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ブックマーク / book.asahi.com (133)

  • 「フェミニスト、ゲームやってる」近藤銀河さんインタビュー 安全に失敗できるから「可能性」がある|好書好日

    近藤銀河さん=篠田英美撮影 近藤銀河(こんどう・ぎんが) 1992年生まれ。アーティスト、美術史家、パンセクシュアル。中学の頃にME/CFSという病気を発症、以降車いすで生活。2023年から東京芸術大学・先端芸術表現科博士課程在籍。主に「女性同性愛と美術の関係」のテーマを研究し、ゲームエンジンやCGを用いた作品を発表する。ついたあだ名が「車いすの上の哲学者」。ライターとして雑誌「現代思想」「SFマガジン」「エトセトラ」、書籍『われらはすでに共にある─反トランス差別ブックレット』『インディ・ゲーム新世紀ディープ・ガイド─ゲームの沼』など寄稿多数。書が初の単著。 フェミニズム×ゲームは意外? ——フェミニズムとゲームという組み合わせは意外に感じました。実際、「フェミニストゲームって相性が悪そう」と言われることもあるそうですね。 そうですね。たしかに昔からゲームには「男の子のもの」というイメ

    「フェミニスト、ゲームやってる」近藤銀河さんインタビュー 安全に失敗できるから「可能性」がある|好書好日
  • 町田康さん初の歌集「くるぶし」 パンク魂で自在に操る言葉「共感されるなんて欺瞞のうそっぱち」|好書好日

    作家の町田康さんが初の歌集「くるぶし」(COTOGOTOBOOKS)を刊行した。青地に緑の箔(はく)でタイトル、著者名が大きくデザインされたギラギラとした装丁。飛び込んでくる最初の章タイトルは「ボンジョビ」。まだ一首も読んでいないのに、やられた、という気持ちになる。狂った節という意味も込めたタイトルを体現する歌集だ。 パンク魂 浴びてきた言葉を352首に 「あんまり人に言ってこなかった気持ちがむき出しになっている。日記が公開されたような感じです」と町田さんは話す。収録したのは、2022年夏~23年夏にかけて作った352首だ。歌を思いついたらスマホにメモし、SNSにあげていた。「メモしていると脳がモードに入る。短歌ばかり湧いてきてうるさかった」。元は倍の600首ほどあったなかから、収録作を選んだ。 「日常のなかから生まれてくるから、歌には料理がよく出てきます」 《圧迫を感じる朝は月見そば器の

    町田康さん初の歌集「くるぶし」 パンク魂で自在に操る言葉「共感されるなんて欺瞞のうそっぱち」|好書好日
  • 鴻巣友季子の文学潮流(第14回) 「関心領域」映画・原作が問いかける「悪」との向き合い方|好書好日

    原作はダーク・コメディ風 アカデミー賞国際長編映画賞を受けたジョナサン・グレイザー監督の「関心領域」が一般公開され、話題を呼んでいる。 アウシュヴィッツ強制収容所所長(司令官)ルドルフ・ヘス一家の”平凡な”暮らしを描きだす。壁一枚隔てた隣には、ユダヤ人がガス室で虐殺されてく収容所があり、焼却炉の煙が立ち昇り、悲惨な叫び声が響いてくる。囚人らの発するイディッシュにはあえて日語字幕を付けていないので(*試写時)、この言語を解さない(私も含む)耳には、音が不穏さを醸しながらも意味を持たず通過していくだろうと思った。まさにヘス一家の耳にそうであったように。 ヘス家の邸宅にはが丹精した庭があり、草花が咲き誇り、友人や子どもたちが集まってピクニックをする。隣の収容所で起きることは、まるで彼らのzone of interest(関心や利害の範囲)にない。 子どもたちと川で泳いでいたヘスが狂ったように

    鴻巣友季子の文学潮流(第14回) 「関心領域」映画・原作が問いかける「悪」との向き合い方|好書好日
  • 【特別版】芥川賞・九段理江さん「芥川賞を獲るコツ、わかりました」 小説家になりたい人が、芥川賞作家になった人に聞いてみた。|好書好日

    九段理江さん=撮影・武藤奈緒美 第170回 芥川龍之介賞受賞作「東京都同情塔」 舞台は、ザハ・ハディドによる国立競技場が世論に翻弄されることなく完成した、もう一つの東京。犯罪者を同情されるべき人々=「ホモ・ミゼラビリス」として手厚く扱うべきという社会学論が一世を風靡し、まるでタワマンのような刑務所「シンパシータワートーキョー」が建てられることに。建築家・牧名沙羅は、それが当に建てられるべきなのか、生成AIやナンパした美しい青年・拓人と言葉を交わしながら自身の考えを構築しようとするが――。 読むより先に書いていた 「私、よく人間ぽくないって言われるんですよ。小さい時から親にも、りえちゃんは人間じゃないからねって言われてました」 そう言って逆光のなか悠然と微笑む九段さんは、たしかにVRのようだ。 受賞歴も常人離れしている。2017年、18年と2年連続で文學界新人賞の最終候補に。2021年で見

    【特別版】芥川賞・九段理江さん「芥川賞を獲るコツ、わかりました」 小説家になりたい人が、芥川賞作家になった人に聞いてみた。|好書好日
  • 人文書の担当20年、ベテランの“推し本”とは ジュンク堂書店“創業の地”・神戸 三宮店|じんぶん堂

    記事:じんぶん堂企画室 「ジュンク堂書店 三宮店」人文科学書担当の谷口陽子さん 書籍情報はこちら 震災を乗り越えて、約50年の歴史を紡ぐ老舗書店 神戸最大のターミナル駅である、三宮駅の目の前にあり、フラワーロードから元町駅にほど近い鯉川筋までの東西約550mをつなぐ神戸三宮センター街。二階建てで天井高のあるアーケードが特徴の一つだ。ジュンク堂書店三宮店は、生田ロードの手前、海側にあるビルの2〜5階にある。1995年1月17日に発生した阪神・淡路大震災で甚大な被害を受けながらも、社員を総動員してわずか2週間で再開にこぎつけた。まさに三宮を代表する書店として、多くの人々に親しまれている。 2階に上がると、レジ前には新刊や話題書を並べた棚があり、雑誌や文庫、新書、文芸書などがある。3階は実用書フロアの横に、神戸を代表する老舗文具店・ナガサワ文具センターの店が入っている。人文書コーナーは最上階の

    人文書の担当20年、ベテランの“推し本”とは ジュンク堂書店“創業の地”・神戸 三宮店|じんぶん堂
  • すばる文学賞・大田ステファニー歓人さん 1文字も書かないで「概念小説家」やってました 連載「小説家になりたい人が、なった人に聞いてみた。」#6|好書好日

    第47回すばる文学賞 受賞作品「みどりいせき」 学校に馴染めず不登校気味の高校2年生の「僕」は小学校時代にバッテリーを組んでいたピッチャーの 春と再会し、知らないうちに怪しいビジネスの手伝いをすることに。隠語と煙で充満する隠れ家でグミ氏やラメちたちとつるみ、不健全で抗いがたい、鮮烈な青春にまみれていく――。 ふぁにーちゃんって呼んで 受賞の言葉にまず驚いた。 「どもう、ステファニーだお このたび、わらいありなみだありのすったもんだのすえ、スーパーすばるちゃん人形を手にしました。次はクリスタルすばるちゃん人形をゲトりたいので、グットシット期待してね。」 な、なんなんだ、この文体は⁉ 続いて受賞作「みどりいせき」を読んで、また驚いた。受賞の言葉×100の自由すぎる文体が完成度をもって最後まで貫かれていたからだ。そして、ペンネームは「大田ステファニー歓人」。 私、大田さんの話していることがちゃん

    すばる文学賞・大田ステファニー歓人さん 1文字も書かないで「概念小説家」やってました 連載「小説家になりたい人が、なった人に聞いてみた。」#6|好書好日
  • 鴻巣友季子の文学潮流(第5回) 映画「バービー」は日本でうけてる? 「死」と「不安」のダブルミーニングを読み解く|好書好日

    自分ツッコミにあふれた世界 グレタ・ガーウィグ監督、マーゴット・ロビー主演の映画「バービー」(マテル・フィルムズ制作)が日でも公開された。玩具メーカー・マテル社が1959年から販売してきたドールを実写化した映画で、バービーたちが暮らすバービーランドには明るいピンクの街並みが広がり、おしゃれな装いの有能な女性たちが闊歩する。しかしその表層的意匠とは裏腹に、生きること死ぬことの意味をめぐり実存主義的な問いかけをも擁した作品だ。 「世界的大ヒット」と銘打たれているが、日の興行成績はそこまでではなさそうだ。まず、原爆の父を描いた映画「オッペンハイマー」と「バービー」をかけ合わせた、きのこ雲を使ったコラージュ画像に米国公式アカウントが好意的なリプライを付けたことがイメージダウンにいくらか荷担した感は否めないのだが、コメディ映画なのにゲラゲラ笑って観ている人が少ないのではないか? 私は東京近県のシ

    鴻巣友季子の文学潮流(第5回) 映画「バービー」は日本でうけてる? 「死」と「不安」のダブルミーニングを読み解く|好書好日
  • 世界17ヵ国で翻訳・出版の話題のバンド・デシネ『LA BOMBE 原爆』著者インタビュー【前篇】——広島への原爆投下までを克明に描く|じんぶん堂

    じんぶん堂TOP 歴史・社会 世界17ヵ国で翻訳・出版の話題のバンド・デシネ『LA BOMBE 原爆』著者インタビュー【前篇】——広島への原爆投下までを克明に描く 記事:平凡社 1945年8月6日、広島に原子爆弾が投下された。原爆ドーム(当時は広島県産業奨励館)が激しく燃え上がる。 書籍情報はこちら 『LA BOMBE 原爆』(上下巻、脚=ディディエ・アルカント、L.-F.ボレ、絵=ドゥニ・ロディエ、翻訳=大西愛子・平凡社) 日で刊行されるという意味 写真左より、脚を担当したディディエ・アルカント、L.-F.ボレ、絵を担当したドゥニ・ロディエ。 ボレの写真のみ© Fab Jouss ——この7月、日で『LA BOMBE 原爆』(上下巻)が刊行されます。日は世界で唯一の被爆国です。日で刊行されるにあたり、現在、どのようなお気持ちでしょうか。 ディディエ・アルカント(以下、アルカン

    世界17ヵ国で翻訳・出版の話題のバンド・デシネ『LA BOMBE 原爆』著者インタビュー【前篇】——広島への原爆投下までを克明に描く|じんぶん堂
  • 鴻巣友季子の文学潮流(第4回)「M」「ハンチバック」「月」が問いかける文学と当事者性|好書好日

    小説や詩に自分の経験したことしか書けないのであればフィクションは成立せず、すべてが実録文学になってしまう。当連載の第2回に、「人間の生を象る表現行為はすべて、他者に成り代わり代弁するという行為抜きには成り立たない。アザーネス(他者性)との向き合いと理解、エンパシーこそが芸術表現の質ともいえる」と書いた。虚構における当事者性と他者性はどのように関与しあうのだろうか? 『さようなら、オレンジ』(ちくま文庫)で鮮烈なデビューを果たした 岩城けいの「アンドウマサト三部作」が『М』(集英社)をもって完結した。父の転勤にともない小学生のときに 日からオーストラリアに移住した若い男性の苦闘の成長物語であり、移民文学と言える。 作中でマサトが強烈な違和感を抱くことがある。高校で演劇に出会った彼は大学でも映画エキストラのバイトを続けているが、回ってくるのはおかしな日人の役ばかり。在豪歴が長く、英語はネ

    鴻巣友季子の文学潮流(第4回)「M」「ハンチバック」「月」が問いかける文学と当事者性|好書好日
  • 綾辻行人さん×FF14・FF16吉田直樹プロデューサー対談 ミステリもゲームも「驚き」が命|好書好日

    綾辻行人さん(左)と吉田直樹さん=吉村智樹撮影 ミステリ小説で知った「驚き」 ――吉田さんは綾辻さんが書く小説の影響を強く受けていると聞きました。 吉田直樹(以下、吉田): そうなんです。中学時代に図書館で綾辻さんの『十角館の殺人』を借りて読ませていただいたのが始まりです。とにかく、「こんなに緻密なミステリが書けるものなのか……」と驚きました。常識をひっくり返されるというか、展開は予想するものの、結末に近づくにつれことごとくその予想が「気持ちよく」外れていく。あのときに受けた衝撃とカタルシスはいまだに忘れられないです。僕もゲームの脚を書いたり校正を行ったりしますが、プレイヤーに与えたいのは「驚き」です。そこは綾辻さんから受けた影響がめちゃくちゃ大きいのです。 綾辻行人(以下、綾辻):思わぬところで、自分が書いてきた作品がいろんなクリエイターさんたちに影響を与えている、と知る機会が増えまし

    綾辻行人さん×FF14・FF16吉田直樹プロデューサー対談 ミステリもゲームも「驚き」が命|好書好日
  • 「君たちはどう生きるか」宮崎駿監督が、新作映画について語っていたこと。そして吉野源三郎のこと|好書好日

    宮崎駿監督の新作「君たちはどう生きるか」ポスター=スタジオジブリのTwitterより 「私自身、訳が分からない」 「おそらく、訳が分からなかったことでしょう。私自身、訳が分からないところがありました」。 2023年2月下旬、東京都内のスタジオで上映された、「君たちはどう生きるか」の初号試写。米津玄師の歌うピアノバラードが流れ、エンドロールが終わった瞬間、灯りが点き、宮崎駿監督のコメントが読み上げられた。 客席から軽い笑い声が漏れた。私もその一人だった。あまりの展開の速さと、盛り込むだけ盛り込まれた情報を消化しきれず、茫然と座り込んでいたが、その言葉で我に返った。 これは「宮崎アニメ」の集大成なのか、吉野源三郎の著書『君たちはどう生きるか』の再解釈なのか。とにかく、1回見ただけではとても全容を把握できなかった。 「自分のことをやるしかない」 今回の作品は、公開前のプロモーションも、メディア関

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  • 文學界新人賞・市川沙央さん 「なにか職業が欲しかった」ままならぬ体と応募生活20年の果てに 「小説家になりたい人が、なった人に聞いてみた。」#1|好書好日

    第128回文學界新人賞 受賞作品「ハンチバック」 親が遺したグループホームで裕福に暮らす重度障害者の井沢釈華。Webライター・Buddhaとして風俗体験記を書いては、その収益を恵まれない家庭へ寄付し、Twitterの裏垢では「普通の人間の女のように子どもを宿して中絶するのが私の夢」と吐きだす。ある日、ヘルパーの田中に裏垢を特定された釈華は、1億5500万円で彼との性交によって妊娠する契約を結ぶ――。 療養生活という名の引きこもり 取材は市川さんが両親と暮らす自宅で行われた。お母さんに案内された部屋で、市川さんと目が合った瞬間、その射貫くような眼差しに気圧された。市川さんは筋疾患先天性ミオパチーという難病により、人工呼吸器を使用しているため、発話に大変な体力を使い、リスクもある。そのため取材も、あらかじめメールで回答をもらい、補足のみ、最小限お話いただく形をとった。 目力の強さはそれが市川さ

    文學界新人賞・市川沙央さん 「なにか職業が欲しかった」ままならぬ体と応募生活20年の果てに 「小説家になりたい人が、なった人に聞いてみた。」#1|好書好日
  • 「神憑り軍人」たちは何を信じたか 藤巻一保さん「戦争とオカルティズム」インタビュー|好書好日

    藤巻一保さん=撮影・北原千恵美 藤巻一保(ふじまき・かずほ)作家・宗教研究家 1952年、北海道生まれ。中央大学文学部卒。編集者を経て著述活動に入る。東洋の神秘思想、近代新宗教に関する著作を数多く手がけている。主な著書に『密教仏神印明・象徴大全』『役小角読』『秘説 陰陽道』『愛と呪法の博物誌』『偽史の帝国 “天皇の日”はいかにして創られたか』など。 異常な時代の正体を明らかにしたかった ――藤巻さんの『戦争とオカルティズム 現人神天皇と神憑り軍人』は、陰謀論や超古代史などのオカルトに魅了された旧日軍の軍人たちを通して、日を〈聖戦〉へと導いたイデオロギーに迫った異色の戦争裏面史です。執筆のきっかけを教えてください。 若い頃から秘教的な世界に興味があって、長年その分野のを書いたり編集したりしてきましたが、一方で日は神の国であるという信仰に支えられた明治から昭和までの日についてもず

    「神憑り軍人」たちは何を信じたか 藤巻一保さん「戦争とオカルティズム」インタビュー|好書好日
  • 特別公開:坂本龍一さん3万字インタビュー前編「音楽の大きなテーマは、亡くなった者を悼むということ」|じんぶん堂

    記事:平凡社 坂龍一さん(2013年5月撮影) 撮影:榎佳嗣 書籍情報はこちら バッハの「マタイ受難曲」を聴くと、まさに「音楽に救われる」という感じがする ――東日大震災と原発事故はだれしもにとってたいへんショッキングなできごとだったと思います。坂さんはどうお過ごしでしたか。 坂龍一:うーん……、直後はやっぱり、音楽を聴く気になれませんでした。 ――音楽家の方でも、音楽が聴けなくなるんですか。 坂:ええ、(音楽家には)きっとそういう人は多いと思いますよ。それで、ずいぶんと経ってから……、ひと月ほど経ってからかな、やっと聴いてみようかなと思ったのは。 ――そのときに、慰めや励ましになったもの、あらためて立ちかえったものってありますか。 坂:それは、やっぱりどうしてもバッハの「マタイ受難曲」です。僕のまわりの音楽好きでも同じようにいう人は多いけれど、やっぱり特別な曲ですね。「また

    特別公開:坂本龍一さん3万字インタビュー前編「音楽の大きなテーマは、亡くなった者を悼むということ」|じんぶん堂
  • 今なぜ哲学者スピノザ? 関連本の刊行相次ぐ 國分功一郎さん新書・全集は異例の売れ行き|好書好日

    國分功一郎さん 社会問題先取り 人の根底探る 岩波書店によると、國分さんの新書は現在2刷3万2千部。スピノザは西洋哲学の歴史上、デカルトやライプニッツと並び17世紀の合理主義の哲学者とされる。デカルトが残した哲学の根原理をめぐる著作を徹底して読み込むことを通して、自らの思索を深めた「読む人」という視点で、スピノザの思想をたどる。スピノザ全集の初回配『3 エチカ』も3刷6千部と、学術書では異例の売れ行きを見せている。岩波文庫のスピノザの主要著作(畠中尚志訳)もこれを機に重版したという。 國分さんは「構想から10年かかって出版にこぎつけた」と新書執筆の苦労を振り返る。スピノザは、國分さんにとって自らの哲学の道しるべとなる存在だ。『暇と退屈の倫理学』(2011年)や『中動態の世界』(17年)などでその思想を手がかりにしてきた。「この10年で読みが深まり、ようやくスピノザの生涯と思想を一の線

    今なぜ哲学者スピノザ? 関連本の刊行相次ぐ 國分功一郎さん新書・全集は異例の売れ行き|好書好日
  • 「今夜すきやきだよ」「今夜すきやきじゃないけど」谷口菜津子さんインタビュー 普通の結婚、本当の幸せって何?|好書好日

    谷口菜津子(たにぐち・なつこ)漫画家、イラストレーター 神奈川県出身。2022年、『今夜すきやきだよ』(新潮社)と『教室の片隅で青春がはじまる』(KADOKAWA)で第26回手塚治虫文化賞・新生賞を受賞。その他の作品に、『わたしは全然不幸じゃありませんからね!』(エンターブレイン)、『うちらきっとズッ友―谷口菜津子短編集―』(双葉社)、『うちのは仲が悪い』(KADOKAWA)など。月刊「コミックビーム」(KADOKAWA)で『ふきよせレジデンス』を連載中。 Twitter:@nco0707 噴き出た「結婚」への疑問をマンガに ――恋愛体質で結婚願望の強いあいこは、仕事はバリバリこなすけど家事は苦手。恋愛結婚に興味がないともこは、料理が得意だけど「いい奥さんになれるよ」と言われるたびにモヤモヤ。シリーズ1作目の『今夜すきやきだよ』では、そんな正反対なアラサー女子の共同生活を通して「普通の

    「今夜すきやきだよ」「今夜すきやきじゃないけど」谷口菜津子さんインタビュー 普通の結婚、本当の幸せって何?|好書好日
  • 新時代の「道徳の教科書」 千葉雅也  ――鳥羽和久著『君は君の人生の主役になれ』書評|じんぶん堂

    記事:筑摩書房 先生・友達・家族、そして、勉強・恋愛お金…。いま悩める十代に必要なのは、君自身が紡ぐ哲学だ。 書籍情報はこちら 書の元になるウェブ連載を読んでいて、特に僕が反応したのは、LGBTの社会的包摂に関する生徒会の話し合いの場面であり、僕はツイッターでそれを紹介したのだった。このあと述べるが、そこでは、当事者のサイドにおいては一部認識されているものの、マジョリティの支援者の立場では見落とされがちな問題が、生き生きとした対話形式で示されていた。 今回こうして、様々なトピックに糸が通され、質的に困難であり、苛烈でもある鳥羽さんの思考が、多くの人に届くだろう言葉でまとめられたことをお祝いしたい。 難しいことを、わかりやすく伝えなければならない。その今日的試みに新たな一冊が加わった。書は、今読まれるべき新時代の「道徳の教科書」だ。 「生きる」というこの総合的事態について、リスクを冒

    新時代の「道徳の教科書」 千葉雅也  ――鳥羽和久著『君は君の人生の主役になれ』書評|じんぶん堂
  • 「恋じゃねえから」渡辺ペコさんインタビュー 創作や恋愛は特別ではない、いびつな抑圧をひっくり返す |好書好日

    『恋じゃねえから』(©渡辺ペコ、講談社) 40歳の主婦・茜は、ある日、中学時代に通った学習塾の講師・今井が彫刻家になったことを知る。彼が発表した少女像は、かつての親友・紫の姿によく似ていた。蘇る26年前の記憶。14歳の頃、紫は今井“先生”と恋をしていた……はずだった。当時今井が撮影した紫のヌード写真をきっかけに、それぞれの生活を送っていた3人の人生が再び交差する――。「これは私の、後悔と過ちに挑む物語」。 渡辺ペコ漫画北海道生まれ。2004年、「YOUNG YOU COLORS」(集英社)にて『透明少女』でデビュー。以後、女性誌を中心に活躍。繊細で鋭い心理描写と絶妙なユーモア、透明感あふれる絵柄で、多くの読者の支持を集める。2009年、『ラウンダバウト』(集英社)が第13回文化庁メディア芸術祭審査委員会推薦作品に選ばれる。2020年に完結した『1122(いいふうふ)』(講談社)は、夫婦

    「恋じゃねえから」渡辺ペコさんインタビュー 創作や恋愛は特別ではない、いびつな抑圧をひっくり返す |好書好日
  • 古家正亨さん「K-POP バックステージパス」インタビュー 韓流の伝道師として四半世紀、日韓は「絶対に理解しあえる」(前編)|好書好日

    HOME インタビュー 古家正亨さん「K-POP バックステージパス」インタビュー 韓流の伝道師として四半世紀、日韓は「絶対に理解しあえる」(前編) 古家正亨さん=斎藤大輔撮影 古家正亨(ふるや・まさゆき) 1974年生まれ、北海道出身。上智大学大学院文学研究科新聞学専攻博士前期課程修了。カナダ留学を経て98年に韓国留学。帰国後K-POPの魅力を伝える活動を、マスメディアを中心に展開。2009年には日におけるK-POPの普及に貢献したとして、韓国政府より文化体育観光部長官褒章を受章。日で開催される韓流・K-POPイベントのMCとしても知られるほか、ニッポン放送「古家正亨 K TRACKS」、NHK R1「古家正亨のPOP☆A」など数多くのラジオ、テレビ番組を担当。著書に『ALL ABOUT K-POP』(ソフトバンククリエイティブ)、『Disc Collection K-POP』(シン

    古家正亨さん「K-POP バックステージパス」インタビュー 韓流の伝道師として四半世紀、日韓は「絶対に理解しあえる」(前編)|好書好日
  • うそ社会 軽やかに適応 宮台真司「制服少女たちの選択」|好書好日

    写真・飯塚悟 宮台真司(みやだい・しんじ)社会学者 首都大学東京教授。1959年生まれ。東京大大学院博士課程修了。国家権力からサブカルチャーまで扱う領域は広く、著書多数。93年、朝日新聞で女子中高生をめぐるいわゆるブルセラ論争に火をつけた。3人の子どもの父親で、近年は子育てについても積極的に発言している。近著に『ウンコのおじさん』『正義から享楽へ』。 30代半ばに書いたです。女子中高生が援助交際をしたり、ブルセラショップで制服や下着を売ったりしている当時の現象を、個別の道徳意識や成育環境の問題として考えるのではなく、社会システムの問題として分析しました。 この問題に関心を持ったのは1992年に女子高校生からカミングアウトされたからです。最初は特殊な話かと思いましたが、いざ渋谷で声をかけ、ツテをたどって調査を始めると、そうじゃないことにすぐ気づきました。 実はショックでした。女の子の売春に

    うそ社会 軽やかに適応 宮台真司「制服少女たちの選択」|好書好日