父の形見となった、出征時に寄せ書きされた日の丸の前で記者のインタビューに答える男性=神奈川県内で2024年5月8日、三浦研吾撮影 10年余り前、穏やかだった母が訴えるような口調でつぶやいた。 「貯金がどんどん減っているのよ……」 一人息子の駒野登さん(63)=仮名=は当時、50代で無職。同居の両親は80代だった。 旧海軍出身の父は攻撃を受けて沈没する船になぞらえ、こう言った。 「このままだと我が家は『ボカ沈』だ」 両親はともに90代で他界した。還暦を過ぎた駒野さんはいま、電気とガスが止まった家に独りで暮らしている。 高齢親の死体遺棄事件が全国で相次いでいます。当事者の証言などから「8050問題」の現状を報告します。 高齢親の死体遺棄事件、全国で相次ぐ 背景に8050、9060問題か 我が家は「ボカ沈」 父の遺体放置で逮捕、8050問題の最悪の結末 社会との接点はライブ配信の「投げ銭」 孤立