲学ではクルト・ゲーデルやルートヴィヒ・ヴィドゲンシュタイン、音楽ではグスタフ・マーラーやベートーヴェン。その他の芸術や自然科学分野でも、挙げきれないほど多くの偉人たちがこの街に集まっていた。特筆すべきは、その天才たちが個々の分野毎に活動していたのではなく、科学者・作家・芸術家の垣根を越えて混ざり合っていたという事実である。異なる領域に確かな根を持つ頭脳同士のぶつかり合いは、「美術と科学を結び付けようとするパイオニア的な試み」だったといえ、人類に大きな果実をもたらした。 記憶の神経メカニズムに関する研究でノーベル医学生理学賞を受賞した脳神経科学者であり、1929年にウィーンで生まれた絵画コレクターでもある著者・カンデルは、この時代のウィーンが「人文科学と自然科学の開かれた対話をどうすれば実現できるのか」を私たちに示してく

    『芸術・無意識・脳』 科学と芸術の対話が人間の本質を明らかにする - HONZ
  • 『世界からバナナがなくなるまえに 食糧危機に立ち向かう科学者たち』 ロペスのハチ、チョコレート・テロ、現代版ノアの箱舟 - HONZ

    『世界からバナナがなくなるまえに 糧危機に立ち向かう科学者たち』 ロペスのハチ、チョコレート・テロ、現代版ノアの箱舟 バナナがなくなってしまうだって!? 多くの人にとっては寝耳に水であろうが、しかしこの話、けっしてありえないことではないようである。 現在、人々が口にしているバナナは、その大半が単一の品種、すなわちキャベンディッシュバナナである。そしてそのバナナには、遺伝的な多様性がまったくない。というのも、キャベンディッシュは種子がなく、株分け(新芽を移植すること)をとおして栽培されるからである。それゆえ、「キャベンディッシュバナナはすべて遺伝的に同一であり、スーパーで買うバナナのどれもが、隣に並ぶバナナのクローンなのである」。 だがよく知られているように、そうした遺伝的多様性の低い生物は、天敵などの影響をもろに受けやすい。実際、かつて人々が口にしていたバナナ(グロスミッチェル種)は、「

    『世界からバナナがなくなるまえに 食糧危機に立ち向かう科学者たち』 ロペスのハチ、チョコレート・テロ、現代版ノアの箱舟 - HONZ
  • なんと明るいチ〇コ本 『日本男子♂余れるところ』 - HONZ

    『余れるところ』の平均長は8.3センチメートルらしい。ん、余れるところって?その由来は古事記にまでさかのぼる。かのイザナギが自らの男根を「成り成りて成り余れる処」と呼んでいるのだ。そして仏教では「魔羅(まら)」、すなわち修業の邪魔になるものという意味である。そんなこんなで秀実(ヒデミネ)さんは考えた。そこには真理があるはずだと。 序章  仏説男根 ぶっせつだんこん 第1章 包皮前進 ほうひぜんしん 第2章 千摺指南 せんずりしなん 第3章 愛染雁高 あいぜんかりだか 第4章 男色交換 だんしょくこうかん 第5章 阿吽阿吽 あうんあうん 第6章 絶頂巡礼 ぜっちょうじゅんれい 第7章 針小棒大 しんしょうぼうだい 第8章 麩茎反転 ふまらはんてん 終章  是菩薩位 しぼさい 各章につけられた、ありがたそうな四字熟語のタイトルを見れば、ヒデミネさんがいかにして真理に迫っていったかがおおよそわか

    なんと明るいチ〇コ本 『日本男子♂余れるところ』 - HONZ
    akihiko810
    akihiko810 2017/07/24
    これ書店で立ち読みした本かな?面白くなかった気がする
  • 『息子が殺人犯になった コロンバイン高校銃乱射事件・加害生徒の母の告白』わかりやすい原因などない、という現実 - HONZ

    『息子が殺人犯になった コロンバイン高校銃乱射事件・加害生徒の母の告白』わかりやすい原因などない、という現実 コロンバイン高校銃乱射事件。1999年4月20日、コロンバイン高校の学生2人が無差別に発砲を行い最終的に自殺、教師1人と生徒12人が死亡し、24人が負傷した傷ましい出来事だ。発生から15年以上が経った今なお学校銃乱射事件の代名詞的存在とされるのは、犯人であるエリックとディランがそれぞれ卒業を間近に控えた、18歳・17歳の少年だったという若さだけが理由ではない。 2年以上をかけて準備されていた計画の周到さ。そして、何百人もの生徒たちでにぎわう昼時のカフェテリアを爆破するという残虐な構想。計算ミスや完成度の低さにより爆弾は不発に終わったものの、実際の被害を遥かに上回るその計画の大きさは、人々の間に驚きと恐怖の渦を巻き起こした。 言うまでもなく、この事件を題材にして過去に多くのが書かれ

    『息子が殺人犯になった コロンバイン高校銃乱射事件・加害生徒の母の告白』わかりやすい原因などない、という現実 - HONZ
  • 『PC遠隔操作事件』警察、メディア、犯人、その誰もが踊らされた - HONZ

    事件ノンフィクションと呼ばれるジャンルの醍醐味が、存分に味わえる一冊だ。この事件の何に対して自分が釈然としない思いを抱いていたのか、その正体が嫌というほど見えてくる。その実像は、事件当時に見知っていた情報とは大きく異なる印象があった。 PC遠隔操作事件とは、2012年6月から9月にかけて14件もの殺害・爆破予告がなされた事件である。JAL便の爆破予告から、小学校の襲撃予告、はたまた有名子役や人気タレントグループ襲撃予告までとターゲットは幅広く、世間を震撼させた。 逮捕されたのは、IT関連会社社員で当時30歳の片山祐輔という一人の青年であった。書では、事件発生からの全過程を克明に記録し、事件の中からあぶり出された課題を、今あらためて検証しようと試みている。 書のスタンスが特徴的なのは、この事件当にこれほど騒がれるようなものであったのかという点から出発しているところだ。結局一連の殺害・

    『PC遠隔操作事件』警察、メディア、犯人、その誰もが踊らされた - HONZ
  • 『東芝 大裏面史』巨大企業を崩壊させた原発ビジネスの裏側 - HONZ

    2016年12月26日を境に、東芝の株価は暴落した。443円をつけていた株価はつづく3日間で259円まで下げたのだ。 それまで東芝株の上昇率は年間で70%を超え、日経平均銘柄で第2位を誇るほどだった。その日が誇る優良企業が一気に奈落へと転落したのだ。見得を切る暇もなかった。 この株価暴落はNHKによる巨額損失計上の報道がきっかけだったが、じつは2008年から東芝の原発ビジネスに疑いの目を向けていたメディアがある。月刊FACTAだ。 同誌は、向こう傷を問わない総合情報誌として2006年に創刊された。経済界の巨悪を追う調査報道を得意としているため、新聞や雑誌の経済記者必読誌としてつとに知られている。 書はそのFACTAに掲載された27の東芝関連記事と、編集長である阿部重夫氏が書のために書き下ろした記事で構成された芯のあるだ。収録されている何かの記事を追ってみれば、すでに2010年5

    『東芝 大裏面史』巨大企業を崩壊させた原発ビジネスの裏側 - HONZ
    akihiko810
    akihiko810 2017/06/12
    じつは2008年から東芝の原発ビジネスに疑いの目を向けていたメディアがある。月刊FACTAだ。
  • 『ベストセラーコード 「売れる文章」を見きわめる驚異のアルゴリズム』コンピューターによる文芸批評の時代 - HONZ

    HONZが送り出す、期待の新メンバー登場! 西野智紀は24歳の若きレビュアーだ。産経新聞、週刊読書人などで執筆をしつつ、将来的には書評家一でやっていきたいという夢を持っている。デビュー書評がいきなりカブるという悲劇に見舞われたが、これが吉とでるのか、凶とでるのか。今後の彼の活躍に、どうぞご期待ください! (HONZ編集部) 売れる小説を書きたい――作家を志す人ならば、一度は妄想する夢だろう。印税収入だけで暮らしていけたら、人生どんなに楽なことか。しかし、当然のごとく世の中は残酷で、運よくデビューできても、ロクにヒットも出せぬまま消えていくケースなどいくらでも存在する。ましてや今や出版不況、売れない文芸作家に対する風当たりは一段と厳しい。 そうした非情な現実の嵐に懊悩するあなたの耳元で、書はささやく。実はベストセラー作品には、黄金の法則があるのですよ。しかもこれは評論家や批評家の主観的評

    『ベストセラーコード 「売れる文章」を見きわめる驚異のアルゴリズム』コンピューターによる文芸批評の時代 - HONZ
  • 『東大助手物語』 - HONZ

    いたいたしい読み物である。 ページをくりながら、私はそこかしこで思う。ああ、もういい。もうわかった。中島さん、自分をさいなむのは、ほどほどにしてくれ、と。 だが、そう思いつつ、私は読みすすむ。中島さんの心が、傷つき、すさんでいく。その荒廃を、どこかで私はおもしろがっている。こんどは、どんなふうに精神の解剖が、しめされるのか。その自虐劇にわくわくしている私も、いっぽうにはまちがいなく存在する。 こういう魂の悲鳴が、興味深く読めてしまう。どうやら、私にはそれだけむごい心が、無慈悲と言うしかない心が、あるらしい。そのことを、いやおうなく思い知らせてくれるではあった。 私ひとりにかぎったことではないだろう。この一冊がたのしめたという読み手は、みな大なり小なり同類であると考える。 「あとがき」で、中島さんは書いている。「私は完全な人間嫌いになった。他人から愛されることも……評価されることも、鳥肌が

    『東大助手物語』 - HONZ
    akihiko810
    akihiko810 2017/06/01
    中島 義道
  • 『命のまもりびと 秋田の自殺を半減させた男 』 - HONZ

    不意に「赤穂城の明け渡し」が出てくる。主人公がまだ不動産業でバリバリ仕事をしていたころのこと。倒産して夜逃げした社長の住宅の調査に出かけた。家に入ると衣服が散乱している。タンスは開けっ放し。子供部屋の壁に友だちといっしょの幼い女の子の写真。通信簿が床に落ちていた。そのとき思った。自分は絶対にこんなことはしない。「もし倒産することがあっても、忠臣蔵の赤穂城の明け渡しのように、全部掃除してピカピカに磨いて明け渡す」 歌舞伎の「忠臣蔵」でおなじみの赤穂浪士の故里は播州赤穂である。私自身、その播州の生まれなのでよく知っているが、明け渡すまでに一連の経過があった。 江戸からの最初の急使が赤穂城大手門を駆けこんだとき、第一報は殿が殿中で吉良と諍いを起こし、お預けの身になったということだけ。とたんに、国家老大石内蔵助が奇妙な行動をとった。藩の会計課長にあたる札座奉行を呼びよせ、すぐさま財務の検討に入った

    『命のまもりびと 秋田の自殺を半減させた男 』 - HONZ
  • 『バッタを倒しにアフリカへ』ストイックすぎる狂気の博士エッセイ - HONZ

    書店内でいやでも目を引く、虫取り網をかまえこちらを凝視する全身緑色のバッタ男の表紙。キワモノ臭全開の書だが、この著者はれっきとした博士、それも、世界の第一線で活躍する「バッタ博士」である。書はバッタ博士こと前野ウルド浩太郎博士が人生を賭けてバッタのアフリカに乗り込み、そこで繰り広げた死闘を余すことなく綴った渾身の一冊だ。 「死闘」と書くと「また大袈裟な」と思われるかもしれない。だが著者が経験したのは、まぎれもない死闘だ。あやうく地雷の埋まった地帯に足を踏み入れそうになったり、夜中に砂漠の真ん中で迷子になったり、「刺されると死ぬことのある」サソリに実際に刺されたりと、デンジャーのオンパレードである。 なぜ、そこまでの危険を冒さねばならなかったのか。油田を掘り当てるためでも、埋蔵金を発掘するためでもない。そう。すべては「バッタのため」である。 昆虫学者に対する世間のイメージは「虫が好き

    『バッタを倒しにアフリカへ』ストイックすぎる狂気の博士エッセイ - HONZ