スーツ族の見たインドなど。 (仲能 健児『インドにて』(幻冬舎文庫, 2003) 解説、2003年10月) 山形浩生 インドの山奥で修行をすると、なんかすごいらしいというのを小学校のときに知ったのが、インドというところにあこがれめいたものを抱いた最初のことだったろうか。その後だったかその前だったか(前だな、どう考えても)、父の友人のインド人家庭にお呼ばれして、とんでもなく辛いカレーをたくさん食べさせられて、どうもインドっつーのはすさまじいところらしい、と子供心に思い、そしてある意味でぼくの人生を変えた清水潔『インド・ネパール旅の絵本』を読んだのが、あれは受験勉強なんてので図書館にいた中学生の頃。それはインドのバックパッカー旅行の絵日記みたいな本で、東京とニューヨークしか知らなかったひ弱なガキだったぼくは、こんな世界があるのか、こことは全然ちがう、あの色と味と日差しに満ちた、こんな不思議な世