視覚からの情報がヒトの温度感覚にも影響するとの実験結果を、東京大の横澤一彦教授(56)=心理学=のグループが、7日付の米科学誌「PLOS ONE(プロス・ワン)」のオンライン版に掲載した。 実験は21〜23歳の男女計20人に実施。被験者の目の前に置いた作り物の手と、被験者の手に同じ刺激を10分間与えて、作り物を自分の手と錯覚させた。そのうえで、作り物の上に室温のプラスチックを置いて取り除いた後、今度は氷を置き、温度の変化をどう感じたかを調査した。 本物の手には温度変化がなかったにもかかわらず、20人中15人が「自分の手が冷たく感じた」と回答した。 さらに、氷の後にプラスチックを置くと、18人が「温度が上がった」と答えた。 横澤教授は「これまでは、視覚は皮膚の温度感覚に影響を与えないと考えられてきたが、視覚情報は処理が早く正確で、あいまいな皮膚の温度感覚を補っているようだ」と説明した。【斎藤