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1994年に発売された家庭用ゲームハード「セガサターン」。つい先日、その開発機を入手したというユーザーの記事を掲載しましたが、その流れで当時開発環境に関わっていた大岡良樹さんと話す機会に恵まれました。 開発機についての誤った情報(初代開発機と紹介していたものが実は三号機だった)を指摘いただくという形での出会いでしたが、これはある意味思いも寄らぬ事態。 せっかくなので、開発機の詳細な説明や、当時の開発環境等について聞いてみたいと思い、インタビューを申し込んだところ、快く承諾いただいたので、色々質問してみることにしました。 その前に、大岡さんとやりとりをするきっかけとなった「開発機」について簡単に説明しておきますと、前回記事で紹介したものは本体に「PROGRAMMING BOX」と書かれた、開発機として三代目にあたる機器でした。 前二代は貸し出しで管理されていたことに対し、三代目は売り切りでリ
[インタビュー]SC-3000&SG-1000発売40周年! セガハードを支えた石川雅美氏,奥成洋輔氏,堀井直樹氏がセガハード史を語る 編集部:早苗月 ハンバーグ食べ男 本日(2023年7月15日)は,セガ・エンタープライゼス(当時)からホビーパソコン・SC-3000および家庭用ゲーム機・SG-1000が発売されてから40周年を迎える節目の日となる。 今日の4Gamerには赤くて白いゲーム機の記事が何本か載っているはずだが,そんなことよりセガハードである。ドリームキャスト,セガサターン,メガドライブ……それらの始祖たるSC-3000&SG-1000こそ,我らが本日の主役。7月15日はセガハード記念日であり,それ以外の大抵のことは些事である。あっちの記事の機材提供も筆者だったりはするが,それはそれ,これはこれだ。 これを機に,改めてセガ8bitハード時代の裏側を探るべく,SG-1000IIか
初の国産RPG群の誕生からまた数年後、いよいよ1986年に『ドラゴンクエスト』がファミリーコンピュータ(ファミコン)専用ソフトとして発売されます。ここまでの『ローグ』『ウルティマ』『ウィザードリィ』『ザ・ブラックオニキス』『夢幻の心臓』そして『ドラクエ』、これらのRPGをプレイ画面のデザインで比較してみると、『ドラクエ』で突然、ポップな絵柄になるのがわかると思います。 このビジュアル的変化は、当時『Dr.スランプ』『ドラゴンボール』で時代の寵児となっていた鳥山明さんによるキャラクターデザインのポップさによる部分が大きいですが、ドラクエはそれ以外にも様々な作品的工夫と緻密なプロデュース戦略によって「マニアの趣味」だったRPGという遊びを、「大衆娯楽」というポピュラーな地位まで一気に押し上げることに成功しました。 これが初代『ドラクエ』の大きな功績です。 実際にファミコン用ソフトの初代『ドラク
──そのころは集英社の会議室に堀井さんが夕方6時ごろに現れて、夜の10時から原稿を書き始めていたとか……。 堀井氏: そうなんです、エンジンがかかるのが遅くて(笑)。 鳥嶋氏: でも、いざ書き始めると1時間くらいで書き上げちゃうんですよ。で、素晴らしいのは書き上がった原稿はほぼ直しが必要ないところ。 ──鳥嶋さんいわく“天才ライター”と。 鳥嶋氏: 僕と知り合うまでの堀井さんは、少女誌の「セブンティーン」というところでお仕事をされていたんですよ。で、少年誌の「ジャンプ」に来たらすぐにこっちの文体にパッと切り替えられるの。本当にすごいですよね。 堀井氏: 根がお子様だから……(笑)。 ──いや、でも最初から「物を書く」才能がお有りだったということではないでしょうか。 堀井氏: 僕はもともと、マンガ家志望だったんです。それからマンガの原作とかをやって、その後に雑誌のライターとして働き始めたとい
アプリのセールスランキングに名前が載っているのだから、比較対象は同じくそこに名を連ねている作品であるべきなのだが、本稿ではそれを基準に考えることに対して提言を試みたい。ひとくちに「スマホゲー」と言っても、そこにある体験は千差万別である。したがって、そこに当てはめて考えることによって解像度が下がる作品もあるはずだ。 筆者は『原神』や『崩壊』シリーズがそれに当たると考えている。中国出身の友人(日本のゲーム会社に務めているアラサー世代)いわく、「日本と中国におけるゲーム作りは根本から考え方が違う」という。多くの場合、日本のゲームメイカーは「スマホゲーム」として制作する場合、明確にスマホ用として開発する。一方、中国のゲームデザインは、先にゲームの体験や内容から考えるという。そこにコンシューマかスマホかといった区別はなく、それゆえにマルチプラットフォームであることが求められるのだと。これについては『
[インタビュー]日本テレネットとは何だったのか。「テレネット シューティング コレクション」を記念し,3スタジオ+αの元スタッフが当時を語る 編集部:早苗月 ハンバーグ食べ男 エディアから2023年6月8日に発売された「テレネット シューティング コレクション」は,かつて日本テレネット(※1)から発売されたメガドライブおよびPCエンジン向けのシューティングゲームを4タイトル収録したものだ。 ※1 1983年から活動し,2007年に事業停止した企業。「夢幻戦士ヴァリス」シリーズや「天使の詩」シリーズなどで知られる。なお,読みは“にほんてれねっと”であり,MSX用のパソコン通信サービス「THE LINKS」などを提供していた現存企業・日本テレネット(にっぽんてれねっと)とは別。 日本テレネットは,8〜16bit PCユーザーを中心に知られたメーカーだが,特定のタイトルや在籍していた個人はまだし
アドベンチャーゲームは、やはり“独自性のあるシステムとストーリーが混然一体となった作品”こそが面白い……! 筆者のみならず、そうした唯一無二性を求めてやまないゲーマーの方々も多いはずだ。具体的なタイトルを出してみよう。 コマンドを入力して地下迷宮を探索する『Zork』、コマンドを選択して殺人事件を解決する『オホーツクに消ゆ』、選択肢がある小説を読み進める『弟切草』、美しい島でマウスでクリックしながらパズルを解いていく『Myst』、過去を調査して名簿を完成させる『Return of the Obra Dinn』、未知の言語を解読する『7 days to end with you』……。 これらをざっと並べたとき、ゲームシステムという観点でみるとほとんど「別ゲー」であることに気付く。たとえばアクションゲームだと反射神経を用いてキャラクターなどをうまく制御しつつ、クリアしていくゲームシステムが根
1980年代前半。私が中学生の頃ですが、マイコン(今のパソコン)ブームというのがありました。NHK教育テレビで「マイコン入門」が始まり、マイコン雑誌『I/O』や『ASCII』『RAM』など、全国のマイコン少年が読みあさっていたものです。 その主な目的は、もちろんゲーム! 当時はイトーヨーカドーの家電売り場にPC-8001やベーシックマスターJr.が置いてあり、それらのマイコンへ「雑誌に載っているマシン語リスト」を一日がかりで手で打ち込み、タダでインベーダーを遊ぶという作業を延々とやっておりました。今では信じられない手間ですが、私世代のマイコン少年はみんな心当たりがあるでしょう。 当時は秋葉原のラジオ会館がマイコンの聖地で、NECのBit-INNがあり、海外ではアップル2のゲームが憧れの的でした。やがて私は塚越一雄氏の解説本でZ80のマシン語をマスターし、高校2年生のときにPC-8801用の
[インタビュー]「ディアブロ IV」開発陣インタビュー。オープンワールドを導入するハックアンドスラッシュの金字塔は,誰もが楽しめるものに ライター:箭本進一 地獄の扉が再び開かれる。2023年6月6日の発売を控えたアクションRPG「ディアブロ IV」(PC / PS5 / Xbox Series X|S / PS4 / Xbox One)の開発陣に合同インタビューが行われた。ハックアンドスラッシュの金字塔と呼ばれる同シリーズの最新作を開発することの苦労,そして新たな伝説を作り出していく意気込みが語られた。 「ディアブロ IV」公式サイト プレイヤーと共に「ディアブロ IV」を良くしていきたい 「ディアブロ IV」は無数のモンスターを倒して装備を手に入れ,さらなる強さを目指していくアクションRPG。ハックアンドスラッシュ(ハクスラ,トレハン)ジャンルの代名詞とも言える「ディアブロ」シリーズの
私は今も『ガンパレード・マーチ』の企画説明会のことを思い出しては、一人で笑う時があります。社長よりも誰よりも偉そうな芝村が、人の魂をPSの上に出現させると宣言したときの会議場の沈黙と静寂を、私はハッキリと、覚えています。 『電撃ガンパレード・マーチ』 スタッフコメントより 2000年、9月28日。そんな初代プレイステーションの最末期、まさに「人の魂をPSの上に出現させた」タイトルがあった。その名も『高機動幻想 ガンパレード・マーチ』(以下、『ガンパレ』)。 熊本を舞台に、謎の生命体「幻獣」との戦いに動員される学生の姿を描くシミュレーションでありながら、特筆すべきはその「自由度の高さ」。 ものすごく端的に言えば、「生き残りさえすればゲーム中は何をやってもいい」という全く制限を感じさせない自由度の高さに加え、AIによって制御された「人間味のあるNPC」も、その学園生活と独自のゲーム体験を彩る。
冷静に考えてみると、「同じ開発部署の中で、ふたつの超大作RPGの制作が並行している」とは、どういうことなのか。いや、「そんな状況あってたまるか」と思うかもしれないが……それは、スクウェア・エニックスの第三開発事業本部で実際に起きていた。 ついに発売が間近に迫る『FINAL FANTASY XVl』(以下、『FF16』)。そして、今もなお全世界で光の戦士を増やし続けているMMORPG『FINAL FANTASY XlV』(以下、『FF14』)。そんな「ふたつのFF」の開発が、スクエニの第三開発事業本部ではここ何年も並行していたらしい。 しかも、開発メンバーも一部同じである。プロデューサーの吉田直樹氏、サウンド担当の祖堅正慶氏など……今作はある意味、『FF14』ユーザーにとっては「お馴染み」とも言えるメンバーが集結している。 だが、冷静に考えてみるとおかしい。そもそも、「ひとつのナンバリングF
町山智浩さんが2023年4月4日放送のTBSラジオ『こねくと』の中でApple TV+で配信中の映画『テトリス』を紹介していました。 (石山蓮華)よろしくお願いします(笑)。あの町山さん、おすすめの映画をご紹介いただきたいのですが。今日は、どんな作品でしょうか? (町山智浩)今日はね、ファミコンってわかります? (石山蓮華)はい、わかります。 (でか美ちゃん)わかります、わかります。 (町山智浩)でも、ファミコンってなくなったのって90年代半ばぐらいですよね? (でか美ちゃん)物心ついた時に、最初に九つ上の兄と一緒にやったゲームは、スーパーファミコンでしたね。スーファミ。スーファミはめちゃめちゃちゃんと記憶にあるんですけど。その元のファミコンは、なんだろう? 展示とかでしか見たことないです。 (石山蓮華)そうですね。 (町山智浩)ああー。ゲームはなにをやりました? (でか美ちゃん)私はね、
新しく作る部分と変えるべきではない部分 ――発売から半年が経過しました。発売3日で345万本、12月までに全世界で1000万本という販売本数を記録していますが、ここまでどのように感じていますか? 井上たくさんの方に手に取っていただけていて本当にうれしいというのが正直な感想です。 『スプラトゥーン』という比較的若いIPを、定番タイトルとして確立したいという大きな目標があったので、そのための第一歩が踏み出せたのかなと考えています。 野上発売時点では『2』から遊び続けてくださっていた方が多かったのですが、年末あたりから初めて『スプラトゥーン』を遊ばれる方も多くなり、コミュニティーの年齢層もより幅広くなっていると感じています。 佐藤私の周辺でも、これまでシリーズをプレイしていなかった方が熱中してくださっていてうれしいです。 ――『3』からの新規ユーザーが増えている反面、既存ユーザーからはアップデー
「セガのIPを拡大し、世界のモバイルゲーム市場でより多くの人々にリーチできるよう支援するアイデアにわくわくしています」 5月2日、フィンランドで開かれたプレスカンファレンス。現地のゲーム会社「ロビオ・エンターテイメント」(以下、ロビオ社)のアレクサンドル・ペルティエ・ノーマンドCEO(最高経営責任者)は、そう口にした。 セガサミーホールディングス(HD)傘下のセガは4月中旬、ロビオ社を買収することを発表した。イギリス子会社を通じて、5月から株式公開買い付けを行う。買収総額は7.06億ユーロ(約1037億円)に上り、資金はすべて手元現金から捻出する予定だ。 セガはこれまでにも海外の開発スタジオを複数買収し、売り上げ規模を拡大してきた。 2005年には「Total War」シリーズを開発したイギリスのCreative Assemblyを、翌年2006年には同じくイギリスに本社を置き、サッカーゲ
コジマプロダクションに,サウジの王子がやってきた――「もし小島監督のゲームに入れたとしたら,僕がやったことの中で一番素敵な経験になると思います」 編集長:Kazuhisa カメラマン:佐々木秀二 早めに咲いた今年の桜がまだ残っている春先に,サウジアラビアのフェサール王子から久しぶりに連絡が入った。 聞けば,近々来日予定があるので,ぜひ小島監督に会いたいのだがアテンドできないかとのこと。さすがに相手が相手だけに「お任せください」と即答はできなかったが,とりあえず聞いてみますとお答えした。 さて正面からコジマプロダクションに聞いてみようとは思ったものの,なんて言えばいいのだろうか。「サウジの王子が小島監督に会いたいそうです」「サウジの王子が時間くれないかと言ってます」 ……どちらもなんか違う気がする。 フェサール王子が大変にゲーム好きなのはよく存じているし(メタルギアもメタルギアソリッドもかな
1990年なかば~2000年初頭のゲーム業界を見てきた方であれば、誰もが知っているといっても過言ではない著名なゲームクリエイターだ。 代表作は 『Dの食卓』(1995年) 『エネミー・ゼロ』(1996年) 『リアルサウンド〜 風のリグレット〜』(1997年) 『Dの食卓2』(1999年) などが挙げられる。飯野氏及び自身が代表を務めていたWARP(ワープ)の作品はそのどれもが個性的で、既存のゲームの枠に囚われない自由な発想を具現化した作品が多い。 Amazon.co.jpで『Dの食卓』を検索する そういう意味でも飯野氏の作品は、我々ゲームファンに常に驚きを与え続けてくれた。読者の中にも、当時、飯野氏の作品に衝撃を受けたという方もいたはずだ。 そんな飯野氏だが、1999年発売のドリームキャスト用ソフト『Dの食卓2』を最後にゲーム制作から離れ、その後はブログなどでも語られているように、Twit
無論、ゲーム機の名前だけを言う人もいる。「最初に遊んだのはスーファミ(スーパーファミコン)かな」とか。そうしたら、スーファミで何を遊んでいたのかと、ゲームの話をきっかけに会話が弾むことも多いが、若い世代ともなると知らなかったり、実際に遊んだことがなかったりするゲーム機がぽつぽつと出てくることがある。 Amazon.co.jpでテレビゲームを調べる そんな筆者も平成生まれであるためか、実際に遊んだことがないハードは多々存在する。読者諸氏でハード発売時に生まれていても、子どもだったから買えなかったとか……いろいろあると思う。 いまから実際に遊ぼうとすれば、大変な代物もあるだろう。しかし、ここはゲームメディアの編集部。当然、昔のゲームを遊び、その当時の事情を知るベテラン編集者たちもいる。そんな人たちに当時の話を聞こう、そうしようと思い立ったのが本企画だ。 もっともらしい建前をつけるならば、先達の
「真・女神転生」誕生の経緯について「女神転生」原作者の西谷 史氏が語る。1980年代の徳間書店,任天堂,ナムコ,アトラスを巡った合縁奇縁 編集部:早苗月 ハンバーグ食べ男 「女神転生」の原作者として知られる作家の西谷 史氏が,自身のTwitterで「真・女神転生」誕生の経緯について言及し,話題となっている。 それによると,大まかな経緯は「徳間書店が『女神転生』のIP活用に否定的だったため,アトラス(旧法人)が商標を獲得して『真・女神転生』を開発した」というものだ。 ATLUSのexecutiveに会う前に、僕の法的な代理人がこう言った。 「徳間書店は、いつになっても女神転生2を作ろうとしない。だからATLUSは、直接あなたの原作小説からゲームを作りたいと言っていますよ。どうしますか?」 pic.twitter.com/GEACnUqBcj— Aya Nishitani 西谷史 (@ayan
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