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ブックマーク / www.sakuranbo.co.jp (14)

  • 一瞬の夢がつむぎだす、淡くはかない上質な浮遊感「惑星9の休日」「夜とコンクリート」 深町秋生のコミックストリート

    南陽市在住、第三回「このミステリーがすごい!」大賞受賞作家の 深町秋生さんが、毎回、独自の視点で気になる漫画・お勧めのコミックをセレクト! 最近はいい夢を、すっかり見なくなった。  “夢”といっても人生の目標うんぬんではなく、寝ている間に見るアレである。とてもじゃないが、中年になってから見るのはしょっぱい悪夢ばかりなのだ。「ああ! 単位取れてねえ! 卒業できない!」と、大学の学生課で七転八倒していたり、あるいは「ああ! 伝票入力間違えた! とんでもない数の商品が出荷されてしまう!」と、工場で働いていたころのリアルで嫌な手触りの夢だ。  どうせなら、ホッケーマスクの大男や、鉤爪の殺人鬼に思いきり惨殺されるような悪夢なら盛り上がるのだが、こういう地味でしみったれた夢は真綿で首を絞められるようで、しんどいものがある。目を覚ましたときは汗びっしょりだ。  もうちょっと若いころは“いい夢”をけっこ

    一瞬の夢がつむぎだす、淡くはかない上質な浮遊感「惑星9の休日」「夜とコンクリート」 深町秋生のコミックストリート
  • 安心を与えた市井のヒーロー。直球の3・11ルポ「さんてつ」深町秋生のコミックストリート

    南陽市在住、第三回「このミステリーがすごい!」大賞受賞作家の 深町秋生さんが、毎回、独自の視点で気になる漫画・お勧めのコミックをセレクト! さて、前回に続いて東日大震災関連の話から始めたい。  昨年の3月後半、震災のためにこの山形も、ライフラインや物流に支障が出て、しんどい生活を強いられた。そのおかげで、震災前の日々の暮らしというものが、いかに大切で繊細なものであったかを思い知らされた。嫌というほど。  たとえば震災時、私はこのさくらんぼテレビの社屋にいたが、東北全体が停電状態に陥り、そして携帯電話も通じなくなった。家族に自分の無事を知らせるため、(岩手方面に旅に出ると言い残して、一週間ほど家を離れていた)約30キロまで離れた南陽市の自宅まで車を走らせたが、市道や国道の信号機に灯りはなく、警官による誘導もない。あれほど神経をすり減らしたドライブはなかった。  翌日の午後になって、灯りの

  • その人の素顔|穂村弘( 歌人) ×池上冬樹( 文芸評論家) 対談 「人は日常生活を送るうえで言葉のカテゴリーを固めてしまう。短歌を作るときは言葉の壁を越えるようにしている」

    穂村弘( 歌人) ×池上冬樹( 文芸評論家) 対談 「人は日常生活を送るうえで言葉のカテゴリーを固めてしまう。短歌を作るときは言葉の壁を越えるようにしている」 第29回は歌人でエッセイストの穂村弘さん(聞き手は文芸評論家の池上冬樹さん)。短歌と俳句とエッセイの特性と違い、それらと小説に通じるものについて語っていただきました。 ◆斬新すぎたデビュー/短歌の特殊性/視覚的なイメージ ――エッセイは昔からお書きになっていたんですか。 穂村 いえ、書いていませんでした。 ――最初は短歌で始められましたよね。そもそも短歌を始められたのは、何か理由があったんですか。 穂村 大学生のときに何かやってみたいなと思って、それで、何でしょうね、定型のあるもののほうがやりやすいような気がして。 ――俳句はやらなかったんですか。ずっと短歌で? 穂村 俳句じゃなかったですね。短歌もあまり知らなかったし、読んでいたの

  • 社会問題を見つめる異人たちの誠実・業田良家「機械仕掛けの愛」 深町秋生のコミックストリート

    南陽市在住、第三回「このミステリーがすごい!」大賞受賞作家の 深町秋生さんが、毎回、独自の視点で気になる漫画・お勧めのコミックをセレクト! 書店で最初に見かけたとき、率直に思ったのは「また、この路線か……」という、軽い倦怠感だった。今回取り上げるのは、業田良家の『機械仕掛けの愛』(小学館)であります。  もはやコミック界の人間国宝ともいうべき巨匠の作品だ。(もしあなたが、この作者の代表作『自虐の詩』(竹書房 ※文庫版もあり)を知らないのなら、すぐに書店に走るか、通販サイトに飛んで手に入れるべきだ。傑作中の傑作であります)決しておろそかにはできない。  おろそかにはできないんだけれど、見かけたときは「どうすっかなあ……」という迷いもちょっとあった。タイトルにあるとおり、おもにロボットを主役にした近未来SFドラマだからだ。すでに作者はロボットなど、人間以外を主役にした同系統の作品をいくつも発

    akihiko810
    akihiko810 2016/03/21
    #業田良家 まだ1巻しか読んでないが傑作とはいえないか…良作くらい?70点
  • この世には、生き続ける価値ぐらいはあるということ。たとえ闇のなかに放りこまれても。高浜寛『SADGiRL』 深町秋生のコミックストリート

    このサイトでは毎回のように高浜寛作品を取り上げ、昨年はベスト作品として同作者の『蝶のみちゆき』(リイド社)を推薦した。両方ともいっぺんに紹介したいところだが、文字数の関係もあり、『SADGiRL』のほうがタイムリーではないかと思ってこちらを先に取り上げたい。薬物やアルコール、その他もろもろに依存してしまう人々の悲哀と苦悶を、ユニークかつ優しく見守る作品集だったからだ。

    この世には、生き続ける価値ぐらいはあるということ。たとえ闇のなかに放りこまれても。高浜寛『SADGiRL』 深町秋生のコミックストリート
    akihiko810
    akihiko810 2016/02/18
    高浜寛age最近多いな… 私が読んだ時の感想は「う~ん…おしい!もう一歩」だったけど、腕あげたのかな
  • 小説家になりま専科

    「CAFE .LIVRES」は、が大好きというあなたのための特設コーナーです。 大好きな作家さんのとっておきの話や、前から気になっていたあの作品の、あっとおどろく話など、好きの方なら、きっと気に入ってもらえるはずです。

  • "生活保護"という最前線に送られた新兵たちの苦闘。柏木ハルコ「健康で文化的な最低限度の生活」 深町秋生のコミックストリート

    南陽市出身、第三回「このミステリーがすごい!」大賞受賞作家の 深町秋生さんが、毎回、独自の視点で気になる漫画・お勧めのコミックをセレクト! 昔、どんづまりの人を見たことがある。  私は三十代半ばまでサラリーマン生活をしていた。富山の置き薬みたいなルート販売をやっている製薬会社に勤務していた。ドラッグストアが乱立している今、若い人にはなじみがないかもしれない。「薬箱を家に置かせてもらって、使った分だけお代をいただく仕組みです。いざとなったら役に立ちますよ。なかには風邪薬も鎮痛剤も入ってます」などと、二十代のころは新聞の拡張団のように一軒一軒飛びこんでは、関東や九州に行って開拓に励んだ。  拡張したあとは契約社員の仕事だ。約4~5か月に一度は巡回して、お代の回収&薬の売りこみといったルートセールスをする。彼ら契約社員の動向をチェックするのも私の仕事だった。訪問件数はどうか、売上金はどうなって

    "生活保護"という最前線に送られた新兵たちの苦闘。柏木ハルコ「健康で文化的な最低限度の生活」 深町秋生のコミックストリート
    akihiko810
    akihiko810 2014/11/05
    『健康で文化的な最低限度の生活』『わたし、公僕でがんばってました。』 ケースワーカーと生活保護
  • 明るく楽しく暗部に迫る悲痛なコメディ「ちーちゃんはちょっと足りない」深町秋生のコミックストリート

    南陽市出身、第三回「このミステリーがすごい!」大賞受賞作家の 深町秋生さんが、毎回、独自の視点で気になる漫画・お勧めのコミックをセレクト! 「このミステリーがすごい!」大賞受賞作『果てしなき渇き』を原作とした映画 『渇き。』が2014年6月27日より全国ロードショー。 読んでいて窒息しそうな一冊だった。  鬼才・阿部共実の新刊『ちーちゃんはちょっと足りない』だ。魔球のような短編で読者を翻弄しまくった『空が灰色だから』を手がけた作者の初の長編作品だ。 http://www.sakuranbo.co.jp/livres/cs/2012/06/post-49.html(先の読めないキュートな不気味「空が灰色だから」)  「空が~」はコメディのようでいて、人間の狂気にひたひたと迫る、シュールかつ不気味な快作だった。ざらっとする読後感を与える強烈(悲痛ともいえる)な作品だったが、今回の『ちー

    明るく楽しく暗部に迫る悲痛なコメディ「ちーちゃんはちょっと足りない」深町秋生のコミックストリート
    akihiko810
    akihiko810 2014/08/20
    阿部共実『ちーちゃんはちょっと足りない』。阿部共実らしく不安をあおってくるが…うーんという感じ。「この漫画がすごい」というほどではない
  • マンガ界の風雲児の愛すべき横顔『青木雄二物語』 深町秋生のコミックストリート

    南陽市出身、第三回「このミステリーがすごい!」大賞受賞作家の 深町秋生さんが、毎回、独自の視点で気になる漫画・お勧めのコミックをセレクト! 「このミステリーがすごい!」大賞受賞作『果てしなき渇き』を原作とした映画 『渇き。』が2014年6月27日より全国ロードショー。 「マルクス読まんかい!」「これが唯物論や!」「不渡り出したということは、お前はもう死んだいうことなんや!」  ……と、作品はもちろんのこと、作者人もしびれる名言を山ほど残し、コミック界に旋風を巻き起こした故青木雄二。私がもっとも尊敬するマンガ家なのだが、今年五月末にそのものずばり『青木雄二物語1』(青木雄二プロダクション)(扶桑社)が発売された。  つねづね「変わった人物なんだろうなあ」と思っていたのだが、書を読んで、「……やっぱり、変人だったんだ」と、おもしろく読み終えたのだった。  書の企画自体は正直なとこ

    マンガ界の風雲児の愛すべき横顔『青木雄二物語』 深町秋生のコミックストリート
    akihiko810
    akihiko810 2014/08/05
    あまりに絵が下手すぎて、デザイン会社潰した人間だからな
  • ブラックな名作をつむぎ続ける語り部の劇薬な源流。松田洋子「好きだけじゃ続かない」 深町秋生のコミックストリート

    南陽市出身、第三回「このミステリーがすごい!」大賞受賞作家の 深町秋生さんが、毎回、独自の視点で気になる漫画・お勧めのコミックをセレクト! 「このミステリーがすごい!」大賞受賞作『果てしなき渇き』を原作とした映画 『渇き。』が2014年6月27日より全国ロードショー。 悲痛な物語が好きだ。  このコーナーで取り上げたコミックを振り返ってみると、ボディブローを喰らわせるような、衝撃&悲痛な作品が多い。『闇金ウシジマくん』『凍りの掌 シベリア抑留記』『狼の口 ヴォルフスムント』(どれも必読)など。人間の心の暗部に迫るギリギリな作品が好きだ  今回、取り上げるのは「悲痛な話を描かせたら右に出る者がいないのではないか……」という異才の持ち主、松田洋子の最新刊『好きだけじゃ続かない』(KADOKAWA エンターブレイン)だ。短編&中編集だが、これがけっこう衝撃的だった。  松田洋子は孤独や貧

    ブラックな名作をつむぎ続ける語り部の劇薬な源流。松田洋子「好きだけじゃ続かない」 深町秋生のコミックストリート
  • コミック界の新たな至宝。小林まこと『瞼の母』と「長谷川伸シリーズ四部作」 深町秋生のコミックストリート

    南陽市出身、第三回「このミステリーがすごい!」大賞受賞作家の 深町秋生さんが、毎回、独自の視点で気になる漫画・お勧めのコミックをセレクト! 「このミステリーがすごい!」大賞受賞作『果てしなき渇き』を原作とした映画 『渇き。』が2014年6月27日より全国ロードショー。 小林まことの「劇画・長谷川伸シリーズ」は、コミック界の新たな至宝となるだろう。四部作のラスト『瞼の母』(講談社)を読んで思った。  ……のっけから、ずいぶんと大きく出たが、話を盛りすぎているとは思わない。この21世紀に、どのメディアでもほとんど死滅していた“股旅もの”というジャンルを復活させ、「どこの読者がいるんだ」と言われつつも、作者は次々と名作を発表してきた。  原作は大衆文学の父・長谷川伸……といっても、今さら知っているのはシニア層か熱心な映画ファンくらいではないか、ということは、前作『一刀土俵入』(講談社)

    コミック界の新たな至宝。小林まこと『瞼の母』と「長谷川伸シリーズ四部作」 深町秋生のコミックストリート
  • ホントは恐ろしい遍路旅。善悪を超えたカオティックな傑作。しまたけひこ『アルキヘンロズカン』 深町秋生のコミックストリート

    南陽市出身、第三回「このミステリーがすごい!」大賞受賞作家の 深町秋生さんが、毎回、独自の視点で気になる漫画・お勧めのコミックをセレクト! 「このミステリーがすごい!」大賞受賞作『果てしなき渇き』を原作とした映画 『渇き。』が2014年7月4日より全国ロードショー。 へんろ[遍路]祈願のために、弘法大師修行の遺跡である四国八十八か所の霊場を巡り歩くこと。また、その人。(大辞林 第三版より)  なるべく旬な作品を取り上げようと努力しているこのコーナーだが、今回は二年前に刊行されたコミックをあえて取り上げたい。四国八十八か所の遍路旅を描いた『アルキヘンロズカン』(しまたけひこ 双葉社)だ。これが予想以上におもしろい……というより、重たいボディブローのような、ズシンとした内容に唖然とさせられた。  まず個人的な話になるが、私は家に閉じこもって執筆できる性質ではなく、一応「山形在住」という

    ホントは恐ろしい遍路旅。善悪を超えたカオティックな傑作。しまたけひこ『アルキヘンロズカン』 深町秋生のコミックストリート
  • アダルティなマンガ家が描く、至高の愛の物語「四谷区花園町」 深町秋生のコミックストリート

    南陽市在住、第三回「このミステリーがすごい!」大賞受賞作家の 深町秋生さんが、毎回、独自の視点で気になる漫画・お勧めのコミックをセレクト! 「表現する喜び、信念をつらぬく厳しさ。誰かとめぐり逢う奇跡、愛しぬくことの尊さ。これは魂の物語です。」(こうの史代) 「素晴らしい 青春漫画の王道だ! “エロ”はどんな時代にも生きる勇気を与えてくれる。映画にしたいと思った」(行定勲)  個人的な話だが、一度だけファンレターを書いたことがある。  正確に言うなら、サイトの掲示板に「感動しました」といった内容を書きこんだというべきか。管理人は高浜寛。オトナでエロティックな恋愛物語の優れた描き手で、ヨーロッパなどで高い評価を得ているマンガ家だ。“乱闘、銃撃、爆破”と、偏差値低めなアクション小説を書いている私にとっては、登場人物のリアリティ、会話のうまさ、官能的な味わいは衝撃的ですらあった。鼻水たらしたボン

    アダルティなマンガ家が描く、至高の愛の物語「四谷区花園町」 深町秋生のコミックストリート
  • その人の素顔|大沢在昌(作家)講演  「小説家サバイバル術。電子書籍の未来を見すえる」

    第14回は作家の大沢在昌さん。 プロの小説家として生きることの厳しさや心構え、そして電子書籍と出版界の未来について語ってくださいました。◆小説家として生き残ること/書くことが大嫌い 4月の平山夢明さんの回『作家になること、そして喰い続けること』ですが、「いいタイトルでやりやがったな、こんちくしょう」と思いましたね。あれを先にやられると非常にやりにくい(笑)。けっきょく平山さんも同じことを言ったでしょうが、プロの小説家になりたいと思う人は、おおむね「小説家になる」ことが最終目標であって、そこから先を考えないんですよ。    デビューするとわかりますが、小説家にはピンからキリまでいろんな人がいます。歌手でもテレビや紅白に出る人もいれば、昔CDを出したきりという人までいるのと同じように、小説家もとても幅が広い世界です。なんのために小説家になるのかといえば、それは自分が書いたものをひとりでも多くの

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