ブックマーク / www.newsweekjapan.jp (32)

  • 周庭(アグネス・チョウ)の無事を喜ぶ資格など私たちにあるのだろうか?

    <「香港の民主の女神」と呼ばれた周庭(アグネス・チョウ)さんの無事が確認され、現在はカナダに留学していることが分かった。安堵はするものの、かつての香港に手を差し伸べることができなかった私たちに、彼女の無事を喜ぶ資格などないのかもしれない> 香港の民主活動家をしていた周庭(アグネス・チョウ)さんが2年半ぶりにインスタグラムを更新し、自身の近況を報告した。現在はすでに香港を離れ、カナダに留学中だという。 周庭さんと言えば日メディアで「香港の民主の女神」とも称され、日人にとっては香港の民主化運動の象徴的存在だった。若い香港人女性が覚えたての日語を駆使しながら必死になって「香港の民主主義への支持」を訴える姿に、心打たれた人も少なくないだろう。 長らく消息不明となっていた彼女の無事が確認できて一安心......であるのは確かなのだが、近年の香港情勢を取材してきた私としては、現下の状況を素直に喜

    周庭(アグネス・チョウ)の無事を喜ぶ資格など私たちにあるのだろうか?
    anatadehanai
    anatadehanai 2023/12/06
    西谷格ってこういう発想する人だったっけ? 『香港少年燃ゆ』は野次馬根性と共感力の絶妙な混合から生まれたすばらしいルポだったが。(とりあえず無事を喜ぶのに「資格」は不要だろう。)
  • 成田氏「集団自決」発言から考える、安楽死をめぐる日本の現在地

    安楽死人の自由意志によるもので、法制化されている国や地域では人の意志が幾重にも慎重に確認される。成田氏の「安楽死の強制」という発言は明かな矛盾語法だ> イェール大学アシスタント・プロフェッサーである成田悠輔氏の「集団自決」発言をきっかけに、安楽死についての言説が飛び交っている。成田氏は世代交代を促すためのメタファーだったと釈明したが、発言の前後や過去の発言を鑑みると疑問が残る。 成田氏は2022年1月に配信された経済メディア「NewsPicks」の番組内でも、日で進む少子高齢化の解決策として「『安楽死の解禁』や、将来的にあり得る話としては『安楽死の強制』みたいな話も議論に出てくる」と語った。 筆者は20年以上カナダに在住し、16年に法制化された医療幇助死(Medical Assistance in Dying)の研究に関わっている。そのうえで、国家危機対策として安楽死が持ち上がっ

    成田氏「集団自決」発言から考える、安楽死をめぐる日本の現在地
    anatadehanai
    anatadehanai 2023/05/26
    "安楽死が権利ならば、平等に享受できるものでなければならず、死刑囚は例外とあれば整合性に欠く。"
  • 植民地支配の「罪」をエリザベス女王は結局、最後まで一度も詫びることはなかった

    1961年には旧植民地ガーナを訪れ、かつて栄えたアシャンティ国の王族に会った KEYSTONE-FRANCEーGAMMAーKEYSTONE/GETTY IMAGES <黒人奴隷を酷使して植民地で儲けたことで大英帝国の礎を築いたという過去を、逝去したエリザベス女王は謝罪しなかった> まずい、わが国は出遅れたぞ。16世紀の半ば、エリザベスという名のイングランド女王は周辺諸国を見回して、そう気付いた。見よ、大陸の諸王国は世界の果てまで領土を広げているではないか。 先鞭をつけたのはポルトガルとスペインだった。まずはポルトガルが15世紀半ばに西アフリカまで船を出し、現地の金を輸入し始めた。それからサントメという小さな島を占領し、大規模農場で「売買可能な商品」としての黒人奴隷を働かせるという画期的な手法を考案し、サトウキビの大量生産を始めた。 大西洋を南下してサトウキビを栽培・加工し、そこで働かせる奴

    植民地支配の「罪」をエリザベス女王は結局、最後まで一度も詫びることはなかった
  • 米オクラホマの刑務所、童謡を繰り返し聞かせる「拷問」受けた受刑者が死亡

    <童謡を繰り返し聞かさせる「虐待」を受けた受刑者が謎の死を遂げた──> 刑務官に童謡を無限ループで強制的に聞かされる「拷問」を受けた受刑者が、死亡した状態で発見された。AP通信などが伝えた。 麻薬密売の容疑で8日に米国オクラホマ州刑務所に収監されたジョン・バスコは、わずか3日後の11日午前3時50分ごろ意識を失った状態で発見された。 看守たちは緊急救助要員たちが到着するまでに応急措置を施したが、バスコは息を吹き返すことはなく、4時6分に死亡宣告を受けた。 刑務所のマーク・オクプグランド報道官は「亡くなったバスコに暴行を受けた形跡はなく、捜査官が薬物の過剰摂取の可能性を調査する」と発表。州検死局が死因を調べるという。 疑惑の刑務所 ここまでならそれほど珍しいことではないが、問題になったのは彼が、このオクラホマ州刑務所で今年死亡した14番目の収監者という点だ。同刑務所はこの数カ月間、収監者の死

    米オクラホマの刑務所、童謡を繰り返し聞かせる「拷問」受けた受刑者が死亡
    anatadehanai
    anatadehanai 2022/09/17
    大音量の音楽を拷問に使うという話は以前からあって、楽曲を使われたアーティストが怒って抗議したりもしている。https://rockinon.com/news/detail/26880
  • 【全文公開】韓国は長年「最も遠い国」だった(映画監督ヤン ヨンヒ)

    筆者のヤンは64年に大阪で生まれ、「朝鮮」籍を持つ在日コリアンとして育った。現在は韓国籍を取得 PHOTO BY JJ <韓国出身の両親のもと、日で生まれ育った元「朝鮮」籍の筆者が、いま韓国で考えること――。反響を呼んだ誌特集掲載のルポを全文公開する> 「何このバカなニュースは! 韓国と日の政府がもめているときこそ、民間人同士が仲良くするように諭すのがテレビの役目じゃないか。あおるようなインタビューばっかり見せて。言論(メディア)がしっかりしなきゃ駄目だよ!」 韓国の首都ソウルに隣接する金浦市。行きつけの堂で太刀魚の煮付けをべていると、日韓問題についてのニュース番組を聞いていた女将(おかみ)さんが調理場から出てきて声を荒らげた。「お客さんがいるんだ、静かにしないか」という店主の言葉にも「国のことに市民が意見するのは当然じゃないの。黙っていられるかい」と真剣な顔。 しっかり主張する

    【全文公開】韓国は長年「最も遠い国」だった(映画監督ヤン ヨンヒ)
  • 「映画検閲法」に挑む新世代──90年代の香港映画ファンにこそ見てほしい

    『憂之島』の1シーン。海を渡って文化大革命から避難した男性は、今も夜明けのビクトリア湾で泳ぐことを生涯の習慣としている COURTESY CHAN TZE WOON <映画検閲法が成立しても、あえて微妙なテーマにも取り組む新世代の映画人たち。「最悪の香港」が「最高の映画」を生む> 中国が香港国家安全維持法を施行してから、もうすぐ2年。その「鉄のカーテン」は、かつて活況を呈した当地の映画界をも閉ざそうとしている。 香港では昨年10月、反体制活動を「たたえ」、「あおる」ような映画の上映を禁じる映画検閲法案が可決された。当局が有害と見なした映画のライセンスは取り消され、違反者には最高で禁錮3年の刑が科されることになる。 法案成立前の昨年6月にも、2019年の民主化デモをテーマにしたドキュメンタリー映画『理大囲城』の上映許可が土壇場で取り消された。これで映画検閲法が施行されたら、アジア(ばかりか

    「映画検閲法」に挑む新世代──90年代の香港映画ファンにこそ見てほしい
  • 【鼎談】新型コロナ流行から2年、パンデミックは中国人を変えた──のか

    <新型コロナウイルスの流行が始まって2年。世界最大の人口を有しながら、感染者数を10万人と小規模に抑え込んできた中国の「成功」は、共産党の強権支配だからできるハイテク監視がなせる業だと日では考えられているが、果たしてそうか。高口康太×山形浩生×高須正和の3氏による鼎談> ジャーナリストの高口康太氏が上梓した新刊『中国「コロナ封じ」の虚実――デジタル監視は14億人を統制できるか』(中公新書ラクレ)は、新型コロナウイルスの最初の流行地でありながら封じ込めに成功した中国について、社会体制、デジタル化、デマ対策など多方面から分析しただ。 「専制政治が築いたハイテク監視社会でコロナを封じ込めた」と、日で広く認識されている「中国の真実」は真実なのか。深圳の発展を通じて中国の社会や技術の変化を観察し続ける翻訳家の山形浩生氏、中国のメイカームーブメント(誰でもお金をかけず最新の技術を使ってものづくり

    【鼎談】新型コロナ流行から2年、パンデミックは中国人を変えた──のか
    anatadehanai
    anatadehanai 2022/01/12
    現状、人の管理はテクノロジーだけでは無理で、やはり大量の人員やコミュニティが必要という指摘。私も中国でこれは強く感じた。検疫アプリがあるとしても、それを使えと声かけして回るのは結局人間。
  • タリバンの思想は農村では「当たり前」? カブール市民が震え上がる「恐怖政権」の正体

    8月17日、カブール市内で初の記者会見を 行うタリバンのムジャヒド報道官(中央) JIM HUYLEBROEKーTHE NEW YORK TIMESーREDUX/AFLO <米軍を追い出し20年の時を経て復権したタリバン。彼らは地元アフガニスタン人にとって「恐怖政権」か、国外勢力と戦う「解放軍」なのか> 世界を「カブール陥落」のニュースが駆け巡ったのは、2021年8月15日のことだ。アフガニスタンから米軍が完全撤退するのを前に、イスラム主義勢力タリバンが首都カブールを再び占拠。国外に脱出しようと市民がカブール空港に殺到し、離陸する飛行機にしがみつく光景は見る者を震撼させた。 市民は、なぜタリバンの復権を恐れるのか。20年の時を経て権力の座に返り咲くタリバンとは、何者なのか。 米同時多発テロ事件から2カ月後の2001年11月。私は当時勤務していた朝日新聞の記者として、米軍の侵攻によりタリバン

    タリバンの思想は農村では「当たり前」? カブール市民が震え上がる「恐怖政権」の正体
    anatadehanai
    anatadehanai 2021/09/02
    "私には、かつての日本の農村社会の価値観と大きな違いはないと思える。" "だがタリバンが自らの価値観を都市部でも強要すれば、何が起きるか。"
  • 「習近平版文化大革命」の発動が宣言された――と信じるべきこれだけの理由

    中国を代表する女優の趙薇(ヴィッキー・チャオ)も「新・文化大革命」のいけにえに? Alessandro Bianchi-REUTERS <中国でよくない変化の胎動が始まっている。芸能人摘発に続いて企業・金持ち叩き、さらに経済政策批判禁止に英語の制限......。すべての出来事が指し示しているのが、半世紀前の悪夢「文化大革命」の再来だ> 芸能界粛清から始まった習版の文化大革命 日でも一部報じられていることだが、今年8月に入ってから中国で著名芸能人に対する異様な「粛清」が相次いで行われた。 まずは8月中旬、人気俳優の張哲瀚が数年前に靖国神社で写真を撮ったという過去の「罪状」を暴露され、人民日報などの国営メディアから厳しく批判された。その結果、数多くのブランドとの契約がその日のうちにすべて打ち切られ、撮影中の作品からも降板を余儀なくされた。張哲瀚はこれで事実上の芸能界追放となった。 そして8月

    「習近平版文化大革命」の発動が宣言された――と信じるべきこれだけの理由
  • ワクチン接種は自由の侵害にならない、「個人の選択」ではなく強制すべき

    <ワクチン反対派にも接種を義務化することは「人の意思に反して正当に権利を行使し得る唯一の目的」に合致する> 筆者がこの原稿を書いているオーストラリアのビクトリア州は、1970年に世界で初めて自動車のシートベルト着用を義務化した。その法律は当初、個人の自由を侵害するとして批判されたが、人々は命を守るものだとして受け入れた。今や、ほぼ全ての国で着用は義務化されている。 翻って現在は、新型コロナウイルスワクチンをめぐり接種しない自由を求める声がある。東京五輪のアーチェリーでアメリカ代表だったブレイディ・エリソンは、「(接種は)100%個人の選択」だとして「反対する人は誰でも、人々から自由を奪っている」と譲らなかった。 興味深いことに、(今や大多数が賛成する)シートベルトの義務化が実は明白な自由の侵害である一方で、他人を感染させ得るような状況にある人に対してワクチンの接種を求める法律は、他人の行

    ワクチン接種は自由の侵害にならない、「個人の選択」ではなく強制すべき
    anatadehanai
    anatadehanai 2021/08/20
    ピーター・シンガーだ。まあ、「他人にうつす」ということがなければ未接種で重症化して死ぬのは本人の自由、愚行権とも言えるけど、厄介なのは未接種者からうつされて他人が死んだりすることなのよね。
  • アフガニスタン全土の制圧に向かうタリバン──女子教育は再び規制されるか

    定着しつつあった女子教育は再び抑圧されるのか(写真は2020年4月21日、コロナ禍に小麦粉の配給に並ぶアフガン女性) REUTERS/Stringer ・米軍の撤退と入れ違いに、タリバンはアフガニスタン全土で攻勢に出ている。 ・アフガン軍がこれをい止めることはほぼ不可能で、タリバンは遅かれ早かれ政権を獲得するとみられる。 ・その場合、かつてのような厳格なイスラーム支配の復活への懸念もあるが、タリバンがより現実的な方針に転換する兆候もうかがえる。 米国の撤退に合わせて、タリバンはアフガニスタン全土で猛攻を続けている。タリバン支配が復活すれば、かつてのように女の子が教育を受ける権利を制限されるのだろうか。 「名誉ある撤退」の影で バイデン大統領は10日、「アフガニスタン撤退を決めたことを後悔していない」と発言した。昨年3月のタリバンとの合意に沿って、米軍や北大西洋条約機構(NATO)加盟国の

    アフガニスタン全土の制圧に向かうタリバン──女子教育は再び規制されるか
    anatadehanai
    anatadehanai 2021/08/16
    "「統治される側」の基本的な要望を全く無視していては、その支配は長続きしない。実際、厳格なイスラーム支配で知られるサウジアラビアであれイランであれ、今や女子教育そのものを規制する国はほとんどない。"
  • 「目の前の試合をやることしかできない」?──アスリートも例外ではない「現場プロフェッショナルロマン主義」の罪

    コロナ下の五輪開催について「選手が何を言おうと世界は変わらない」と内村は語ったが(写真は、リオ五輪で体操の個人総合で優勝したとき) Alessandro Bianchi-REUTERS <コロナ感染爆発のただ中で、感染対策もザルだらけのまま、オリンピックを開催することになったのは選手の責任でもある> 7月6日、体操の内村航平選手が、オリンピック壮行会に出席し、オリンピック開催の是非を問われ、「一つひとつの目の前の試合をやることしか僕にはできることがない」「選手が何を言おうか世界は変わらない。選手はそれぞれができることを一人ひとりがやり、感動を届けることしかできないのかなと思いますね」と述べた。 5月に書いた記事の通り、オリンピック開催をめぐる利害は、もはや実存的な政治対立に帰着している。しかも首都圏での感染者数の急増、穴だらけだということが分かった「バブル方式」のコロナ対策、そしてワクチン

    「目の前の試合をやることしかできない」?──アスリートも例外ではない「現場プロフェッショナルロマン主義」の罪
  • 日本の皆さん、習近平は「シー・チンピン」でなく「しゅう・きんぺい」でお願いします

    <書籍や雑誌、テレビ番組の字幕で「中国人名の現地読み(中国語読み)」がよく使われている。リベラル派による配慮なのかもしれないが、できればやめてもらいたい> 最近、散歩中のご近所さんに会って長々と立ち話をしていた際に、少々困ったことがあった。 浅田次郎の中国歴史小説が話題に上ったのだが、彼女がどの登場人物のことを話しているのか、さっぱり分からなかったのだ。 「ヅチンチヨンに攻め込んだリイヅチヨンが......」 何度か聞き返して、ようやく「紫禁城に攻め込んだ李自成(明朝を亡ぼした農民反乱軍の指導者)」のことだと分かった。 日の書籍や雑誌、テレビ番組の字幕で「中国人名の現地読み(中国語読み)」がよく使われている。ニューズウィーク日版でも例えば、習近平に「シー・チンピン」とルビが振られているが、あれである。 日中国歴史小説が大好きな私は、これまで井上靖や水上勉、陳舜臣らの作品を数多く読ん

    日本の皆さん、習近平は「シー・チンピン」でなく「しゅう・きんぺい」でお願いします
    anatadehanai
    anatadehanai 2021/06/30
    原則それでもいいんだけど、それに揃えようとするとまたいろいろ例外が出てきそう。ブコメ既出の艾未未とか今さら「がいみみ」にできんし。まあ日本語のカタカナ表記が何種類もあったりして厄介なのは認める。
  • アラブの裏の顔 - 被害者が加害者にもなり得るという現実:アラブ世界の「現代の奴隷制度」を考える

    イスラエルによるパレスチナ人の住宅立ち退きの詳細が動画で配信されことをきっかけに、「抑圧されるパレスチナ人」のイメージが強まり、世界中でパレスチナ人を支持する方向に風向きが変わりつつあります(以前の記事をご参照ください)。 確かにイスラエルでパレスチナ人は抑圧されています。それは否定のしようがない事実。でも、同じパレスチナ出身の背景を持つアラブが別の場所では抑圧する側に回っていることは、まだ日ではあまり知られていない事実かもしれません。 アラブの裏の顔とは? アラブには裏の顔があります。Human Rights Watch や世界中の人権団体から「現代の奴隷制度」と非難されている外国人労働者への非人間的な扱いです。中東のアラブ諸国、とくに湾岸エリア (サウジ、クゥエート、UAE、オマーンなど) では男性・女性の出稼ぎ労働者が多く働いています。実際、こうした湾岸エリアに旅行すると、ホテルや

    アラブの裏の顔 - 被害者が加害者にもなり得るという現実:アラブ世界の「現代の奴隷制度」を考える
    anatadehanai
    anatadehanai 2021/06/16
    「裏の顔」というほどでもなく割と知られた話では? それに外国人メイドの人権侵害はアラブ社会に限らず各地にあり、たとえば香港や台湾でも長年の問題。日本も住み込みメイドが増えるとそうなるだろうね。
  • 「愛される中国」を目指す習近平の焦り──「中国が理解されていない」

    ・習近平国家主席は共産党幹部に、中国について国際的な理解を得られるよう、もっと努力することを指示した。 ・そこには、トラブルを抱えた外国政府を非難罵倒するこれまでのやり方が逆効果という見方が共産党内部にも広がっていることがある。 ・その一方で、「中国が理解されていない」という焦りは歴代政権が抱えてきたもので、習近平を待ち受けるハードルは高い。 中国の習近平主席は5月31日、共産党の最高意思決定機関、中央委員会政治局で、中国の国際的イメージの向上を厳命した。 国営の新華社通信によると、その主な内容は、 ・コミュニケーション手段(マスメディアやSNSなどを指すと思われる)を発達させ、中国に関する国際的な言説に、中国の声を届かせること。 ・中国共産党中国人民の幸福のみを追求していることを海外に広く知らしめること。 ・中国の活動を説明できる、中国自身の言説やナラティブを育成すること。 ・信頼され

    「愛される中国」を目指す習近平の焦り──「中国が理解されていない」
  • 新疆の人権状況を改善するにはどうしたらよいのか?

    <制裁や圧力では、中国は内政干渉だと反発するばかり。それに人権問題は先進国にもある。そこで、互いの人権問題を報告し改善を目指す「人権対話」を提案する> 4月16日に日米首脳会談が開かれ、その後発表された共同声明のなかで「香港と新疆ウイグル自治区における人権状況に対する深刻な懸念を共有する」という一文が盛り込まれた。いずれの地域でもたしかに深刻な人権侵害が起きていると私も思うし、中国政府に改善を求めていく必要があるとも思う。 ただ、多数のジャーナリストが常駐する香港の事情はわかりやすいのに対して、新疆の事情はわかりにくいため、的外れな報道が多く、かえって逆効果になりそうな対策さえ主張されている。 その一例が「新疆の綿花畑でウイグル族が強制労働させられている」という説であり、これについては前回のコラムで検討を行った。その要点をまとめると次の通りである。 新疆は中国の綿花生産の8割以上を占める大

    新疆の人権状況を改善するにはどうしたらよいのか?
  • アフガンの戦場から米兵が去った後、殺人マシンによる「永続戦争」が残る

    監視と攻撃の能力を兼ね備えた米空軍のドローン「リーパー」。ドローンは永続戦争の主役だ STOCKTREK IMAGES/GETTY IMAGES <バイデン大統領はアフガン駐留米軍の9月11日までの完全撤退を表明したが、残酷な21世紀型の戦闘は見えない形で続く> ジョー・バイデン米政権がついにアフガニスタン駐留米軍を全面撤退させると決めた。イスラム原理主義勢力タリバンとの怪しげな「和平合意」を口実としたドナルド・トランプ前政権の日程よりは少し遅れるが、あの9.11同時多発テロから20年の節目までに撤退を終えるという。イラクでの戦争も、国際テロ組織アルカイダの掃討も過去の話、ということにしたいのだろう。しかし、アメリカの終わりなき戦争に終わりが来ると思うのは間違いだ。 バイデン政権はアメリカの最も長い戦争を終わらせたいのだろう。終わりの見えない中東各地の紛争にも疲れた。国防総省もテロ対策最優

    アフガンの戦場から米兵が去った後、殺人マシンによる「永続戦争」が残る
  • 脳の2割を失い女王に昇格 インドクワガタアリの驚くべき生態明らかに

    女王アリが死亡した時点から、コロニーのメスの7割ほどが闘いに加わり、争いは最長で40日間ほど続く...... Credit...Clint Penick <女王アリとして生殖能力を高めるために脳の一部を犠牲にする、ユニークなアリの生態が判明した......> 脳の大きさを変化させるめずらしい生態が今回明らかになったのは、インドクワガタアリと呼ばれる体長2.5センチほどの大型のアリだ。大きな眼とまるでクワガタのような大アゴが特徴的で、インドの湿潤な平野部に多く生息している。体長の4倍ほどの距離をジャンプして獲物を狩ることから、ジャンプアリの別名でも呼ばれる。 脳の衰退の前提として、まずはそのユニークな繁殖システムを把握しておきたい。多くのアリの種では、女王アリとなるべき個体は孵化直後から決まっている。ところがインドクワガタアリの場合、すべてのメスのアリにチャンスがある。コロニーの大多数のメス

    脳の2割を失い女王に昇格 インドクワガタアリの驚くべき生態明らかに
    anatadehanai
    anatadehanai 2021/04/20
    すごい……。いやー、つくづくアリとかハチとかの「社会性」ってすごいわ。身体の基本構造も変えずにごちゃごちゃ分業とかやってるヒトなんて、連中からすれば「何やってんの」って感じだろうな。
  • 中国を礼賛し、民主化運動を妨害する欧米の若者たち「タンキー」が増殖中

    中国の国旗と香港旗を掲げる香港の親中派。だが親中派は西洋にもいる CHAN LONG HEIーSOPA IMAGESーLIGHTROCKET/GETTY IMAGES <共産主義を支持する極左勢力が欧米に台頭。中国政府の人権侵害を認めず、中国モデルを称賛する彼らを懸念する声も広がるが> 天安門広場に集結した中国の民主化を求める若者たち多数を蹴散らし惨殺した後、隊列を組んで引き揚げる戦車の前に、丸腰で立ちはだかった1人の男がいた。素性も生死も不明だが、欧米メディアは彼を「タンク(戦車)マン」と呼び、その勇気を絶賛したものだ。 そう、30余年前の彼の行為は間違いなく命懸けだった。しかし今は民主化を求める中国人の若者が、およそ命懸けではない西洋のタンキー(タンク野郎)たちとオンラインで火花を散らしている。 現代のタンキーは欧米の若者たちで、共産主義の独裁政権を支持している。だから新疆ウイグル自治

    中国を礼賛し、民主化運動を妨害する欧米の若者たち「タンキー」が増殖中
  • アイヌ差別表現問題──日本人は他民族を侵略・加害していない、という観念が背景に

    「開拓」は無主地の開発のことを指すが、明治以前の北海道にはアイヌ民族の確固たる先住が存在した 国連広報センター(UNIC Tokyo)-YouTube <公教育でアイヌ民族の文化歴史を学ぶ北海道出身者でさえ、祖先は北海道の大地を「開拓」したと信じ込んでいる歴史認識の甘さ> 2021年3月12日の日テレビの番組で、お笑い芸人の脳みそ夫氏が、アイヌ民族に謎かけして同民族を「あ、犬(アイヌ)」と表現したVTRが放送されたことが民族差別的として大きな問題になっているのは既報のとおりである。 脳みそ夫氏が生放送のアドリブでそう表現したなら同氏に固有の人権意識の低さが問題になろうが、これは番組側が承認して事前に制作されたVTRの中での問題表現であった。よって番組制作側の人倫意識の低さが糾弾され、3月18日、日テレビ会長の大久保好男氏が公式に謝罪。一部週刊誌等によると、該番組のプロデューサーが事実

    アイヌ差別表現問題──日本人は他民族を侵略・加害していない、という観念が背景に