あなたの高校2年の終わりの頃を思い出してほしい。いよいよ高校生活も最後という年度を前に、希望とともに不安もあったかもしれない。 そしてあなたはサッカーがうまく、Jクラブでトップに昇格できそうな生徒だと想像してほしい。どうやら高校生ながら試合にも出してもらえそうだ。いつ試合に出られるだろうか。最初はベンチ入りできるだろうか……。開幕を1週間後に控え、きっとあなたの胸は高鳴ることだろう。 ところが、そう思っていた2週間後、あなたは韓国にいる。冷たい雨の降る中、テレビで見ていた屈強な選手が容赦なく襲いかかってくる。信じられないスピードで動く相手についていかなければならないだけではない。相手から厳しいチャージを受け、身体のあちこちは傷んできた。ベンチを見ても交代させる気配はない。そして逃げることも許されない。なぜなら日本を代表して戦っているからだ――。 そんな思いをしてプロになったのが市川大祐だ。