ブックマーク / kamiyakenkyujo.hatenablog.com (23)

  • 伊藤整「組織と人間」 - 紙屋研究所

    「組織のようなものにしばられたくない」と若い人たちがどんどん表明しだしたのは、大学での学生運動が下火になりつつあった1970年代後半以降だろう。1980年代は「政治の季節」が去って、個人主義・消費社会へ…と総括されることがあり、そういう単純な総括自体には違和感はあるけども、組織や社会との対立という形で個人の尊厳を重んじる感覚が社会や新しい世代に格的に根づき始めたとは言えるだろう。 「今日ではほとんど常識」 伊藤整が「組織と人間——人間の自由について」と題して講演し、組織と人間を対立の構図のうちにとらえて、人間=個人の側からの絶望的とも思える抗議をしたのが評論である。『小説の認識』の中に収められている。 1953年の講演だから、問題意識としてはかなり早くに提起されたものだ。 小説の認識 (岩波文庫 緑 96-5) 作者:伊藤 整 岩波書店 Amazon 曾根博義の解説でも チャタレイ裁判

    伊藤整「組織と人間」 - 紙屋研究所
  • ハラスメント被害者を「厄介者」扱いする組織 - 紙屋研究所

    しんぶん赤旗1月22日付 しんぶん赤旗1月22日付に「自衛隊セクハラ 深刻さ告発」「現役隊員の国賠訴訟」という記事が載った。 航空自衛隊那覇基地でベテラン隊員から受けたセクハラに対して組織が不利益防止措置などをとらなかったとして、昨年2月に国を相手に損害賠償請求を起こした(しんぶん赤旗1月22日付) という事件である。ハラスメント加害者であるベテラン隊員はA、訴えたCさんは現役自衛官だ。すでに、AがCさんに対して起こした反訴の地裁判決では、Aの訴えを棄却し、AのCさんに対して行った「セクハラの事実をおおむね認めました」(同前)。 この裁判を起こしたCさんは裁判の意義をこう語っている。 被害を告発した人に不利益を与え、被害を隠蔽する自衛隊の深刻な実態を社会に知らせたい(同前) (1)被害を告発した人を徹底的にバッシングする(2)被害を隠蔽する、という抑圧的な組織体質に注目した。 自衛隊だけで

    ハラスメント被害者を「厄介者」扱いする組織 - 紙屋研究所
  • ローズマリー・サリヴァン『スターリンの娘 「クレムリンの皇女」スヴェトラーナの生涯』 - 紙屋研究所

    スターリンの娘、スヴェトラーナ・スターリナあるいはスヴェトラーナ・アリルーエワの生涯を知ったとき、その激しさと寂しさに、複雑な思いがこみ上げてくる。 スターリンの娘(上):「クレムリンの皇女」スヴェトラーナの生涯 作者:ローズマリー・サリヴァン 白水社 Amazon 前半生は、ソ連体制下で母親をはじめ、親しい人々が自殺や迫害など次々と横死する。後半生は、ソ連の抑圧体制から逃れて亡命し、アメリカ移住するが、結婚離婚を繰り返し、著作によって手に入れた財産を失ってしまう。 後半生は必ずしも抑圧政治のもとでの不幸ではない。しかし、ソ連崩壊まではソ連当局やKGBの魔の手が絶えず彼女の行く手に現れ、そのことに怯える。 やがて、彼女は西側に幻滅し、ソ連に戻ってしまう。アメリカで生まれた娘・オルガとともに。しかし、そこでもまた彼女の望んだ幸福は得られない。彼女は再びソ連を出国し、アメリカの老人ホームで

    ローズマリー・サリヴァン『スターリンの娘 「クレムリンの皇女」スヴェトラーナの生涯』 - 紙屋研究所
    anatadehanai
    anatadehanai 2024/03/06
    "檻を破ろうした個人主義のまぶしいばかりのほとばしり、そこに漂う悲哀こそが、むしろ今のぼくの心を打つ。"
  • 倉沢愛子『インドネシア大虐殺』 - 紙屋研究所

    東南アジア関連のを読んでいて、“インドネシアは一番民主的な国”という評価をみた。 ぼくの記憶の中に「インドネシアでは共産党員が200万人くらい虐殺されていたと思うけど…」という断片が浮かび上がる。 むろん、それは「昔」の話のはずだから、そのままではあるまい。 いったい、あの事件はどういうもので、今どんな評価がされているのか。そして政体や政治的空気はどうなっているのか知りたいと思っていた。 そこで書を手に取った。 2020年というごく最近に出たであったが、ぼくは知らなかった。 インドネシア大虐殺-二つのクーデターと史上最大級の惨劇 (中公新書) 作者:倉沢 愛子 中央公論新社 Amazon この事実を聞いたこともないという人も多かろう。事件の概要は次のとおり。 https://www.jcp.or.jp/akahata/aik12/2012-07-29/2012072907_01_1.

    倉沢愛子『インドネシア大虐殺』 - 紙屋研究所
    anatadehanai
    anatadehanai 2024/01/23
    "権力を握っている支配層の人間が巧みに情報を統制して、構成員を扇動するという光景は、国家というステージでなく、巨大な組織体の中でも起こりうる事態である。"
  • 松本清張『或る「小倉日記」伝 傑作短編集〔一〕』 - 紙屋研究所

    リモート読書会は松清張『或る「小倉日記」伝 傑作短編集〔一〕』である。「或る『小倉日記』伝」だけではなく、それに収められた短編全体を読むことになった。 或る「小倉日記」伝 傑作短編集1 (新潮文庫) 作者:清張, 松 新潮社 Amazon 恥ずかしながら、松清張で読んだことがあるものはほとんどない。 つれあいと春に松清張記念館に行ったことがきっかけで、有名どころをいくつか読み、映画などもネットで観た。正直、なんという読みやすさ、面白さだろうかと感動した。 読書会では、参加者から口々に父が熱心なファンだったとか、母の棚にたくさんあったとか、親がよく読んでいた、というエピソードが聞かれた。 つれあいがファシリテーターで、松の『半生の記』も読んでいたために、彼の年表をもとに、貧しくて学歴がなく辛酸を舐めさせられた話や、42歳で処女作『西郷札』を書き、44歳で『或る「小倉日記」伝』によ

    松本清張『或る「小倉日記」伝 傑作短編集〔一〕』 - 紙屋研究所
    anatadehanai
    anatadehanai 2023/12/31
    "「何者にもなれない自分」ということを本気で怖がっている松本清張がそこにはいるのである。  その一面性がすごくいい。"
  • 『ブハーリン裁判』『共産主義とは何か』 - 紙屋研究所

    『夫ブハーリンの想い出』のブログ記事のところで述べたことを、もう少し詳しく書いておきたい。 無実の罪によって銃殺されるブハーリンは、さぞや自分の裁判で、自分は冤罪であることを力説しているであろう、と思って、その裁判記録である『ブハーリン裁判』を読むのだが、いきなりブハーリン自身が自分の有罪を認めてしまうので、読んでいるぼくとしては当にたまげてしまう。 ブハーリン裁判 (復刊ライブラリー) 作者:ソ連邦司法人民委員部,トロツキー 風塵社 Amazon ブハーリン裁判 (1972年) Amazon これはブハーリンのであったラーリナがブハーリンの裁判記録を読んだときに感じた衝撃とたぶん似ているのであろう。 『ブハーリン裁判』では、ブハーリンに対してスターリニスト中のスターリニストである検事ヴィシンスキーが訊問を行なっている。例えばそのやりとりの冒頭の一部分は、次の通りなのだ。 ヴィシンスキ

    『ブハーリン裁判』『共産主義とは何か』 - 紙屋研究所
    anatadehanai
    anatadehanai 2023/11/06
    "「このタイトルは『共産主義とは何か』なんやけど、そこに込められてる意味は、『共産主義とは何であってはならないか』ってことなんやな」"
  • アンナ・ラーリナ『夫ブハーリンの想い出』 - 紙屋研究所

    長い休みの間、不破哲三『スターリン秘史』を読み直し、スターリンの大テロルについて関連のをあれこれ読んでいる。 不破のの中で紹介されているのが、書である。 ぼくは身近にいる、ある左翼活動家の女性に「ブハーリンって知ってますか?」と聞いたのだが「いえ、知りません」と言われた。ぼくと同じくらいの年代で、ぼくと同じくらいの活動歴がある、のに。そっかー。 夫ブハーリンの想い出 上 作者:アンナ ラーリナ 岩波書店 Amazon ニコライ・イヴァノヴィチ・ブハーリンは、ロシア革命の指導者の一人で、理論家肌のボルシェヴィークである。スターリンの大テロルの犠牲となり、無実の罪を着せられて1937年に銃殺される。フルシチョフのスターリン批判の際にも名誉回復がなされず、ゴルバチョフのペレストロイカのもとで1989年にようやく名誉回復がなされた。もっともその2年後にソ連共産党は解体してしまうのだが。

    アンナ・ラーリナ『夫ブハーリンの想い出』 - 紙屋研究所
  • 首都圏青年ユニオン「ニュースレター」2023年9月号の感想 - 紙屋研究所

    首都圏青年ユニオンのニュースレター2023年9月号の(vol.271)の感想です。 いつも面白く読んでいることは、このブログでもたびたび書いてきましたが、 皆さんのニュースレターへの感想やご意見をお待ちしています と終わりのページに書いてあったのに気づき、封筒にも書いてあったから、では思ったことを書いておこうか、と思った次第です。 こういう一文をつけておくことは無駄ではありません。ぼくのような人間もいるからです。 2つの記事にしぼります。 一番面白かったのは、「焼肉店アルバイトの大学2年生の初団交」という記事でした。 何が面白いかって、成果をいろいろ勝ち取っているからです。 具体的には 1分単位の給与計算を行わせ、過去の分もさかのぼって支払う。 有給について周知する。 制服を組合員・希望者にはかかった費用を払う。 着替え時間にかかる賃金を、平均を算出し支払う。 このように、賃上げについては

    首都圏青年ユニオン「ニュースレター」2023年9月号の感想 - 紙屋研究所
    anatadehanai
    anatadehanai 2023/11/05
    "イスの設置すら見直さないというのは、本当に君たちスターバックスは「グローバル人権宣言」をしているカフェ業界最大手企業なのか?"
  • Zip Zap Zopってなんだ? - 紙屋研究所

    今日付の「しんぶん赤旗」を読んでいたら、アメリカの俳優・脚家組合がストライキをしている記事があった。 それに添えられている写真(記事は赤旗編集部のもので、おそらくこの写真だけロイター配信)で、参加者が「I bet Bob Iger doesn’t even know how to play Zip Zap Zop.」というプラカードを掲げていたのであるが、意味がわからなかった。 日付「しんぶん赤旗」より(写真はロイターの配信) 記事中にもこのプラカードについてのキャプションに当たるものはなかった。 はじめぼくは「I bet」がわからなかった。「I 」が数字の「1」に見えたので、「1 bet? 何かを賭けているとかそういうことの比喩なのかな…?」と疑問に思った。 そのあとの「Bob Iger doesn’t even know how to play Zip Zap Zop」は「does

    Zip Zap Zopってなんだ? - 紙屋研究所
  • 坂本貴志『ほんとうの定年後 「小さな仕事」が日本社会を救う』 - 紙屋研究所

    貴志『ほんとうの定年後 「小さな仕事」が日社会を救う』(講談社新書)はなかなか刺激的なである。政治的に見れば日の高齢者政策の根的な問題点を指摘したくなることもあるが、そうした「大きな視点」をひとまず脇において、読んでみる。 ほんとうの定年後 「小さな仕事」が日社会を救う (講談社現代新書) 作者:坂貴志 講談社 Amazon サブタイトルで大体言いたいことの質を言っているとは思うが、坂によれば、政府統計では、リタイア年齢である65歳から69歳までの世帯(2人以上)定年後の月収は年金を中心に25万円。他方で支出額は32.1万円。7〜8万円の収支差がある。 逆に言えば、月10万円稼げる仕事があれば、貯金の有無にかかわらず、「余裕のある」生活ができるということになる。 十分な年金を保障せず、年老いても働かせる社会が「地獄絵図」という批判は承知しているし、ぼくもそう思うところは

    坂本貴志『ほんとうの定年後 「小さな仕事」が日本社会を救う』 - 紙屋研究所
    anatadehanai
    anatadehanai 2023/06/06
    "「小さな仕事」が現役世代の収入を押し下げたりする危険もある。例えば「高齢者の生活の足し」ということにされて、介護職の賃金が全く上がらなくなる恐れ" ここがな……「主婦パート」業種とかですでにある問題。
  • 長い休み - 紙屋研究所

    長い休みに入った。 休み明けの日は一応決まっているけども、当にその日に休みが明けるのかどうかはよくわからない。これまでの人生では、そんなことはなかったのである。 休んでいる今、思い出し、読み返すのは大西巨人『神聖喜劇』だった。 神聖喜劇〈第1巻〉 (光文社文庫) 作者:大西 巨人 光文社 Amazon 戦争が始まって対馬の部隊に入隊し、そこで出会った様々な事件を物語を描いた、『神聖喜劇』には、主人公・東堂が、入隊して間もない頃に、朝の呼集時間を知らされておらず、呼集に遅れてやってきて、そのために同じく遅刻した他の4人の新兵とともに、軍曹から厳しく追及されるシーンがある。 〔…〕「わが国の軍隊に『知りません』があらせられるか。『忘れました』だよ。忘れたんだろうが? 呼集を。」 上官上級者にたいして下級者が「知らない」という類の表現を公けに用いることは固く禁物である、——入隊前にもいつかどこ

    長い休み - 紙屋研究所
    anatadehanai
    anatadehanai 2023/06/05
    "理不尽そのものに対してもそうなのだが、それ以上に「理不尽とわかっていても認めてしまえ」という「親切」や「現実主義」を装った使嗾" 人間の集団、組織に普遍的な圧力。抵抗できる人は美しい。がんばってほしい。
  • 松竹伸幸『シン・日本共産党宣言』 - 紙屋研究所

    共産党は党首公選をやってはどうかということが話題になっている。 www3.nhk.or.jp news.yahoo.co.jp www.sankei.com www.yomiuri.co.jp その台風の目になっているのが松竹伸幸『シン・日共産党宣言』(文春新書)である。「ヒラ党員が党首公選を求め立候補する理由」というサブタイトルの通り、党首公選を求めて党の防衛政策などの発展を訴えている。 実は松竹の書には、表現の自由での政策の対立をめぐり、ぼくの名前も出てきてびっくりする。 シン・日共産党宣言 ヒラ党員が党首公選を求め立候補する理由 (文春新書 1396) 作者:松竹 伸幸 文藝春秋 Amazon 党首公選をしたらいいではないか。これが書についてのぼくの結論である。 党首公選をやったほうがいい派に変わった理由 数年くらい前までは「やらないほうがいい」派であったが、「やったほう

    松竹伸幸『シン・日本共産党宣言』 - 紙屋研究所
    anatadehanai
    anatadehanai 2023/01/21
    お?「党首公選をしたらいいではないか。これが本書についてのぼくの結論である。」
  • 高田かや『カルト村で生まれました。』 - 紙屋研究所

    ヤマギシ会*1の村で育った著者の半生。 題名ほどのセンセーショナルさはなく、ヤマギシ会が営んでいた共同体での出来事を描きながら、周りとの齟齬や抱いた違和感を綴っている。 著者・高田かやが育ったのは、平成になってからの話であるが、今はこのときからかなり緩和されている。だから、そのまま「ヤマギシ会の現状」とすることは正しくない。その前提で読んでほしい。 子どもは親から隔離され、共同体で育てられる。世話係の大人が育てる。昔風の保育士とか学童保育の支援員、学校の教師のようなイメージを持ってもらえばよい。 しかし、村に学校はないので、一般の学校に通う。「村の子」として括られる。とはいえ、そこに差別があったという感じではなく、一般社会でもよくある「団地の子」的なくくりのように思われた。 貨幣、テレビ、マンガ、電子ゲームなどがほとんどない世界。 「青年の家」とか児童施設に行くとあるようなアナログなゲーム

    高田かや『カルト村で生まれました。』 - 紙屋研究所
  • 『マルクス「資本論」に脱成長のヒントを学ぶ』 - 紙屋研究所

    最近でた『資論』入門書シリーズの2つ目。 斎藤幸平+NHK「100分de名著」制作班監修『マンガでわかる! 100分de名著 マルクス「資論」に脱成長のヒントを学ぶ』(宝島社)である。 マンガは前山三都里。「編集協力」は山神次郎、「取材・文」は乙野隆彦・森田啓代ということなので、実際にはこのあたりの人が書いているんだろうな…。 マンガでわかる! 100分de名著 マルクス「資論」に脱成長のヒントを学ぶ (マンガでわかる!100分de名著) 宝島社 Amazon 斎藤幸平といえばこのツイート。 では、私と対話するのではどうでしょうか? https://t.co/1UQdr7F4Is — 斎藤幸平 (@koheisaito0131) 2022年7月16日 私はずっと言ってるんですけど、無視されるんですw https://t.co/K3KbcwLzWM — 斎藤幸平 (@koheisait

    『マルクス「資本論」に脱成長のヒントを学ぶ』 - 紙屋研究所
    anatadehanai
    anatadehanai 2022/07/28
    共産党系の人ってよくハイキングとかしているイメージだが、紙屋氏の周りは違うのだろうか。私はといえば共産党のそういう「健康」志向が微妙に苦手。普通に街でビールでも飲みながらオルグされたい。
  • マンガの表現について共産党は2022年参院選でどういう政策を打ち出したか - 紙屋研究所

    2021年の総選挙で共産党のマンガ・アニメの表現に関する政策が話題になった。 その際に、ぼくも記事を書いた。 kamiyakenkyujo.hatenablog.com ぼくは「カジを切っていない」とは結論づけた。しかし叙述が乱暴すぎる、と批判した。 この記事を書いた他に、共産党の中央に意見も出した。 総選挙が終わってしばらくしてから、共産党のある街頭演説をぼんやり聞いていたとき、演説を終えた、にひ そうへい元参議院議員がぼくのところにやってきて、「紙屋さん、あなたの意見を読みましたよ! 中央の担当部署でも共有しています」と笑顔で話しかけられた。演説後の非常に短時間ではあったが、「ぜひ今度話しましょう!」と、にひ元議員から言われた「あ、読まれてるんだ」と思った。 さらに、田村智子政策委員長が講師を務めるジェンダー問題の学習会があり、質問・意見を募集していたので、遠慮なく書いて出した。 上記

    マンガの表現について共産党は2022年参院選でどういう政策を打ち出したか - 紙屋研究所
    anatadehanai
    anatadehanai 2022/06/26
    内部からしかるべき手続きで意見を上げたら反映されたという貴重な報告。こううまくいかないことも多いのだろうが、うまくいくこともあるという事実は記憶に留めたい。
  • 鯨岡仁『安倍晋三と社会主義 アベノミクスは日本に何をもたらしたか』 - 紙屋研究所

    新年は「新資主義」を掲げるの企業新聞広告のオンパレードだった。 年頭の岸田首相のメッセージを受けて、投資家もどきみたいな人たちが集まっている「市況かぶ全力2階建」は大騒ぎである。 kabumatome.doorblog.jp 「社会主義」だって? 岸田が? 岸田の年頭所感のどこが「社会主義」だというのか。 目指すべきは、日経済再生の要である、「新しい資主義」の実現 市場に過度に依存し過ぎたことで生じた、格差や貧困の拡大 資主義の弊害に対応し、持続可能な経済を作り上げていく 国家資主義とも呼べる経済体制からの強力な挑戦に対抗 「新しい資主義」においては、全てを、市場や競争に任せるのではなく、官と民が、今後の経済社会の変革の全体像を共有しながら、共に役割を果たすことが大切 一度決まった方針であっても、国民のためになると思えば、前例にとらわれず、躊躇(ちゅうちょ)せずに、柔軟に対応す

    鯨岡仁『安倍晋三と社会主義 アベノミクスは日本に何をもたらしたか』 - 紙屋研究所
  • 共産党はマンガ・アニメの規制にカジを切ったのか - 紙屋研究所

    共産党がアニメやマンガの表現規制に「方向転換」したのではないかと、ネットの一部で話題になっている。 togetter.com 共産党は今回の総選挙政策で 「児童ポルノ規制」を名目にしたマンガ・アニメなどへの法的規制の動きに反対します。 と明確に言っている。それなのに、なぜこんな騒ぎになるのかといえば、ジェンダー分野で書かれている政策がこれと矛盾するのではないかという疑惑を招いているからである。 結論を言っておくと、「表現の法的規制ではない」というのがぼくの受け止め。しかし、政策としての叙述の仕方として最悪のものだと思う。どこかの政権党っぽく言ってしまうと、見事に「誤解を招く」。書いた人のセンスを疑う。 問題の、ジェンダー分野における共産党の該当政策はこの部分である。 ―――児童ポルノは「性の商品化」の中でも最悪のものです。児童ポルノ禁止法(1999年成立。2004年、2014年改正)に

    共産党はマンガ・アニメの規制にカジを切ったのか - 紙屋研究所
    anatadehanai
    anatadehanai 2021/10/18
    「描写物」は従来通り実写であって「非実在」の絵やアニメは含まないということでOK? まあ共産党内にも「不健康な表現」を規制して何が悪いみたいな人はいそうだが、そこは紙屋氏のような人たちで抑えてほしい。
  • マイケル・サンデル『実力も運のうち 能力主義は正義か?』 - 紙屋研究所

    才能も努力もガチャだと思う 親ガチャが話題であるが、才能はガチャだと思う。 人が努力して得たものもあるだろうけど、努力できるのも才能の一つだ。ロールズの次の意見は正しい。 努力しよう、やってみよう、そして通常の意味で称賛に値する存在になろうという意欲さえ、それ自体が恵まれた家庭や社会環境に左右される そして、先天的なものだけに限らず、生まれてからどんな社会資源を利用できたか、利用できる環境にあったかも重要である。生まれつきと、みんなで寄ってたかってつくったものと、わずかばかりの自分の努力が「私の才能・能力」だ。 マイケル・サンデル『実力も運のうち 能力主義は正義か?』を読んでそういう気持ちになった。 実力も運のうち 能力主義は正義か? 作者:マイケル サンデル 早川書房 Amazon いや、上に述べたことは実は、サンデルが書で言おうとしていることの中心軸ではない。だけど、書を読んで、

    マイケル・サンデル『実力も運のうち 能力主義は正義か?』 - 紙屋研究所
    anatadehanai
    anatadehanai 2021/10/18
    学校群制度は結局私立が進学校となり人が流れるという現象を招いてしまった。こういう抜け道があると改革はうまくいかないのだが、かといって抜け道をなくすには強力な統制が必要。そのへんが難しい。
  • 党内の自由な議論を根拠に処分されるべきではない - 紙屋研究所

    立憲民主党多平直議員の問題。 https://digital.asahi.com/articles/ASP7F3JHWP7FUTFK008.html 多氏は5月、刑法で性行為が一律禁止される年齢(性交同意年齢)を現行の「13歳未満」から引き上げることを議論する党の「性犯罪刑法改正に関するワーキングチーム(WT)」に出席。外部から招いた有識者に対し、「例えば50歳近くの自分が14歳の子と性交したら、たとえ同意があっても捕まることになる。それはおかしい」と発言した。 この話は、いくつもの問題が重なっている、というか未整理のまま積み重なって議論されてしまっている。 特に、立憲民主党によって設置された第三者機関「ハラスメント防止対策委員会」が多議員や関係者にヒアリングしてまとめた調査報告書をぼくも読んだが、最終的に発言とその扱いをめぐる問題ではなく、「毎回、高圧的に語気を強めて意見したり、

    党内の自由な議論を根拠に処分されるべきではない - 紙屋研究所
  • 「おおかみこどもの雨と雪」 - 紙屋研究所

    帰省中に娘が寝た後、つれあいといっしょに映画「おおかみこどもの雨と雪」を観に行った。人間であり狼である狼男と結婚した、大学生・花(ハナ)が狼男の子どもである雪(ユキ)と雨(アメ)を生み育てる物語である。 以下はネタバレをする。結末がわかってもいいという人だけ読んでほしい。 ハナの視点で観る つれあいもぼくも、この映画をハナの視点で観た。 子どもたちが生まれるとほどなく狼男は事故で死んでしまい、ハナはシングルマザーとして苦労しながら2人の子どもたちを育てる。「おおかみこども」であることを人々に気取られないようにするので、母子はほとんど社会と隔絶して生きねばならない。医療も社会支援も一切得られない都会のアパートで生活し、ビクビクしながら時たま外を散歩するというほどである。 ぼくらは小さな子どもを持つ親として、働き手である夫を失い、自身は幼子を抱えて働きにも出られない、まさにハナの子育ての苦労に

    「おおかみこどもの雨と雪」 - 紙屋研究所