フィッツジェラルドの直筆原稿が強奪された! 事件の鍵を握るのは独立系書店の店主!? 全米ベストセラーとなった、作家ジョン・グリシャムの『「グレート・ギャツビー」を追え』。昨月刊行された日本語版の翻訳者は、村上春樹さんだ。翻訳を手がけるきっかけとなったのは不思議な縁からだそうで……。『「グレート・ギャツビー」を追え』(中央公論新社)の「訳者あとがき」を特別に配信する。 二年ほど前、ポーランドを旅行しているとき、途中で読む本が尽きてしまった。それでクラクフの街の書店にふらりと入って、英語の本が並んだコーナーを物色していたら、たまたままだ読んだことのないジョン・グリシャムのペーパーバックが目についた。タイトルは “Camino Island” という、どちらかという素っ気ないものだったけれど、裏表紙に書かれている内容要約を読んで、強く興味を引かれることになった。こういうものだ。 「文学史上最も大